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ネットのソトの熱気感じよう 学生も社会問題の現場へ

NPO法人クロスフィールズ代表理事 小沼大地氏

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NIKKEI STYLE

企業が社員を新興国に派遣し、数カ月かけて現地の社会問題を解決する経験をさせる。そんな「留職」という制度を手掛けているのが、NPO法人クロスフィールズ(東京・品川)だ。創立者で代表理事の小沼大地さんは、青年海外協力隊(JOCV)でシリアに滞在した経験が原点となった。インターネットでほしい情報はすぐに手に入れられる時代になったが、それでも小沼さんは「いまこそ現場を見よう」という。それはなぜだろうか。大学生向けに東南アジアでの短期教育研修を主催する一般社団法人で代表を務める吉野裕斗さん(慶応義塾大学3年)がインタビューした。

小沼 本当は僕が取材を受ける側なんだけど、最初に僕から吉野君に質問していいですか。どうして東南アジアでの研修を始めたの?

吉野 僕が高校時代に、企業の協賛金を得て、アジアやアフリカなどの途上国を訪ねて回ったのがそもそもの出発点です。帰国したとき、受験勉強に励む周囲の高校生と世界に対する知識とか考え方に大きなギャップを覚えました。もしかしたら、途上国でがんばっている同世代とか、夢をきらきら語るような人たちと出会ったら、彼らの考え方も変わるんじゃないかと考えました。

そこで大学生になってから、ベトナムを縦断する研修を企画して学生を連れて行きました。すると参加した学生たちがどんどん動き出すようになった。ミャンマーで起業してみたいとか、LGBTの活動を始める子とか。この研修はものすごい可能性を秘めているんじゃないかと思って、2016年に法人化して本格的にスタートしました。

小沼 なるほどなあ。でも、最近の大学生はIT(情報技術)を駆使して現地で起業しようと考える人が多くない?

吉野 テクノロジーは解決の手段だと思っているんです。僕はあくまでも現地の社会問題を解決したい。そのために動き出す人を増やしたい。だから、解決の方法は泥臭いやり方でも、ITを活用しても、どちらでもいいなと思っています。

小沼 でも、僕の感覚では社会課題を解決する仕事をしたいという若手の数はここ15年くらいで、だだ下がりだと思うんですよ。特に海外の社会問題の解決に対する関心が落ちている。グーグルでの検索回数でみると、国際協力とかソーシャルビジネスという言葉を日本で検索した数は右肩下がりです。一方、地方創生のような国内の社会課題への関心は高まっている。悪い意味ではなく、内向きになってきていると感じています。

だからね、今日はすごく貴重な絶滅危惧種に会えたような気がしてます。褒めてるんですよ、けなしているのではなくて。

吉野 絶滅危惧種……。そうだったのか!

国際協力をめぐる状況はここ15年で大きく変わったわけですよね。もし小沼さんがいま大学生だったら、当時と同じように青年海外協力隊を選びますか。それとも違うことをしますか。

小沼 迷わず青年海外協力隊に参加します。僕が協力隊でシリアに行ったのは2005年ですが、僕は、現在のほうが協力隊に参加する意義はずっと大きいと思っています。

クラウド上にありとあらゆる情報が集まっている時代だから、単純な知識とかファクトにはいくらでもアクセスできるようになりました。だからこそ、これから大切なのは、自分が得た情報をどう知覚するか。どう感じて、どんなエネルギーをもつか、ではないか。ただ、情報を得るだけではなく、リアルな経験によって自分が「なにかをしたい」という意志の総量がどれだけ増えるかが、とても大事なんじゃないかと思うんです。

吉野 「なにかをしたい」という情熱や問題意識を若い人にも持ってもらうのが難しいと感じています。アドバイスはありますか。

小沼 吉野君はどう思う?

吉野 僕は現場に行って感じてほしい。海外でもいいし、裁判の傍聴でもいい。興味があるわけではない現場に行くと、関心の範囲を広げられると思う。

小沼 なぜ現場に行くといいんだと思う?,

吉野 知らなかったものに興味をもつようになるからかな?

小沼 なぜそれが大事なんだろうか?

吉野 問題がそこにあることにも気づくから??

小沼 でもさ、インターネットで調べられるじゃない?

吉野 五感でしょうか。現地で見聞きした方が「自分ごと」になると思います。

小沼 僕も、そう思う。本とかネットでただ見ただけの情報ってアクションにつながらないことが多い。けれど、現場にいくと、目の前の人のためになにかしてあげたいと思うようになる。利他的な脳の動きがおきると思うんですよ。共感力というのかな。吉野君が言った「自分ごと化」だよね。どうやったら自分が感動するのか。頭より心を動かす体験をするために、現場に行くのが大事だと思う。

クロスフィールズが展開している「留職」はまさにこの考え方です。サラリーマンが数カ月かけて新興国の社会問題を解決すべく奮闘する。知見を得るだけでなく、リーダーシップも身につけて日本に帰国し、そのエネルギーを日本の職場に伝える。それが留職の大きな狙いです。

もうひとつ、僕は「周囲の大多数は興味をもっていないけれど、自分は面白そうだと思っている現場」に行ってほしいと思っています。人と違っても、自分の興味関心に正直に怖がらずに動いてほしい。これは、本当は大人に聞いてほしいことなんですよ。子どもがちょっと特殊な方向に興味を示したときに、周囲に同調させず、その動きを見逃さないように親は気をつけてあげるべきです。子どもの自発的な動きをどうやって応援するか。これからの世の中、金太郎あめのような人材はもう必要とされないわけだから。

吉野 ところで、そもそも論なのですが、社会課題ってなんだと思いますか。

小沼 難しいですねえ。

社会課題とは、社会のシステムに何かしらほころびが生じていることだと考えます。ポイントは、社会課題の現場はどこかということ。世界も現場だけど、自分の家庭も社会であり現場じゃないですか。僕が思うのは、課題の中心に自分がいるんだという感覚が大事だということです。

例えば環境問題が1番わかりやすいのですが、国の対策が悪いなどと言って、課題の対象と自分を分けてしまうことが多いんですけど、自分もその問題の一部分であることをしっかり認識しておくべきだと思います。

吉野 もうひとつ伺いたいことがあって、それは小沼さんのコミュニティーづくりです。どのように運営してきたのでしょうか。

小沼 僕が大学院生のころ、様々な興味や関心事を友人たちと話し合うために作ったのが、コンパスポイントというコミュニティーです。実はクロスフィールズはコンパスポイントから派生する形で生まれました。今も続いていて、もう12年になります。

吉野 コミュニティーってなんでしょうか。2019年に大学生の有志で「U23サミット」というコミュニティーを立ち上げ、大学生が140人以上集まったんです。このコミュニティーが10年後にも意味のある存在であってほしいと思っているのですが。

小沼 コミュニティーは僕にとって自己再生の場です。最初は若かったメンバーも今は家族がいて子育て中で、話題は少しずつ変わってきていますが、このコミュニティーに戻れば僕は自分らしくいられる。経営をしていると、死にたいほど大変なときがたくさんあるんです。そういうときも、大丈夫だよと言ってもらえる。僕にとっては空母みたいな存在ですね。

10年後も続くコミュニティーにするなら、偉い人を呼んで話を聞いておしまいという一過性のイベントにしないことが大事なんじゃないかなと思います。

吉野 次は何に挑戦しますか。

小沼 今でも毎日挑戦です。経営って本当に大変なんですよ。

とはいえ、僕自身の年齢も上がってきたので、焦燥感もあります。僕は自分が22、3歳でシリアに行ったときの体験をもとに、今も走り続けている。それだけ強烈な原体験だったわけですが、もっと自分の視座を上げていかなきゃいけないなという気持ちがふつふつと出てきました。それで、僕はいま、もう一度大学院に通っています。哲学とか宗教学などいわゆるリベラルアーツを学んで、社会はどう成り立っているのかを勉強し直しているところです。

こういう学び直しをしないと、どこかで自分が出すインパクトが減ってくる気がしたんですね。経営しながら大学院に行くのは、家族の時間も減るし、悩みました。でも、すごくいい挑戦だと思っています。

(取材・構成 藤原仁美)

小沼大地(こぬま・だいち)
1982年生まれ、神奈川県出身。一橋大学社会学部を卒業後、青年海外協力隊としてシリアで活動。帰国後一橋大大学院社会学研究科を修了、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年5月NPO法人クロスフィールズを創業。2011年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出、2016年ハーバード・ビジネス・レビュー「未来をつくるU-40経営者20人」に選出された。
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