新卒であえてスタートアップ就職 成長株どう見極める就活探偵団

イラスト=強矢さつき
イラスト=強矢さつき

大手企業の人気が根強い中、あえて規模が小さいスタートアップ企業を選ぶ人がいる。決して給与が高いわけでもないし、社員1人当たりの業務負荷も大きいと思われるのになぜだろう。彼らの目に映る魅力を探った。

「組織の論理に飲み込まれる」

2019年3月に九州大大学院を修了した大野雅志さんは「100年に一度の変革期、世の中にインパクトのある仕事ができる」といううたい文句に引かれ、修士2年の6月に大手自動車メーカーの内定を獲得。無事就活を終えたはずだった。

「俺、入社して幻滅したのよ」。その年の秋、大野さんは別の大手自動車メーカーに新卒で入社したものの、わずか数カ月で退社した男性と話す機会があった。彼の話によると、その会社の先輩や同僚の多くは「出世の心配をしている」「上司の顔色ばかりを気にしている」というのだ。

就活の時はなんとなく「学んでいた機械工学の知識を生かせるから」「大手企業で安泰だから」という理由で就職先を選んでいた。「大手に入ったら組織の論理に飲み込まれてしまうのか」。大野さんはこの時初めて「働く」ということの意味を考えたという。

その後、ベンチャー経営に携わった人など様々な社会人からキャリアについて話を聞いた。そして出た答えは「僕は会社のためではなく、世の中をよくするために働きたい」ということだった。悩みに悩んだが年が明けた1月に自動車メーカーに内定辞退を申し出た。

POLの大野雅志さんは「世の中をよくする仕事をしたい」と話す(東京都千代田区)

現在は学生時代からインターンで働いていた理系学生向け就活サービスのスタートアップ、POL(東京・千代田)で働く。就活生と企業の採用担当者をつなぐマッチングイベントなどを担当する。

取引先企業の営業で都内を駆けずり回る日々。時には企画を練るために、自主的に午前2時まで働くこともある。「働き方改革」が進む大手企業だったら、そんな生活はなかっただろう。でも「思いっきり仕事ができる環境は大手にはない」と一蹴。「僕が日本の就活を変化させる一翼を担っている」と意気込む。

何でも任せてもらえる環境に魅力

東京大学経済学部4年の古座匠さんはスタートアップに絞って就活をし、最終的には4社から内定を得た。周りはメガバンクや政府系金融機関など安定したお堅い会社を受ける友人ばかりだった。だが、古座さんは上司や部下といった関係のない「フラットな組織で働くこと」にこだわった。

内定先の中でも社員数が10人ほどと小さいスタートアップ、SOELU(ソエル、東京・港)に入社を決めた。オンラインヨガサービスを運営する会社だ。すでにインターン生として同社で働いている。肩書は「アナリスト兼ディレクター」。いわゆる「何でも屋」だが「若手なのに何でも任せてもらえるのがうれしい」と満足そうだ。

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