「理路整然・分かりやすく」で組織導く 説明に全力PwCジャパングループ 木村浩一郎代表(上)

「正しい」にこだわる

――公認会計士になろうと思ったきっかけは何ですか。

「正しいことにこだわった人生を送りたかったのです。感覚的なものや定性的なものではなく、目で見える数字で語って人の役に立ちたい、ということです。『自分に正直でいる方が結局は一番楽だな』という気持ちもありました」

「具体的に会計士を目指すようになったのは大学生のときです。サークルで親しかった先輩が『公認会計士の試験受けるからサークル辞める』と言い出したのです。そもそも会計士が何なのか分からず、先輩に話を聞いたところ、正しいことにこだわり、数字でしっかり説明する、というところに興味がわきました」

「大学では経済学のゼミに入っていました。当時はバブル景気で、大手金融機関に就職する学生が多かったです。たしかに当時、金融機関のボーナスはものすごい金額でした。しかし、経済を学んだ私からすると違和感を覚えました。そんな中で、数字の世界でエビデンス(証拠)をベースにして物事を進める会計士という仕事は私に合うな、と思ったのです」

スポーツはテニスやゴルフが好きだったが、忙しくなったこともあって「今はやれていません」。毎朝続ける習慣として「腕立て伏せとか腹筋背筋とかは何十年間と欠かさずにやっています」

――どのような会計士をめざしたのですか。

「日本に閉じているのではなく、世界に通用する会計士になりたいと考えました。私は中学・高校とミッションスクールの栄光学園(神奈川県鎌倉市)に通いました。外国人の先生がたくさんいて、英語の授業も充実していました。学校に自由に議論する環境があったのも大きかったです。両親と妹はカトリック教徒ですが、私は洗礼を受けていません。宗教に反発する気持ちがあって、神父と論争したこともあります。『何で洗礼を受けないのか』と言われて、『私は神がいるとは思えません、目に見える証拠がないからです』と、くってかかりました。当時は宗教がものすごく感覚的に感じていたのですね」

「『お金が全てではない』というのもキリスト教教育の影響があったのでしょう。実際に会計士として働くようになって、『企業の価値が全て数字で測れるわけではない』と分かってきました。今は企業の価値を財務数値なり金額換算のみで見るのでなく、企業文化、人材を定性的な価値で評価しようという動きが出ています。企業監査でも、非財務の部分で何らかの保証の仕組みを考えようという流れがみられます」

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木村浩一郎
1963年生まれ。87年早大政経卒。86年青山監査法人入所、プライスウォーターハウス米国法人シカゴ事務所出向を経て、2000年中央青山監査法人代表社員。09年あらた監査法人(現 PwCあらた監査法人)執行役、12年代表執行役。16年から現職。19年7月からPwCアジアパシフィックのバイスチェアマンも務める。

(笠原昌人)

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