やるべき仕事量を「見える化」 能率を上げるメモ術『仕事の「見える化」「記録術」』 谷口和信氏

こまめにメモを取って、後から見直すことで時短につなげる(写真はイメージ)=PIXTA
こまめにメモを取って、後から見直すことで時短につなげる(写真はイメージ)=PIXTA

忙しく働いているのに、なぜか時間が足りない。多くの働き手が抱える悩みだ。『仕事の「見える化」「記録術」』(明日香出版社)を書いた谷口和信氏は「自分がどの仕事にどれだけの時間を割いているかを、手帳やノートに記録して『見える化』すれば、効率が上がる」と説く。記録と活用のメリットやノウハウを教わった。

業務内容は時間とセットで記録に残す

「時間活用コンサルタント」を名乗っている谷口氏だが、もともとは「なまけがちな性格で、時間を無駄にしていた」と振り返る。しかし、日々の過ごし方をこまめに書き留めるようになってからは、格段に無駄な時間が減ったという。これまで世に出た時間活用術や手帳マニュアル本では、細かいルールに従って行動を管理するような内容もあったが、谷口流はもっとシンプル。「とにかく書き込む。書くか書くまいかと悩む時間がもったいない。行動の節目で書き込む習慣をつければ、時間の使い方が記録に残る。使い方は後で考えればいい」と「迷わず記録」を促す。

業務内容は時間とセットで記録に残す。始まりの時刻と終わりの時刻を、4けたの数字で書き添えれば済む。業務の中身は「~工業向け企画書」といった項目程度で十分だ。記録に残すことが主な目的だから、丁寧に書き込むには及ばない。「あまり丁寧に書こうとすると、面倒くさいという気持ちが起きてサボッてしまいがちになる。書き込み項目は素っ気なくてもいいから、たくさんの行動を書き留めるほうを優先するのは、長く続けるうえでも大事な点」という。

「時短と成果が両立する」と副題にある。この効果を引き出すためには、読み返しが肝心だ。行動を漏らさず書き残すのは、この読み返しの精度を高めるためでもある。それぞれの業務の成果や満足度は自分の頭に入っているはずだから、読み返せば各業務と投入時間の「費用対効果」を検証できる。3時間を費やして会議での評判はもう一つだったA社向け企画書づくりと、1時間で片付けたけれどまずまずの評価を得られたB社向け資料準備があったら、次回以降は「B社向け」式を目指せば時短につながる。「無駄や非効率を洗い出すうえでは、自分の時間データが必要。行動を所要時間付きで書き込んだ手帳は最高のデータを提供してくれる」(谷口氏)

「脱・完璧主義」のススメ

時短は上記の手順で可能になりそうだが、成果のほうはどうか。こちらは発想の切り替えが効果的だ。谷口氏の本業は建設業なので、施工主・発注者とのやりとりを重ねながらプロジェクトが進んでいくことが多い。つまり、最初から完全な計画の全体像は見えていない。提案と手直しを何度も繰り返して、徐々にプランが固まっていく。こういう取り組みの場合、必ずしも初期に練り込んだ仕様は期待されていない。たたき台のような下案を示して、気づきを引き出しながらバージョンアップを重ねていくほうが手戻りが少なくて済む。そうした経験を踏まえて「細部まで考えすぎて時間と労力を過剰につぎ込むのは効率が悪い。初案はほどほどのレベルにとどめて構わない」と谷口氏は「脱・完璧主義」を提案する。

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