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アマ落語家、恐るべし 声優・アナウンサーと競演

立川談笑

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NIKKEI STYLE

新年早々、面白い会に出演してきました。その名も「声優落語天狗(てんぐ)連祭り2020」。落語家ではなく、声優さんが落語を演じるイベントにプロの落語家としてゲスト出演したのです。天狗連とは、アマチュア落語家を指す言葉です。仮にこれが20年前だったら、私は出演を拒んだはずです。時代は変わりました。

新宿の紀伊国屋ホールは、ホール落語の草分けです。また師匠談志が「ひとり会」のホームグラウンドとしていたくらいで、落語家立川談笑としてはいたくリスペクトする会場なのでありますよ。そんな場所でドカンと5日間6回公演。しかもニッポン放送開局65周年記念のイベントでもあると。なんとも華々しいじゃありませんか。

看板はアニメ登場の落語家一門

出演するのは人気の声優さんたちです。畠中祐、五十嵐雅、帆世雄一、山口勝平、阿座上洋平、木村昴、赤羽根健治、速水奨、野津山幸宏、山寺宏一、河西健吾。ゲスト出演する落語家は林家正蔵、柳家花緑、古今亭菊之丞、春風亭一之輔、立川志ら乃。それから立川談笑。ここまで敬称略です。すみません。

一風変わったこのイベントの背景を説明してみます。まずは大人気コミック「昭和元禄落語心中」の存在です。アニメ化され、ドラマ化もされたこの作品によって、いわゆる「落語ブーム」が再燃して、大きく展開しました。特に若い層に、落語の魅力を伝えてくれたのがありがたい。演者によって落語は変わるし、落語は常に時代と共にある。意外にわかってもらえない落語の本質です。この会では、声優の皆さんは作中の登場人物と同じ有楽亭一門の名前を引っさげて落語を披露します。

そして背景のもうひとつ。最近の落語界の活性化にまつわるキーマンがおられます。このイベントのコーディネーター、サンキュータツオさん。渋谷のライブスペース「ユーロライブ」という空間で、若者たちに落語を楽しんでもらう「渋谷らくご」略して「シブラク」を切り盛りするキュレーターです。キュレーター、分かりにくいですか。彼はお笑いコンビ「米粒写経」のツッコミ役でもある学者芸人さんで……って、説明がどんどんややこしくなるなあ。

ともすると「ちょっとハードルが高い、お年寄り向けの娯楽」と思われてきた落語が、「現代の娯楽」としてここ数年、若い客層を中心に広がりをみせています。アニメ、ドラマ、渋谷らくご、二ツ目ユニット「成金」、講談師・神田松之丞の登場などなど。いくつもの潮流がからみあって落語・演芸界がいま動いています。今回のイベントもその流れの中の、いわば必然と言えるかもしれません。このあたり、最近出版された広瀬和生著「21世紀落語史」(光文社新書)が的確に解説してくれています。落語に興味がある方はぜひご一読を。

さてさて。イベント当日に話を移します。私が出演したのは2日目。声優さんをお目当てに、落語に初めて接するお客さんが多数を占めているはずです。その日の演目には頭を悩ませました。「寿限無」「時そば」「饅頭(まんじゅう)こわい」といった定番ネタか。よく知られた落語も、実際の高座だとこんな風に楽しいんですよ、という趣向です。はたまた、意外な方向として「芝浜」「文七元結(ぶんしちもっとい)」などの人情話で、落語は大いに感動できるし泣けるんだという体験をしてもらうのはどうだろうか。それとも……。落語初体験のお客さんを相手にするのは、責任重大。普段の落語会よりもずいぶんと気を使います。

楽屋に入り、出演者やスタッフにご挨拶。声優の帆世雄一さん。同じく声優の石井マークさんの代演としてニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。お二人とも、もうすっかり和服に着替えて準備は万全です。その姿にまずは驚きました。着物の着こなしがちゃんとしている。和装に慣れていない人によくあるのが、裾がそろってなくて右が上がったり左が下がったりするやつ。そんなことないもの。それから、前身頃(まえみごろ)。着た直後には、左右のわきの下から帯にかけて斜めのシワが寄るもんです。そこをちゃちゃっと修正する。その修正が、できてる。あれあれ?

聞けば、帆世さんのご実家は静岡の呉服屋さん。吉田アナは慶応の落研出身だとか。なるほど~。

いよいよ開演になって、タツオさんと吉田アナのオープニングトークからイベントは始まりました。予想通り、客席がなんともつかみどころがない。アニメや漫画好きの層、落語好きの層、よく分からないけど誘われて来ちゃったご年配の層と、ごっちゃごちゃ。水と油どころか、何やら固形物も交じってるような。わはは。それでもよく観察すると、最も熱心なアニメ・声優ファンが前列、そう熱心でもないけどどっちも興味があるのが中ほど、どっちにも興味がないかもーなのが後列と、結果的にエリア分けになってるのも面白い。ひとつの会場なのに、エリアごとに笑う箇所が違うっていう、珍しい会でした。

下手だとウケない部分もきっちり

そして吉田アナによる落語。古典落語「饅頭こわい」の改作でアニメやサブカルネタがてんこもりの一席でした。前列のディープなファンをメインターゲットに受ける受ける! いや、落語とっても上手だぞ、この人。技術的に。さらに、元ネタが分からないお客さんにも自虐発言で笑いを取る親切対応です。

次いで帆世さんが身近なマクラ話から流れるように入ったネタが、古典落語「親子酒」。落語です。おおー、しっかり落語だ。我が落語立川流の真打ち志ら乃さんによる指導の甲斐もあって、こちらもお見事の一言。下手だとウケない部分でも、きっちりウケるのは技術がある証拠です。

で、最後に私。迷いに迷った揚げ句、「片棒・改」にしました。古典の現代改作で、私の持ちネタの中でも最も派手なもの。客席とのコール&レスポンス(大声での掛け合い)があったり、ステージから客席まで降りて暴れたり。「落語は想像力を頼りに、どんなことでもできるんですよ」と、初めてのお客さんに落語の「幅」を体感していただいたつもりです。

いやあ、時代は、落語は、動いています。落語家もうかうかしていられませんね。ずいぶん刺激になりました。どれほど刺激になったかというと、数日後の自分の落語会で帆世さんが演った「親子酒」を掛けたくらい。それも、15分くらいのネタが50分にもなっちゃった。わはは。刺激、受け過ぎだってば。

立川談笑
1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
立川談笑、らくご「虎の穴」 記事一覧はこちら

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