社員の起業促せる不思議 ハーバードが見たリクルートハーバードビジネススクール教授 シカール・ゴーシュ氏(上)

リクルートの事例をもとに議論するのは、次のようなテーマです。「あなたの会社は創業から成長を続け、規模も拡大してきた。社内では起業家精神が少しずつ薄れつつある。こうした中、社員に新たな挑戦をしてもらうには、どのような人事システムを導入するのがよいか」

通常、スタートアップ企業が成長し、大企業になってくると、イノベーションを創造していこうとする勢いが弱まってきます。にもかかわらず、リクルートの社員は起業家精神にあふれていて、しかも買収した外国企業も、同じように起業家精神を維持している。その秘訣は何だろうか、と考えていくのです。

佐藤 リクルート事件についても議論しますか。

ゴーシュ 「ファウンダーズ・ジャーニー」は、倫理ではなく、起業家精神を学ぶことを目的としています。起業家は、どのように人材を集め、動機づけを図り、チームをリードしていくべきか、を議論していく授業です。ですから、リクルート事件そのものよりも、むしろ事件後、どのように再生し、どのような人事システムで成長していったかのほうに主眼をおいています。

佐藤 19年から20年は、リクルートの事例をエグゼクティブ講座で教える予定だと聞いています。そこではどのようなことを議論するのですか。

トヨタ生産方式と並ぶ画期的なシステム

ゴーシュ 主に金融機関の経営幹部向け講座で取り上げる予定です。リクルートの事例は、「社員の能力を開発することに主眼をおいた革新的な人事システム」として紹介します。またグローバル化の過程で、本社の文化やプロセスを他国のグループ企業に移管するかを議論するための題材としても活用したいと思います。

おそらくエグゼクティブ講座を受講している大企業の役員も「こんな人事制度はありえない」と驚くと思います。伝統的な金融機関で働いている人たちであればなおさらでしょう。

私にとってリクルートの人的資本管理システムは、トヨタ生産方式と同じぐらい、画期的なものです。ですから今後もエグゼクティブ講座を中心に教えていきたいと思っています。

(下)常識超えに潜むリクルートのリスク ハーバードの視点
■「夢の実現装置」 ハーバードも驚くリクルートの強み
■リクルートは世界で成功するのか? ハーバードの視点 

シカール・ゴーシュ Shikhar Ghosh
ハーバードビジネススクール教授。専門は起業家精神。MBAプログラムやエグゼクティブプログラムにて起業家的経営について教える。同校起業家養成センター「アーサー・ロックセンター」共同センター長。ボストンコンサルティンググループにてパートナーとして活躍した後、1988年、起業家に転身。インターネットマーケティング企業、オンラインショッピング企業など8社のIT企業のトップを務める。現在、教壇に立つかたわら、イノベーション、起業家精神、デジタルメディア、インターネットの未来などをテーマに世界中で講演を行う。

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら