小型で割安な「変身ケチ会社」を狙え(苦瓜達郎)三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー

写真はイメージ=123RF
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前回、小型割安株の上昇相場は終盤戦に差し掛かっていると書きましたが、実際に年末から年始にかけては、やや一服感が出てきました。一方、いわゆる成長株に関しては、乱高下しつつも上昇基調を保っています。もともと割安株の値動きは遅行しがちなことを考えると、もう一回割安株にチャンスが回ってきてもおかしくはありません。

割安株に芽生える増配への期待

さらに、季節的には3月期決算銘柄の業績が見えてくる中で、増配に踏み切る企業が増えることも期待できます。増配によるメリットは成長株よりも割安株の方が大きいと考えられます。

企業業績は全体的には好調ではありません。しかし、昨年に米中貿易摩擦が過熱する中で懸念されていた悲観シナリオに比べると、状況は悪くないといえます。もともと増配意欲があったにもかかわらず、万一のことを考え「据え置き」と発表していた企業にとっては、増配を発表するタイミングが来たと言えるでしょう。

大企業に比べると一歩遅れる形ではありますが、中堅企業でも確実に増配意欲は高まっています。今期に関しては、期初から減益予想にもかかわらず増配を発表した企業がかなり目立ちました。それ以外にも「減益であっても増配してもいい」と考えている企業はかなり存在するものと考えられます。

配当性向30%じゃ低すぎる

配当性向に関しても、従来は「30%を目指す」という風潮だったのが、最近では「30%では低い」という空気感に変わってきました。

個人的見解では、30%という配当性向は成長のため継続的に減価償却費を上回る投資が必要な企業にふさわしい水準であり、現在の日本企業の過半にとっては過小な数値だと思っています。すでに十分な内部留保のある企業に関しては、利益をすべて配当に回すのが本来の形だと考えます。

株主還元が遅れているということは、逆に増配余地が大きいということを意味します。還元で先行していた証券業界などは、もはや増益を伴わない増配は困難な状況に陥っています。それに対し、高収益・低配当性向な状態を続けてきた企業に関しては、いったん還元強化の方向にカジが切られれば、その継続性は高いと言えるでしょう。

増配企業の見分け方は…

では、どうやって増配企業を見極めるのか。これに関しては、私は答えを持っていません。ファンドマネジャーとして実践しているのは、ひたすら利益面から見た割安度で銘柄選択を行い、幅広く投資を行って、あとはひたすら待つということです。

すでに多くの投資家が「今年も増配するだろう」と予想している企業より、「まさかあのケチ会社が」という企業の方が増配発表時のサプライズは大きいので、あえて企業側の本心を推測しないこの戦略は、そんなに悪くないと考えています。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎

三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年に当時の大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。
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