絵や雑貨で華やぎ演出 世界注目の台湾書店が日本上陸誠品生活日本橋

創業以来、独自のサービスとしておすすめ本の選定に力を入れている。1990年に始めた「誠品選書」は毎月、推薦図書を紹介するプロジェクト。台湾では4~5人の選書委員が会議を開いて、各人が新刊書の中からピックアップした推薦図書をプレゼンテーションする。1冊ずつ真剣にディベートをしながら毎月8~10冊を選んでいる。日本橋店では4人のスタッフが日本語の書籍を選定しているという。

1月の選書で一押しは広田尚久『ベーシック』。最低限の生活を送るための現金を支給するベーシック・インカム制度をテーマにした小説だ。「格差社会は国際的に問題になっている。読書を通してものごとを考えるという視点でピックアップした」と謝さんは解説する。選書スタッフの強い推薦があったため、書籍を題材とする本も2冊取り上げている。1つは米国史上最悪の図書館火災を題材に図書館の役割や未来図を描くノンフィクションのスーザン・オーリアン『炎の中の図書館』。もう一つは、日本でたくさんのヘイト本が出版・販売されている理由を探った永江朗『私は本屋が好きでした』だ。

売れている本より「読ませたい本」

創業者の呉清友氏の肖像。評伝の日本語訳が関心を集めている

日本の一般的な書店とは異なり、販売冊数をベースとしたベストセラー・ランキングは発表しないという方針を貫いている。「世の中で売れている本ではなく、私たちが読んでもらいたいと思う本を紹介したい」(謝さん)というこだわりからだ。「ベストセラー案内」の代わりに「専科本棚」という日本橋店独自の陳列棚を設置した。ここでも「読書とは考えること」という思いから、スタッフがまず社会的な関心事に関連する書籍を複数選ぶ。2019年に話題になった出来事から、「プラスチックを減らす生活」「副業が今流行っている『定時退社』経済」「2019/5台湾、同性婚合法化へ」などをテーマに設定した。

活字離れの傾向は、日本と同様、アジア諸国でも顕著だという。誠品生活は「本が好きな人も、そうでない人も、とにかく本屋に来て実際にページをめくってほしい」というメッセージを発信している。来店者を楽しませる仕掛けとして、頻繁に開催するイベントも誠品生活の売り物の一つになっている。1月25日には「台湾春節」(旧正月)を迎える。その前夜は、めでたいお菓子のプレゼントや台湾映画の上映会などで顧客をもてなす。25日は台湾出身の作家・女優である一青妙さんをゲストに台湾正月料理とトークを楽しむイベントを開く。

(若杉敏也)

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