日米株高導く「トランプ氏再選」と5G(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

トランプ大統領が再選すれば米国株だけでなく日本株の追い風にもなりそうだ(写真はニューヨーク証券取引所)=ロイター
トランプ大統領が再選すれば米国株だけでなく日本株の追い風にもなりそうだ(写真はニューヨーク証券取引所)=ロイター

2020年の株式相場が幕を開けてからおよそ半月が過ぎた。日米株は高い水準で推移しているため、今後も米・イラン関係の緊迫や米中対立の激化などをきっかけに急落する場面はあるだろう。

ただし筆者は今年の日米株は堅調に推移するとみている。最大のイベントは11月に予定される米国大統領選挙である。トランプ大統領が再選すれば米国株は一段と上昇し、次世代通信規格「5G」というテーマのある日本株も上昇に弾みがつく公算が大きい。米大統領選を軸に今年の日米株式相場を展望してみよう。

前回16年の大統領選後、米国株(S&P500種株価指数)の上昇率は19年末時点で51.6%と欧州(STOXX欧州600)の24.6%、日本(東証株価指数)の26.3%を大きく上回った。米ハイテク企業の高成長に加えて10年で1.5兆ドル(約165兆円)という「米史上最大の減税」(トランプ大統領)と積極的な金融緩和が成功したからである。

大統領選の予想は大変難しい。前回の大統領選は世論調査ではクリントン候補の支持率がトランプ候補を上回っていたが、最終的な選挙人獲得数ではトランプ氏(304人)がクリントン氏(227人)に圧勝した。世論調査の予想が必ずしも当たらない理由として以下の3つが挙げられる。

第1に大統領選は州ごとに票を集計し、大半の州では最多得票者がその州の選挙人をすべて獲得する「勝者総取り方式」を採用していることだ。このため大統領選の勝敗を決するのは、選挙の度に共和党と民主党の接戦となり勝利政党が変動する「スイング・ステート」である。トランプ氏は前回それらの上位6州で勝利して選挙人106人を獲得し、これが勝因となった。

第2に人種別でみた投票率に差があることだ。トランプ氏の主な支持層はキリスト教福音派、白人労働者、中西部や南部、高齢者である。一方、クリントン氏は非白人、ユダヤ人、大都市の若年者、高学歴者である。米ピュー・リサーチ・センターによると、前回大統領選の投票率は白人が65%とヒスパニックの48%などと比べて高く、白人のうち58%がトランプ氏に、37%がクリントン氏に投票した。

第3に米国の代表的なマスコミは民主党の強固な地盤であるワシントンDC、ニューヨークなどの大都会に集中することだ。そしてジャーナリストは一般的に高学歴で、ユダヤ人が多い。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、クリントン氏の得票率はワシントンDCで91%、ニューヨーク市マンハッタンで88%と圧倒的に高かった。米CNNの調査では大学院卒の58%がクリントン氏に、37%がトランプ氏に投票している。クリントン氏はユダヤ人の71%の票を獲得した。

株価急落なら米金融緩和の公算

20年の大統領選はトランプ大統領が優位に立っているとみられる。ただしバイデン元副大統領が民主党の指名を獲得した場合は接戦になる公算が大きく、また先に説明したように大統領選は世論調査通りの結果になるとは限らない。このためトランプ大統領は国内の支持を固めるためにも、中国やイランに対して強い態度に出ることがあろう。その場合、株式相場は短期的にせよ急落する可能性がある。

ただし株価が急落する場面でトランプ大統領は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に対して利下げを強く要請するだろう。パウエル議長は18年後半、トランプ大統領の反対を押し切って2度利上げするとともに19年に2度利上げする意向を示した。米中貿易摩擦の影響で世界経済に悪化懸念が強まるなかで利上げしたため、世界的に株価は急落した。