不妊の半数は男性が原因 治療法は進展、簡易の検査も

2020/1/21
写真はイメージ=PIXTA
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不妊治療を受ける人が増えている。治療が始まると負担は女性側にのしかかり、キャリアへの影響も大きい。男性が生殖能力を知る機会は女性より少ないが、男性不妊に目を向けるのも大切だ。早い時期から男女で一緒に取り組むことが時間や費用、心身にかかる負担の軽減につながりそうだ。

「どんな苦労をしても、しっかり育てたい」。神奈川県に住む40代の男性会社員は、2019年秋に生まれたわが子の写真を慈しむように見つめて話す。

約4年に及んだ不妊治療は壮絶だった。「当時は子供のいる人と話したくないと思ったり、何気ない一言に傷ついたり。性格が変わったかのようだった」と振り返る。

40歳目前の13年に結婚、「すぐにでも子供が欲しかった」。1年ほど自然に授からず、妻に提案して不妊治療を始めるも、タイミング法や人工授精がうまくいかない。自分の精子の数と活動量が平均値以下だと知った時には、結婚から2年ほどたっていた。体外受精に踏み切って1年半、ようやく妊娠・出産に至った。

とりわけ気がかりだったのが、自分に原因があるのに、治療の負担が妻の身体にかかることだ。体外受精で男性側は通院や指定された日時に精子を提出する。治療は上司に伝えず、有給休暇を月1回取った。一方で女性側はタイミングを計るためホルモン投与や内診をこまめに受ける必要がある。仕事を持つ妻が不規則な休みを間際に申請するのは容易ではない。妻は治療途中で仕事を辞めた。

総治療費は400万円を超えた。妻が「もうやめたい」と言い出し、夫婦に温度差が生じた時期もあった。「子供ができなくても幸せだよ」と妻に話しつつ、「妊娠しなかったら『もう一回』と頼み込んだと思う」。要所要所でどうするかを真剣に話し合って夫婦の足並みをそろえた。

NPO法人Fine(東京・江東)が不妊治療を経験した約5千人にアンケート調査したところ、96%が「仕事との両立が困難」と感じたと回答。そのうち半数が退職したという。会社に支援制度があっても、知られたくないなどの理由で使わない人もいる。

男性不妊の理由には精子の量や運動率が十分でない「造精機能障害」のほか、静脈が精巣に向かって逆流して徐々に精巣機能を弱める精索静脈瘤などがある。世界保健機関(WHO)の2017年の報告によると、不妊カップルのうち男性に原因があるのは24%。男女両方にあるのは24%で、合計すると約半分で男性に原因があるとされている。