ブルガリホテル、22年に東京駅前に開業
――巨大なセルペンティ(へび)がビルを包むブルガリ銀座タワーは写真撮影場所としても人気です。旗艦店はこれからどう進化させますか。
「セルフィーにはもってこいかも(笑)。確かに外観はいいのですが、内装は新しいジェネレーションの顧客にはマッチしていません。ニューヨークのフィフスアベニューの店、パリの店に比べて内装が違います。来店したときにブランドのアイデンティティーが均一に感じられるかどうかはとても大切なこと。ですので、銀座と大阪はともに、大がかりな改装を考えています。ただし、マンパワーが不足しているので着手するのはオリンピックの後となります。改装ではローマのブルガリですのでもっとローマ的なものを出したい。また、大型店ではよりよい場所への移転も考えています。また22年にはブルガリホテルを東京駅前に開業する予定があります。こちらは工事の真っ最中です」
――中国の宝飾品市場は8兆円ともいわれ伸長しています。一方で、香港の混迷が長引き、ブランド市場に影響を及ぼしています。
「過去3年、ブルガリは中国でもっともシェアを伸ばした宝飾品ブランドとなり現在2位のシェアを持っています。今後2~3年でナンバーワンになれると思います。ある調査によると5年後にはラグジュアリーブランドの売り上げの8割を中国人が占めるともいわれています」
「香港の混迷はすべてのブランドが多大な影響を受けています。香港は中国人の購入場所として中国に次ぐ大きな市場です。中国人はシンガポール、マレーシア、韓国、日本、オーストラリア、欧州などを訪問しますが、訪問先で購入する金額は香港での購入額にはとうてい及びません。ただ、香港で買わない分、中国での購入額は伸びています。また、日本は大変魅力的な訪問地となっていますので、日本での購入がさらに増えていくでしょう」
4回目を迎えた活躍する女性を表彰するアワード
――LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンがティファニーの買収を表明しました。同じグループになることをどう見ていますか。
「LVMHのフィロソフィーはどのブランドがグループ入りしても、独自ブランドとして継続させることにあります。ブルガリも傘下入りした後でも納税も生産もイタリアであることは変わらないように、ティファニーもアメリカのアイコンであり、レジェンダリーなブランドであることは変わりません。グループにはフレッド、ショーメというジュエリーブランドがあり、ティファニーの買収が実現すれば、グループのジュエリー部門がさらに力を持つはずです」
――19年12月には各界で活躍する女性を表彰する「ブルガリ アウローラ アワード2019」を開催しました。
「日本主導ではじめたアワードは昨年4回目を迎えました。今回は登山、アート、マラソン、音楽などで夢を実現した女性をたたえました。そうした女性たちが他の人々のインスピレーションを与えます。夢を実現した女性は自分のお金で自分のためのジュエリーを購入できるようにもなる。そうした意味での刺激にもなると思います。こうしたアワードは継続していくことが大切。昨年は中国でもスタートしました。映画界のオスカーのように育てていくことを期待しています」
(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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