2020/1/19

記事

幸子 分担型の場合、配偶者の収入や分担以外の支出、貯蓄額を全く把握できないわ。一方、共通型の場合は夫婦で分担額を話し合って決めるなど、分担型より夫婦の公平性は高いようにみえるけど、例えば支出が多かった場合などは夫婦どちらの責任なのか曖昧になりがちで、節約意識が働きにくくなる可能性があるの。貯蓄まで管理している場合はさらに気をつけたいわ。日常的な買い物に使っている口座にまとまったお金があると、ついつい使ってしまいたくなるかもしれないからね。

良男 共通口座といっても、通常は夫か妻のどちらか一方の名義になるんだよな?

幸子 そうね。夫婦で共用と認識していても実務上は異なるから、住宅購入時や相続時にトラブルを招きかねないの。

 どうして?

幸子 住宅購入の際に同額ずつためた共通口座の貯金を頭金に、残りを夫婦で均等に割って住宅ローンを組んだとするわね。住宅の名義を共有にして負担も持ち分も平等にしたつもりでも、実務上は共通口座の名義人が多く出したとみなされるの。購入資金の負担割合と持ち分が異なると、住宅購入資金を贈与したとみなされて贈与税が課される可能性があるわ。子どもを持たない夫婦は亡くなった人の両親が存命なら法定相続人になるので、配偶者だけで自由に使えなくなるのよ。

良男 どうすれば改善できるのかな?

幸子 貯蓄は夫婦のそれぞれの名義の口座で管理することが最低限必要になるわ。そのうえで、FPの深田さんは「それぞれの給与から毎月一定額を天引きして積み立てて貯蓄する」ことを勧めているの。

 積立額はどうやって決めたらいいの?

幸子 給与やボーナスなどの収入と年間の支出を把握したうえで、夫婦で分担額や目標額を決めるといいわ。夫婦でお金について話し合う機会にもなるしね。天引きは余分に使えるお金を減らして無駄遣いを防ぐ仕組みにもなるから、支出の仕方は分担型でも共通型でも、抱える問題は小さくなりそうね。

■毎月の積立額、話し合って
ファイナンシャルプランナー 深田晶恵さん
 共働き夫婦は(1)収入額(2)預貯金など資産残高(3)毎月の積立額――の3つを互いに把握するのが理想です。ただ、お金に関する話し合いは避けられる傾向にあります。自分の収入や貯蓄額が配偶者の想定より多いと「配偶者が浪費に走る」と思う人がいるかもしれません。逆に貯蓄額が少ないと「配偶者から無駄遣いを責められる」と不安になるでしょう。
 まずは、ほかの2つに比べて抵抗感が小さい毎月の積立額から把握しましょう。配偶者に毎月の積立額を伝えることは、貯蓄を始めたり続けたりする動機にもなります。年1回程度は実際の貯蓄額を確認し、昇進などで収入が増えたら積立額をいくら増やすかなどを話し合いましょう。こうしてお金に関する相談に慣れてきたら、夫婦で収入額や資産の残高についても話し合うとよいでしょう。
(聞き手は藤井良憲)

[日本経済新聞夕刊2020年1月15日付]