勤務の場所自在 ママがママ呼ぶ医療会社の型破り人事

日経DUAL

2020/1/22

すべてのメンバーが経営視点を持ち事業にコミットする

「月130時間」でも正社員になれる「短時間正社員」制度、他の会社で正社員として働くのもOKなど、同社の仕組みや制度は非常にユニーク。「すべて、メンバーの声から生まれたものです。創業当初から、メンバーたちに『どんな仕組みなら働きやすい? 働き続けられる?』と尋ね、出てきた意見をベースに、全員で話し合いながら構築してきました。

『こういう仕組みにしたいけど、法律上の問題はないの?』などと迷うたびに、顧問契約をしている社会保険労務士さんなど、人事労務のプロたちにアドバイスをもらい、一つひとつ壁をクリアしてきました。周りの協力を得ながら、新しい仕組みを作り続けてきましたが、今もなお、『より働きやすい職場』を目指して進化中です」(川島さん)

ちなみに同社には、「社員」や「スタッフ」という呼び方は存在せず、正社員でも契約社員でも、パート勤務者でも「メンバー」という呼び名で統一しているという。「言葉って大切。あの人は正社員、この人は契約スタッフ、などと呼び分けていると、どうしても上下関係のような意識が出てきてしまうものです。当社では業務形態は関係なく、誰もが対等でありたい。そこで、私を含め全員が『メンバー』として、全員下の名前に「さん」付けで呼び合うようにしています。女性は名字が変わることがありますからね」(川島さん)

「誰もが対等でありたい」という川島さんの思いは、組織形態にも表れている。実は、同社には、管理者と一般職といった概念がなく、誰かから強く命令されるような指揮系統は存在しない。川島さんが目指しているのは、今注目の新しい組織形態である「ティール組織(フレデリック・ラルーが著書『Reinventing Organizations』で提唱)」。昔ながらのピラミッド型組織とは一線を画し、すべてのメンバーが経営視点を持ちながら、互いにフラットな立場で自律的に事業にコミットする、というものだ。

「うちでは、誰かが誰かに指示する、ということがありません。メンバーは、自らが経営者意識を持って、自分自身をセルフマネジメントし、ほかのメンバーとの関係性のなかで動き、仕事を進めるのが基本。他の会社から転職してきた人などは、この仕組みに最初は戸惑い、私のところに『こういうやり方で進めようと思いますが、問題ありませんか?』など不安げな顔をしながら確認に来ますが、『〇〇さんはどう思う?』と聞くと、きちんと正しい答えや方法を持っているのです。『〇〇さんがいいと思ったやり方で進めればいいよ』と背中を押すだけです。

だいたい2カ月くらいで自律的な仕事のスタイルがすっかり板につき、自信を持って仕事に関われる人が多いですね。本当に自分らしくいていいんだと『安心』するようです。上司から、あれしなさい、これしなさい、と一方的に言われると、やる気が消失するものです(笑)。その日の体調次第で、やることを自分で決められるほうが結果的にいい仕事ができます。『安心』できる職場環境やメンバーとの関係、チームや社会との一体感が持てると、自主的に伸びていく、と実感しています」(川島さん)

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