重心を持ち上げる肩線詰め 胸ポケットも3センチアップ

――どうやって重心を上げるのですか。

内本「肩の上の縫い目をほどいて、前身頃と後ろ身頃を上に詰める『肩線詰め』という手法を使います。このジャケットは3センチ上げました。だから、この胸ポケットは今より3センチ低かったんですよ。肩線詰めは心斎橋リフォームが得意とする技術です。また、ラペルの幅などにも時代性が表れてしまうので、そういうところも直して新鮮な印象にします」

「昔のジャケットは重心が低くて襟にも時代が出ます」

石津「ずいぶん重心が上がりました。このジャケットはもともと丈が長かったんだよね」

――男性はジャケットの着丈を気にしますよね。

内本「連日、多く持ち込まれるのが着丈の調整です。最近、再び少し長めに変わってきているように、時代時代のトレンドがあります。なので同じジャケットを何度も調整する人もいますね。ただ、すそを詰めるだけですとバランスが悪くなるので、肩線詰めなどと組み合わせて直されるのがいいと思います」

――男性のお客さまが持ち込むアイテムでは何が多いですか。

内本「一番多く持ち込まれるのは季節を問わずスーツ・ジャケットです。場所柄、40~50代のビジネスパーソンが多く来店されますが、洋服ダンスに眠っていたバブル期のブランド物のスーツなどを『今っぽくしてほしい』と依頼される方が多いですね」

「男性が着丈を確認する場合、手のひらのどのあたりにジャケットのすそがくるかを目安にする人が多いよね」

石津「パンツの裾上げだけならクイックお直しの店でいいけれど、本格的なリフォームをしたい場合は専門店を探しますよね。最近そうした専門店が増えてきました。ファッションにうるさいお客さまが多くなりますから、面倒な注文もあるでしょう。住宅でいえば、リフォームという直しだけではなく、新築のように作り直すリメークまでやってもらえるのだから」

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「いいものを長く着たい」という意識が高まる