「理路整然・分かりやすく」で組織導く 説明に全力PwCジャパングループ 木村浩一郎代表(上)

――今の時代、リーダーには何が求められていると考えますか。

「リーダーは方向性を明確に示さなければいけないと思います。自らが語ることを、皆にしっかり理解して、納得してもらうために全力を尽くさなければなりません。グループ代表に就いてからの3年間を振り返ると、よい結果が出た場合はそうだった、という経験則です」

「人材や資金などの経営資源は限られています。それをどこに充てるのか、最終的に決めるのはトップです。一方、経営資源はグループ全体の財産でもあります。それをどのように割り振って全体の価値を高めるか、トップは説明責任を果たす必要があります。単に理解をするだけではなく、納得した上でそれぞれの専門性を生かすかたちで参加してもらう。十分にコミュニケーションして前に進めていくことが、求められているのだと思います」

米国で学んだ「理路整然と伝える」

――リーダーシップについて考えるきっかけはどのようなものでしたか。

「1993年から97年まで、米シカゴに駐在して、現地パートナーの監査法人で仕事をしました。その際、彼らの監査先に対する強い影響力に、非常に多くを学びました。監査の仕事は企業全体の課題を的確に把握して経営トップに伝えることです。米国の会計監査人でも企業経営の経験がある人は少ないのですが、むしろだからこそ、客観的で大局的な観点に立って経営陣に物申していました。自分たちの提言がその企業だけでなく、国の経済にもプラスになるのだと、理路整然と分かりやすく伝えていたのです。公認会計士はそれだけの影響力を発揮しなければならない職業なのだと強く感じました」

PwCインドはジャパンと成長率でトップを争うライバル(左が木村氏、右はインドの責任者)

――自身の仕事で実現できましたか。

「日本に戻って取り組んでみましたが、なかなか、すぐにはうまくいきません。まだまだ知見に乏しく、洞察力もありませんでしたので、監査先の経営陣に意見を申し上げても、響かなかったのです。自分のリーダーシップのなさというか、米国での同僚たちと何がどう違うのか悩みました」

「米国の幼稚園で『ショー・アンド・テル』という活動を見ました。子供が何かを持ってきて皆の前で説明するというものです。米国では幼少のころからリーダーシップ教育というか、それに近いものを経験するのです。そうした環境で育った米国の同僚に『早く追いついて仕事をしたい』と強く思いました」

「こうした経験から、グループ代表に就いてからは『言うべきことをはっきり言う』『理路整然と分かりやすく伝える』――そういう組織にしようと走ってきましたが、その結果は業績に表れていると思います。私の前任者からも含めて、PwCジャパングループの成長率はグローバルネットワーク157カ国・地域の中でも1、2を争うものです。ビジネス上で成功例としてグループ内で注目されています」

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