内本「ボタンを替えるとリフレッシュしますよ。水牛のボタンは一番スタンダードで常備しています。常備していないものでも1週間ほどで取り寄せが可能です。こちらが見本帳です」

ジャケットのボタンを水牛に替えるだけで格が上がる

――種類が豊富ですね。印象がずいぶん変わりそうです。

石津「僕は夏になると、春夏のブレザーのボタンをメタルボタンから白い貝ボタンに替えています。ぐっと軽くなりますよ」

定番は水牛のボタン。ほかのボタンは1週間ほどで取り寄せが可能だ

内本「プラスチックボタンを水牛に替えるだけでジャケットの格が上がります。同じ茶のボタンでもトーン、つやの有無、彫りの深さ、厚みで表情はかなり異なります。ソファに座って見本帳を眺めて楽しそうに選ぶ方が多いです。水牛であればセットで3500円。付け替えが1つ200円くらいです」

――裏地も鮮やかなものに張り替えるだけで気持ちが上がりそうです。

内本「裏地は季節別の素材や色柄がそろいます。ジレの背中の部分に華やかな柄を持ってきたり。女性ですとエルメスのスカーフを何枚も持ってきて、裏地にしてくださいという方もいます」

――お直しをすることで服はオンリーワンになりますね。ただ、技術はもちろん、センスも相当問われそうです。

石津「料理と一緒で、立派な材料が用意されていても料理人が優秀でなければいけません。ただ、技術が素晴らしいだけでもだめなんです。ニュアンスだったり、感覚的な部分も持ち合わせていないと。そして、サイズ感など時代のトレンドもよく知っていること。僕もリフォームで満足できないことはあります。ジャケットをお願いしても何か気に入らない。自分の好みと合っているかも大事です」

内本「リフォームのスタッフには『すごい技術者がいたところでいいものができるわけではない。感性と技術が融合したときにいい作品になるので、勉強しましょう』と話しています」

ダブルのジャケットをシングルに作り直すこともできる

――プロデュース力が問われるのですね。ところで若い世代は店で服を買わない人も多いですし、服の知識も乏しい。いろんな提案をしてほしいはずです。

内本「若い人に、こんなこともできますよ、と伝えたいのは、たとえばこだわる人が多いデニムの裾上げです。ビンテージデニムなどを裾上げする場合、普通にそのままカットしてしまうと、裾のアタリがなくなって、リアルさが失われてしまいます。そこで、アタリ部分を残し、間をカットして、再びアタリを縫い付ける『貼り付け加工』をします。ロールアップしても気にならないほど仕上げには定評があります。デニムではダメージをつくることも埋めることもできます」

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「簡単に手放す前に吟味して、甦らせたいモノを見極め
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