国内消費量が4年連続で過去最高を更新中のチーズ。中でも「ナチュラルチーズ」の人気上昇ぶりが著しい。「プロセスチーズ」よりも本格的な味わいを求め、ワインに合わせようというこだわり派が増えているからのようだ。国内でも北海道を中心にナチュラルチーズ工房が増えている。だが、実はチーズもワインも個性の強いものが多いため、合わせるのは意外に難しい。組み合わせ次第ではおいしさが台無しになることもある。合わせるコツをまとめた。
ワインとの組み合わせが問題となるのは、牛やヤギなどの乳を直接固めたナチュラルチーズ。チーズの本場欧州では、チーズと言えば、通常ナチュラルチーズを指す。これに対し、日本で普及しているのは、熱で溶かしたナチュラルチーズに乳化剤を加えて固め直したプロセスチーズ。誰の口にも合うよう癖のないまろやかな味わいにしてあるので、合わせるワインのタイプも問題にはならない。
一方、ナチュラルチーズは原料乳や製造工程、さらには産地の違いで、香りも味わいも食感も大きく違う。塩気が強かったり、強烈な香りを放ったりするなど、個性的な味わいのものも多い。日本で売られているのは欧州産が圧倒的に多いが、国内でも高品質のナチュラルチーズをつくるチーズ工房が各地に増えるなど、プロセスチーズに慣れ親しんだ日本人の間でも、ナチュラルチーズの人気が高まっている。
ナチュラルチーズ専門店のフェルミエ(東京・港)には、「プレゼントされたワインを開けたいが、どんなチーズが合うかと質問されるお客様や、ホームパーティーを開くのでワインに合うチーズを探しに来たといったお客様が目立つ」(社長の西村千鶴さん)。やはり、高級ワインにはナチュラルチーズを合わせたいと考えると同時に、どんなチーズを合わせたらよいのか悩む消費者が多いようだ。