空き家対策の第一歩? 使わない土地の売却に税優遇不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA
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2020年度(令和2年度)税制改正大綱が19年末に発表されました。不動産に関する税制改正では、空き家対策の側面から、長年放置されている空き地や空き家の敷地など低未利用土地を譲渡した場合に、譲渡所得から一定額を控除できる特例や、住まいを譲渡した場合の各種特例と住宅ローン控除の併用ができなくなる措置などが盛り込まれました。詳細について明らかになっていない部分もありますが、不動産に関係する改正ポイントについて、税理士法人アイアセット代表税理士の石井力さんに伺ってみました。

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20年度の不動産に関係する税制改正大綱のうち主なものは、
(1)低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除制度の創設
(2)住まいを譲渡した場合の各種特例と住宅ローン控除の重複適用の取りやめ
(3)国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設
(4)居住用賃貸建物の取得等に係る仕入れ税額控除制度等の適正化

となっていますが、それぞれの改正のポイントについて簡単に教えてください。

(1)低未利用土地等の売却に優遇策

【田中】まず、低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除制度です。低未利用土地というと長年放置されている空き地や空き家の敷地などを想像しますが、どんな内容なのでしょうか。

【石井税理士】低未利用土地等であることについて、市区町村の長の確認がなされたもので、譲渡する年の1月1日において所有期間が5年を超える場合、一定の条件を満たすものについては、譲渡所得の金額から100万円を上限に控除することができるようになります。ただし、譲渡価格が500万円を超えるものは除かれます。

【田中】低未利用土地等というのは具体的な規定があるのでしょうか?

【石井税理士】土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の内容がまだ明確ではありませんので、現時点でははっきりしていません。この特例は、譲渡後の低未利用土地等の利用についても、市区町村の長の確認が必要とされていますので、低未利用土地等のままの状態で保有する所有者から、一定の利用を行う予定のある者への譲渡に限って優遇したい、すなわち低未利用土地等の有効活用を推進したいという考えが背後にあるのでしょう。この特例は、土地基本法等の一部を改正する法律の施行の日、または20年7月1日のいずれか遅い日から、22年12月31日までの間の特例となります。

【田中】譲渡価格の上限が500万円となると、大都市圏では適用しにくい規定となりそうですし、控除額が100万円ということは税額で20万円程度の削減効果しか見込めませんから、あまりインパクトのある制度ではなさそうですね。

(2)自宅売却の特例と住宅ローン控除の重複

【田中】住まいを買い換える際、これまでも、住まいを売却した場合の3000万円控除の特例(譲渡益から最大3000万円控除できる特例)と住宅ローン控除は併用できないことになっていたと思うのですが、今回の改正の意図は何なのでしょうか?

【石井税理士】 住まいを譲渡した場合、3000万円控除など居住用財産の譲渡の特例を受けるには、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することが条件となっています。一方、住宅ローン控除の適用を受けるには、控除を適用する年およびその前後2年以内は3000万円控除等居住用財産の譲渡の特例の適用を受けないことが条件となっていました。

つまり、住まいの買い換えを同時に行わず、先に新居を購入して住宅ローン控除を利用しつつ、新居に移った日(従前の住まいに住まなくなった日)から3年を経過する日の属する年の1月1日から12月31日までの間に、従前の住まいを売れば、3000万円控除などの特例を利用することが合法的にできたのです。今回の改正はこうした穴をふさぐものとなっています。20年4月1日以後に従前の住まいを譲渡する場合に適用されます。

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