検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

『シャボン玉とんだ~』を演じられる幸せ(井上芳雄)

第60回

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

井上芳雄です。1月7日から日比谷シアタークリエでミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』に出演しています。1988年に音楽座の旗揚げ公演として初演され、その後も継続的に上演されてきた名作で、僕は日本オリジナルミュージカルの傑作で宝物だと思い続けてきました。そんな作品に出られてとてもうれしいし、今の時代にどう受け入れられるのか、どきどきしながら演じています。

僕が演じるのは、シャイで頼りない青年・悠介。周囲から心配されながらも、作曲家として身を立てるという夢に向かって努力していた彼は、ある日、スリの少女・佳代と遊園地の迷路で出会います。身寄りがなくひねくれて生きてきた佳代でしたが、「いつの日か夢は叶う」と言う悠介の姿に、素直な気持ちを思い出し、2人は恋に落ちます。ところが、佳代には本人も知らない秘密があった……というお話です。

残念ながら僕はこの作品を舞台で見たことがありませんが、舞台中継を録画したビデオは何度も見ました。小学生くらいのころ、夢中になって見た思い入れのある作品で、日本にもこんなキャッチーな音楽で、笑えて泣けるミュージカルがあることに、すごくびっくりした記憶があります。

いろんな要素を持っている作品ですが、一番の魅力は物語のスケールが大きいこと。人生に迷う男女が時間と空間を超えて愛を貫くストーリーに、宇宙人まで絡んできます。そんな想像を超えるSFのようなところがミュージカルにすごく向いていて、歌うことの不自然さを払拭してくれるというか、宇宙まで行っちゃうと歌ってもおかしくないだろうと。日本の話は、僕たちの日常なので、なかなか歌ったり踊ったりするところまで飛躍させにくいのですが、そこがうまくいっている希有な作品だと思います。

それほど偉い人や強い人も出てこなくて、弱い立場の人が一生懸命に生きている話です。人間や生命に対する眼差しが温かくて、とても感動的なのですが、同じくらい笑いが多いのも、この作品ならでは。音楽座の初演版で佳代を演じた土居裕子さんに聞いたのですが、脚本を書かれた横山由和さんが関西出身ですごい照れ屋で、ずっとシリアスな話を書くと照れるので、笑いをどんどん入れてしまうのだそうです。コントもどきの場面もあるし、客席から笑いが絶えません。僕たち俳優は、幸せな気持ちで演じられています。

音楽も主題歌の『ドリーム』をはじめ名曲ばかり。外国のミュージカルだと、音域が高いのや低いのがあって、曲のレンジが広いことも多いのですが、日本人の話だとそんなに声を張り上げるわけでもなく、無理のない音域。しゃべっているのと変わらないくらいの音域で歌うから誰でも口ずさめるし、シンプルなメロディーで、シンプルな言葉しか使ってない。それが物語の力で感動的な歌になるのも、日本のオリジナルミュージカルのお手本のように思います。

 僕自身の役を言えば、悠介は夢は大きいのですが、普段はシャイで頼りなくて、「もっと自信を持て」と言ってやりたいようなキャラクター。僕自身、あまりやったことがない役柄です。どうやって演じようかと、いろいろ考えました。

1988年に初演されたころはバブルの時代で、会社員の男性の方もけっこう劇場に来られて、感動していたそうです。それって、佳代のような女性を救いたい、幸せにしたいという男性の願望が反映していたようにも思います。でも今は、俺が幸せにしてやる、という時代でもないし、一緒に幸せになろうとか、むしろ幸せにしてくれ、かもしれない(笑)。演出の小林香さんからは、「場をリードしたり、頼れる人みたいな感じはなくしてください」と言われました。たしかに、悠介は佳代をもちろん幸せにしたいけど、佳代からもたくさんの励ましや新しい人生を与えてもらっている。イーブンな関係であるはずです。

それでたどり着いたのが、僕自身はツッコミの性格なのですが、悠介は逆にボケだと。ニコニコしながら、「はあ…」とか言いながら、周りを見ているような存在。「そうだ。ボケを演じればいいいんだ」と思うと、すごくやりやすくなりました。ただ、自分にないものを出している感も強いので、演じるときは集中力が必要です。

王道のミュージカルなので、ダンスシーンもいっぱいあります。悠介として踊る場面は、あまりキレキレになるとキャラクターと違うかなと思い、ちょっと間をとったりもしています。体力的には大変ですが、ミュージカルをやっているという感じがして楽しいですね。

うれしいのが、日本の話だから「ありがとう」とか「ごめんなさい」と言うときに頭を下げるお辞儀の動作を、ミュージカルでできること。いつもの外国人の役だと、せいぜい会釈くらいで、お辞儀はできません。今回が初めてくらいじゃないでしょうか。いろんな意味で、日本人の琴線にふれる要素が詰まっています。

けいこのときからすごい熱量

この作品にかかわって実感したのが、本当に多くの人に愛されていること。『シャボン玉~』を見てミュージカルを好きになったとか、ミュージカル俳優を目指したという声をたくさん聞きます。僕自身も夢中になった作品ですし、まさか実際にやれることになるとは思ってもいなかったので、幸せな限りです。

しかも今回は、土居さんをはじめ、畠中洋さん、吉野圭吾さん、濱田めぐみさんら音楽座に在籍していた方々が参加してくださり、佳代を演じる元宝塚雪組トップ娘役の咲妃みゆさんをはじめ、いろんな出身のミュージカル俳優が一緒になって、新しい『シャボン玉~』をつくれたのは夢のようなこと。皆それぞれに思い入れが強い作品とあって、けいこのときからすごい熱量でした。それは次回、紹介しようと思います。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第61回は2020年2月1日(土)の予定です。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_