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伝わるホントの自分 エピソード、感情乗せて語るには

(4)ガクチカ編

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NIKKEI STYLE

元お笑い芸人で、現在は人材研修などのコンサルティングを手掛ける中北朋宏さんが講師役となって、就活生に面接の極意をフィードバックする連載「面接道場」。第4回のテーマは「ガクチカ」(学生時代に力を入れたことの略)だ。多くの学生がアルバイトや部活にまつわるどこかで聞いたような話題におちいりがち。どうすればガクチカを面接官に印象づけられるのだろうか。

今回挑戦したのは、明治大学3年の石井勝猛さん。ガクチカのネタとして考えてきたのは、自分の成長を実感したというオーストラリアへの留学経験だ。まず石井さんのエピソードを見てみよう。

<就活生、石井勝猛さんのガクチカ>
 学生時代に最も打ち込んだことは、オーストラリアの大学に10カ月間留学したことです。英語が話せず、自炊すらしたことがない私が、急に外国人だけのシェアハウスに暮らしました。友達もおらず、最初の3カ月は異文化への適応や理不尽なことに苦しみました。しかし、大きく2つの気付きを得ました。1つ目は、謙虚であることの大切さです。世界各国からの優秀な留学生と接することで、いかに自分がグローバルで価値の低い人間なのかを痛感しました。その経験から、留学したという現状に満足せず、謙虚であり続けることの大切さに気付きました。2つ目は、愚直に学び続けることの大切さです。海外に出て、多種多様なキャリアや人生観を持つ人と接する中、根本的に職業やライフスタイルに関しての知識不足を感じました。その経験から人種・国籍を問わず様々な人と接し学び続けることの大切さに気付きました。

中北 理不尽なことというのは、どんなことがあったんですか。

石井 単純に僕が英語をしゃべれなかったので、ちゃんと話を聞いてくれませんでしたし、例えば僕の食べ物を勝手に食べられるとか、ちゃんと人として認識されていないように感じたことが苦しかったですね。

中北 つらいですね。そこからどうやって改善していったんですか。

石井 2つあって、まず自分自身に謙虚になること。あまり周囲に留学に行く人がいなかったので、自分は特別な存在だというおごりも少しあったのかなと思います。そういう部分を見透かされていたのかなと。留学先のクラスでは自分より能力の高い人間がたくさんいて、自分の価値って本当にないんだなというのをすごく痛感して、謙虚になることの大切さを知りました。

中北 もう一つは何ですか?

石井 愚直に学び続けることという気付きです。日本社会でうまくいかなくてもオーストラリアでビジネスをやって成功している方もいますし、逆にビジネスの面では大きな成功を収めていなくても、日々家族と毎日楽しく過ごしている人もいて、色々な人生に触れ合う中で、自分の人生観を広げていかないといけないんだなと感じたので、そこから愚直に学び続けることが大事なんじゃないかなと感じました。

中北 今は何を愚直に学んでいるんですか。

石井 直近だとOB訪問をすごくやっています。単純ですが、人によって大事にするものの価値は全然違うんだということを学びました。

中北 昨今、留学する人はたくさんいます。そこで学んでくることはだいたい、能力の差や異文化コミュニケーションで、あまり大差ないかなと思うんですけど、他に何かないですか。

石井 高校のことでもいいですか? それなら大学受験の経験が一番大きいです。

中北 具体的には。

石井 高校2年生の12月の時点で僕は学年最下位でしたが、塾の先生や仲間のおかげで本気で学習に打ち込むことができました。最終的に自分の第1志望の大学には入れなかったんですけど、1年間本気でやり切ったという経験は今でも打ち込んだと言えるような経験です。

中北 具体的に何をしたんですか?

石井 まず成績がものすごく低かったので、夏休みに毎日15時間勉強しました。勉強以外のものをすべて犠牲にしたので、同級生から机の中にゴミを入れられるなどの嫌がらせをされましたけど、そういうことにも屈せず。

中北 第1志望に入れなかった挫折をどうやって乗り越えたんですか?

石井 考え方を変えたんです。具体的に言うと挫折経験というのはすごくマイナス経験だと思うんですけど、それを何らかの方法でプラスに変えることができたら、ものすごくエネルギーに変わるんじゃないかなと思って。

中北 どうしてそう思ったの?

石井 挫折を挫折と捉えるんじゃなくて、挫折というのは自分にとっての過程でしかなくて、その後に何か成功体験を積めれば、それは挫折じゃなくて自分にとってはプロセスになるんじゃないかと、そのマインドの切り替えができたので。

感情を「のせて」話すのではなく、感情に「ついて」話せばいい

中北 なるほど、ありがとうございました。いま面接形式で話してみてどうでした?

石井 うまく言語化できなくて、特に、愚直に学び続けるみたいな部分をちゃんと説明しきれなかったです。

中北 ちなみに謙虚とか愚直とか、そういう言葉をあまり使いたがらない学生が多いんですよ。特にプライドの高い人って、留学先で人と違う素晴らしい経験をしてって言いたがるんですが、石井さんは自分に価値がないと落ち込んで、謙虚さを学んだっていうのは、気付く観点としてはすごくいいと思います。

全体としては、ちゃんと言葉を考えて伝えようとしていたり、相手の理解に合わせて話を伝える意思があったりというバランス感覚がすごくいいなと思いました。

その上で、明確な課題をお伝えすると、あなたはなかなかエピソードの具体化をしないんですよ。要するにビッグワードとか大枠しか話してくれなくて、早く具体化してほしいのに、ずっとヒントしか与えられていない感じ。具体的に言うと、って言っているのに全然具体的に言っていないし、むしろもっと抽象的になっていたりするのね。

エピソードをどうやって作るか。エモーショナルに語るってどういうことかわかりますか?

石井 ちょっとわからないです。

中北 石井さんのさっきのお話は感情が動かないんです。挫折経験ってすごく苦しいことのはずなのに、言葉が平たんやねん。なぜ留学で適応できなかったのか、なぜ理不尽と感じたのかとか、具体例がなくて大枠だけ話しているんです。

面接では短時間で相手(面接官)を動かすために話す必要がありますが、そのためには感情をつかまないといけない。ストーリーテリングの方法は、(1)感情を込めて話す(2)感情そのものを話す――という2つの方法があります。前者は難しいかもしれないですが、後者はエピソードを時系列で話すんじゃなくて、そのなかで誰の感情が具体的にどう変わって、自分がどう感じたのか、ということを話すんです。

例えば僕は留学でこんなつらい思いをした。そのときに友達がこんな話をして、お互いに泣いた。友達の話に対して僕はこう思って、だからもっと愚直に頑張らないといけないと実感したんです、とかね。これって感情をのせて話しているんじゃなくて、ただ感情自体について話しているだけなんです。でも聞いている人は感情移入しやすくなります。

感情+自分の意思=忘れられないエピソード

中北 このときに押さえたほうがいい感情は3つあって、まず笑い(もしくは悲しみ)と感動、この2つの感情を行ったり来たりできることが大事。そして今の時代に重要なのが「ためになる」ということ、つまり学びですね。なぜかと言うと、他人にシェアしたくなるでしょ。これはトークだけでなくイベント企画とかにも応用できる視点です。

もう一つ、これは上級者向けですが、さきほどの「笑い」「悲しみ」「感動」の3つに30%くらいの毒を盛る。それが記憶を呼び覚ますアンカーになって忘れにくくなるんです。毒とは何かというと、自分の意思です。それはまだ難しいと思うので、まずは感情を語る、そして学びで締めるとすごくいいです。そうすると面接官も、あなたの経験や学びが自社に生かせそうだなって思えるんです。

石井 感情って僕の主観なので、相手と認識のズレが生じることもあるんじゃないかと思うのですが。

中北 まさに主観だからいいんですよ。あなたがうれしいと思うことを、相手がうれしいと思う必要はないじゃないですか。自分が受験勉強はやりがいがあったけど、ある人から見たら気にくわないやつだなと思われていても、別にいいやん。あなた固有の体験と、どんな意思を持っていたのかということから、石井さんがどんな人物かを知ることができるのが、面接において重要なんです。

(文・構成 安田亜紀代)

中北朋宏
浅井企画に所属し、お笑い芸人として6年間活動。トリオを解散後、人事系コンサルティング会社に入社し、内定者育成から管理職育成まで幅広くソリューション企画提案に携わる。その後、インバウンド系事業のスタートアップにて人事責任者となり、制度設計や採用などを担当。2018年に人材研修コンサルティングなどを手掛ける株式会社 俺を設立し、社長就任。

「ウケる」は最強のビジネススキルである。

著者 : 中北 朋宏
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,650円 (税込み)

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