行政府=ガバメントはOS

著者によれば、行政府=ガバメントはOS(基本システム)のようなものだ。ビジネス領域でデジタル化が進み、生活が変わってくると、「アプリケーションはどんどん新しくなっているのに、OSが古いままなのでアプリがうまく作動しない」というようなことが起こってしまうという。では、どうやってOSの入れ替えをするのか。

プラットフォームとしてガバメント、公共と市場、ネット空間と国家、個人情報やプライバシーの問題……論点は人間のあらゆる活動へと及んで単純な収束を許さない。ただ自分の仕事や活動とつなげながら考えてみると、どこかのポイントで何らかの形で関わることができるのではないか。そんな気になってくるくらいの論点の豊富さと考えるヒントの多さが本書の読みどころだ。デジタル社会の未来を見通すために何を考えておく必要があるのか、目の前のデジタル化にきゅうきゅうとしている人にはその奥行きへと目を向けさせてくれる本だ。

「青山の書店で売れていると聞いて注文を増やしたら、狙いどおり反応が出た」と、店長の三浦健さんは話す。デジタルにどっぷりつかってビジネスを回している人には、関心の高いテーマなようだ。

19年のヒット本が上位に

それでは、先週のベスト5をみておこう。

(1)ひとりの妄想で未来は変わる佐宗邦威著(日経BP)
(2)世界標準の経営理論入山章栄著(ダイヤモンド社)
(3)2030年の世界地図帳落合陽一著(SBクリエイティブ)
(4)アフターデジタル藤井保文・尾原和啓著(日経BP)
(5)1兆ドルコーチエリック・シュミットほか著(ダイヤモンド社)

(リブロ汐留シオサイト店、2020年1月5~11日)

19年刊行のビジネス書から書店員おすすめの本を紹介した当コラム年末の記事「書店員がおすすめ 年末年始に読みたいビジネス書10冊」で取り上げた本が3冊ランクインした。1位は青山ブックセンター本店の書店員がすすめてくれた1冊。前例のない取り組みを具体化する「現場の智慧(ちえ)」をまとめたところが企画系のビジネスパーソンの心をとらえたようだ。2位は同じ記事で紀伊国屋書店大手町ビル店の書店員が選んだ1冊。約30の経営の標準理論を網羅・体系的に紹介した内容だ。5位は三省堂書店有楽町店の書店員が推した、シリコンバレーの伝説のエグゼクティブコーチについての本だ。

3位には人気著者の落合陽一氏の本が入った。4位は、デジタルが完全に浸透した世界のイメージを最先端の海外事例から描き出し、日本のビジネス界がどのような企業変革に取り組むべきかを説いた本。19年3月刊の注目書が再浮上した。今回紹介した政府のデジタル化を考察した本は6位だった。

(水柿武志)

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