老後の節約ほどほどに 高齢者消費が日本の成長を左右

日経マネー

写真はイメージ=123RF
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2019年4月の退職に伴って、新しい仕事の足場として設立した合同会社フィンウェル研究所のホームページが、やっと10月に立ち上がりました。その際に何より気を配ったのは、「この会社が何を目指していくのか」という部分です。

世間ではこれをMissionやVision、Valueなどかっこよく表現することがはやりです。しかし高齢者を対象にしようとする私にとっては、英語を使って経営を示すのではなく、もっと分かりやすく「何を目指すのか」をまとめる方が重要に思えました。

それが「高齢者が安心して資産を活用できる超高齢社会」です。対象者は「高齢者」、自分も含めてその人たちが「生涯にわたり安心して持っている資産を活用していける(使っていける)」、そんな「超高齢社会」を目指したい、と考えています。

巨額の資産が眠ったまま?

このメッセージで最も大切なのは、「安心して使える」という点だと考えています。

先日、生涯現役の日(10月1日)の交流イベントに参加してきました。雇用(企業側の目線で)、就労(働く人の目線で)、社会活動、健康寿命、資産寿命の5つのテーマを、それぞれのグループに分かれて議論し、それを発表するイベントでした。

私は資産寿命のテーブルで発言をさせていただきましたが、資産寿命というテーマの議論には、やはり「いかに資産を使わないようにしていくか」が根底にあるように思いました。この視点からすると、「安心して資産を使っていける超高齢社会」とは逆の考え方なのではないかとも思いました。

しかし、高齢者が持っている資産を使わなければ、将来的に4割が65歳以上になる世界で誰が消費を担うのでしょうか。

「日本の個人金融資産は1900兆円」といわれます。個人保有の土地や設備なども含めると、その額は実に3000兆円弱です。この事実が忘れられているように思います。

相続では土地の評価がいつも話題になりますが、これも含めて考えるのが本当の意味での資産です。特に高齢者の場合には。

円グラフは、国民経済計算を基に17年に個人が保有している金融資産と土地、設備などを合算したものです。この総額は2976.6兆円になります。このうち、個人金融資産と同様に3分の2を高齢者が保有していると仮定すれば、「2000兆円の資産を持った世代」が高齢者なのです。

ところが、その高齢者は総じて資産を使わないように、使わないようにと考えて生活を送っています。平均余命が長くなって、自分の寿命まで資産が持つかが心配なわけですから、そうした傾向が強まるのは致し方ないことです。しかし、彼らは、いや私たちはこの2000兆円の資産を有効に活用しているのでしょうか。

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