ライバルはみうらじゅん・中島信也 武蔵美はトキワ荘編集委員 小林明

日本の受験レベルの高さは武器、程よい挫折が成長には有益

――漫画界でも手塚治虫さん、藤子不二雄さん、石ノ森章太郎さん、赤塚不二夫さんら有名漫画家が青春時代を過ごしたアパート『トキワ荘』が有名ですが、若い頃には才能を競い合うライバルの存在が必要なんでしょうか。

すごいライバルたちと若い時期に出会えたのは大きな財産だという

「そう思いますね。武蔵美だけが特別ではないんでしょうが、良いか悪いかは別にして、日本の受験システムは世界でもかなり高いレベルにある。特に美大生のスケッチのレベルは驚くほど高いと感じます。これは世界で戦う武器になる。さらに武蔵美には、東京芸大に落ちたような学生が集まりますから、変なプライドがないので、逆に良いのかもしれません。程よく挫折を経験しているから、ハングリー精神や在野精神みたいなものがある」

米アートセンターは「虎の穴」、今もライバルには負けたくない

――奥山さんが留学した米アートセンター・カレッジ・オブ・デザインにも才能が集まりました。

奥山清行さんがデザインした鉄瓶(東京都渋谷区の事務所兼ショールームで)

「これは米国の『トキワ荘』ですかね。ただ武蔵美と違い、カリキュラムがものすごく厳しかったので、むしろ『タイガーマスク』に出てくる『虎の穴』(悪役レスラーの養成機関)に近いかもしれません。軍隊のようなスパルタ方式で授業に3回遅刻したら落第してしまう。入学時には40人ほどいた学生が、厳しいふるいにかけられ、最後に10人くらいしか残らない。でもその10人はどれも粒ぞろい。スケッチを激しく競い合いながら、大いに刺激を与え合っていました」

「ポルシェ・ボクスターを手がけたグラント・ラーソン、イタリアのバイク、ドゥカティ・モンスターを手がけたミゲール・ガルーツィ、ミニやフィアット、アルファロメオ、フェラーリ、マクラーレンをデザインしたフランク・ステファンソン……。同級生はそうそうたる顔ぶれです。武蔵美での同級生も含めて、こうしたすごいライバルたちと若い時期に出会えたのは僕にとっては大きな財産。今でもライバルの活躍や仕事は気になるし、負けたくないという気持ちは強い。生涯のライバルを持つのは、成長を続けるうえでとても大切なことだと実感しています」

(聞き手は編集委員 小林明)

エンタメ!連載記事一覧
注目記事
エンタメ!連載記事一覧