リビングは収納ゼロ 30代ミニマリストの快適生活
「スマホひとつ」で旅するように暮らしたい!目指すのは「スマホ1つ」でいつでも旅に出られる自分。「持たない暮らし」の快適さを発信するミニマリストの飯島彩香さんに、シンプルに暮らすための極意を尋ねました。
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飯島さんが、「持たない暮らし」の快適さを実感したのは、半年間のアメリカ生活がきっかけ。「期間限定だったため、持っていったのは最低限の洋服や必需品だけ。モノが少ないと、こんなに片づけや掃除がラクなんだと驚きました」
もともと片づけは嫌いではなく、すっきり暮らしているつもりだったが、帰国して自分の部屋へ戻ると「こんなに余分なモノであふれていたのか」とがくぜん。整理収納アドバイザーの資格を取得して家中を見直し、不要なモノを手放した。持ち物のなかで、最も多かったのは洋服。
「それまでは『毎日同じ服を着るのはタブー』と思い込み、クローゼットに入り切らないほど持っていました。でも、ほんの一握りのお気に入りの服たちと毎日を過ごすほうが、私にとって心地良いと思えるようになり、どんどん手放していったのです」
最終的には約6割のモノを手放すことになり、家の中はぐんと風通しが良くなった。
「結婚と同時に今のマンションを購入しましたが、いずれはもっとコンパクトな家に、賃貸で暮らすことも視野に入れています」
目指すのは、単にモノを減らすだけでなく、「快適な量を持つ」暮らし。「必要なモノだけに囲まれることで、今の自分に自信が持てるようになりました」。
【ミニマルライフ 01】家時間の大半を過ごす部屋には収納ゼロ。テーブルとソファ、グリーン、テレビだけ
約14畳のLDKは、最小限の家具を置いたシンプルなインテリア。「モノが少ないとほこりがたまりにくく、掃除がラク。味気なくならないよう、壁は絵を飾ってもOKと決めています」。
Nordoの無垢(むく)材のダイニングテーブルは、ダイニングチェアに合わせて購入。木のぬくもりが心地よい。
HALOのチェアはインポートで、テーブルと高さが合わなかったため、脚を5センチカットして短くした。チェアの素材は革とリネン、ベロアとあえてそろえずバラバラに。
家具以外のインテリアは、大きなグリーンひとつだけ。周囲にモノがなく、のびのび育っている。
キッチンとリビングを仕切る壁には、グレーのはがせる壁紙をDIYで貼ってアクセントに。100均の額には、お気に入りの図案をプリントして入れて、ディスプレーした。
【ミニマルライフ 02】持ち物は少なくシンプルに。身軽に暮らすと余裕が生まれる
モノを減らしてシンプルに暮らすことで、家事や身支度の効率がアップ。お金や時間の無駄がなくなって心に余裕が生まれ、夫婦のご機嫌な時間も増えるように。
<LIVING>
空中ポケットでリモコン&眼鏡を定位置に管理
出しっ放しにしやすいリモコンや眼鏡は、壁に取りつけた空中ポケットへ。「腰から胸の高さに定位置をつくると、戻しやすくなります」。ホチキスで設置できる「壁美人」で傷痕の心配もなし。
<KITCHEN>
引き出しの中の調理器具は1軍のみ
キッチンの引き出しはダイソーのボックスで仕切り、毎日使う「1軍」の調理器具だけをスタンバイ。「中身を見渡せるので、必要なものをすぐ取り出せます」。
スパイス類はセリア&ダイソーのケースで素早くひと振り
コンロ下には、セリアとダイソーのケースに詰め替えたスパイス類を配置して効率アップ。「出さなくても中身が分かるよう、上にラベルを貼っています」。
キッチンペーパーも扉の中で目隠し
キッチンペーパーやラップも出しっ放しにせず、シンク上の収納へ。「作業中もワンアクションで取れる位置なので、出し入れの手間もかかりません」。
キッチンには何も置かないだけで掃除が激ラク
調味料や菜箸、水切りラックは置かず、何もない状態をキープ。「油汚れや水アカがたまらないので掃除がラク。キッチンが広いと料理も楽しくなります」。
<CLOSET>
服はハンガーの数しか持たない
服はすべて無印良品のハンガーに掛けて"見える化"。「1枚買ったら古い服を1枚手放します。季節によって位置を移動させるだけなので、衣替えも不要」。
手持ち服のコーデ写真をクローゼットの扉にぺたり
クローゼットには、手持ちの服で組んだコーディネートの着用画像を貼って身支度の参考に。「ワンパターンも防げる上に、その日の気分でパッと選べるのがグッド」。
通勤バッグは2つ。壁掛けで取り出しやすく
使用頻度の高い通勤バッグは、クローゼットにしまわず壁掛けに。「服に合わせて2つから選びます。後づけしたフックは、ホチキスで止まる『壁美人』のもの」。
<PRESENT>
プレゼントは花束かスタバカード
モノを増やさないよう、親しい友人や家族にはプレゼントはいらないと伝えておく。「自分が贈るときも、後に残らない花束やスタバカードを選んでいます」。
【ミニマルライフ 03】キャッシュレスの便利さを実感。お金の流れをスリム化、効率良くためる
アメリカ生活では、クレジットカードや電子マネーでの決済が基本。チップも割り勘もクレカで対応できるなど、現金を持ち歩かない暮らしの身軽さも心底実感した。
「帰国後は、使わない銀行口座やクレジットカードを解約。出入り口を減らして、見えないお金の動きをなくすことで、正確に収支を把握できるようになりました。さらに、アプリを駆使してポイントカードをデジタル化し、財布もコンパクトに」
家計簿アプリで収支を手のひらでいつでも確認できるので、お金に関する不安も軽減した。
「以前は何か買うたびに、『大丈夫?』とどこか心配でした。今はお金の流れが正確に分かっているので、必要なときは自信を持って使える。モノを捨てる罪悪感も十分に知ったので、浪費もなくなりました」
生活費はクレカ決済。スマホとクレカだけで外出
食費や日用品代、保険料や通信費、定期券代など、可能な限りクレジットカードで支払う。「スマホケースにクレカとスーパーのポイントカードを1枚ずつ入れて外出」。
服や化粧品を楽天市場で買うときのみ楽天ゴールドカードを利用。「ハピタスなどのサイト経由で買うと、ハピタスポイント、楽天ポイント、クレカのポイントとトリプルでたまってお得」。
ポイントカードは財布の中でなくスマホのアプリで管理
増えがちなポイントカードはスマホのアプリで管理。「公式アプリはポイント残高を確認できるものも。ポイントカード関連のフォルダを作っておくと便利です」。
公式アプリのないポイントカードは、バーコードをスキャンしてデジタル化するアプリ「Stocard」で整理。使用時にはレジでバーコードを表示すればOK。
財布こそ、ミニマル。3つ折りタイプを愛用
財布はサンローランの3つ折りタイプ。「手のひらサイズなのに、お札を折らずに入れられるのがグッド。ポイントカードはドラッグストアの1枚だけ」。
家計簿アプリで1秒で家計を把握
日々の家計収支は家計簿アプリでチェック。銀行口座やクレカ、電子マネーとも連携でき、カード決済すると自動でカテゴリー分けしてくれる。「生活費のほとんどをクレカ決済しているので、面倒な入力作業もありません」。
家計簿アプリ。銀行口座やクレカと連携して、自動で家計簿を作成。収支を一括管理できる。
【ミニマルライフ 04】スマホなどの情報を賢く整理&バッグの中身は最小限
モノを手放してお金の流れを整理し、身軽になる心地よさを知った飯島さん。
「もっと片づけられる場所はないか」と考え、スマホやパソコンの中を整理して、あふれ返る情報のムダをなくすことに。
「アプリやクラウドサービスを活用すれば、モノも減らせて、管理する手間も省けます」。
例えば、手元に増えがちな病院の診察券はアプリでデジタル化。持ち歩く手間も省いた。
「スマホに大事な情報を集約するため、セキュリティソフトを入れ、外出先では安全性をチェックした上で、Wi-Fiに接続します」。
家の中のモノだけではなく、家計や情報など、「目に見えないもの」までシンプルにすることで、暮らしはぐんと快適に。
「いつでもスマホ1つで旅に行けるような身軽さが理想です」。
スマホのアプリは、トップ画面に集約してカテゴリーごとにフォルダ分け
スワイプの手間を省くため、アプリはすべてトップ画面に集約。「すぐ開けるように、『お金』『動画&音楽』などカテゴリーごとにフォルダ分けし、使用頻度別に配置しています」。
飯島さんのスマホアプリおすすめ4選
Evernote
パスワード管理やTO DOリスト、アイデアメモなど、オールマイティに活用。「脳内に浮かんだことはすぐにメモ」。
楽天PointClub
楽天スーパーポイントを使って投資体験ができるアプリ。「まずは1000ポイントから挑戦。投資のイロハが学べるので初心者におすすめ」。
Spotify
4000万曲が無料で聴けるアプリ。「Google Homeと連携させて、通勤中に見つけたお気に入りの曲をリビングでも流しています」。
iCloudカレンダー
スケジュールアプリで夫婦の予定を共有。予定を入れると相手の画面にポップアップされる。「紙の手帳は2人とも使っていません」
病院の診察券&お薬手帳も管理はスマホの中で完結
診察券を撮影するだけで病院情報が連携される診察券まとめアプリを利用し、持ち歩く手間を省く。「アプリでカルテと照合できるかどうか、あらかじめかかりつけの病院へ確認しておくと安心。診察券忘れも防げます」。
紙の診察券まとめアプリ。診察券を撮影するだけで、病院情報が連携され、予約がスムーズに。名前と患者番号が分かれば、病院がカルテと照合してくれる。
思い出の写真はクラウドにアップロード
昔のデジカメのデータを入れたCD-Rが場所を取っていたため、思い切ってクラウドへ移行。「時系列に並び替えたり、顔認識機能で特定の人をまとめて表示してくれたりするので、昔の写真もすぐに探せます」。
ミニマルな通勤バッグの中身拝見
通勤バッグの中身も必要最小限に。「中身が一目瞭然になるように立てて収納しているので、必要なものを探して慌てることもありません」。右写真は、右上から左下に向かって、目薬、リップクリーム、口紅、名刺入れ、小物入れ、鍵、会社用スマホ、イヤホン、スマホ、財布。
会社員、ミニマリスト。都内のマンションで夫と2人暮らし。半年間のアメリカ生活をきっかけにミニマリストに目覚め、整理収納や家計管理のアイデアをインスタグラムで発信。著書に『スマホひとつで暮らしたい』(KADOKAWA)。インスタグラム「@aya.jima」。ブログ「ラクして身軽に賢く暮らす」
(取材・文 工藤花衣、写真 小野さやか)
[日経ウーマン 2019年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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