小沼 難しいですねえ。

社会課題とは、社会のシステムに何かしらほころびが生じていることだと考えます。ポイントは、社会課題の現場はどこかということ。世界も現場だけど、自分の家庭も社会であり現場じゃないですか。僕が思うのは、課題の中心に自分がいるんだという感覚が大事だということです。

例えば環境問題が1番わかりやすいのですが、国の対策が悪いなどと言って、課題の対象と自分を分けてしまうことが多いんですけど、自分もその問題の一部分であることをしっかり認識しておくべきだと思います。

吉野 もうひとつ伺いたいことがあって、それは小沼さんのコミュニティーづくりです。どのように運営してきたのでしょうか。

小沼 僕が大学院生のころ、様々な興味や関心事を友人たちと話し合うために作ったのが、コンパスポイントというコミュニティーです。実はクロスフィールズはコンパスポイントから派生する形で生まれました。今も続いていて、もう12年になります。

吉野 コミュニティーってなんでしょうか。2019年に大学生の有志で「U23サミット」というコミュニティーを立ち上げ、大学生が140人以上集まったんです。このコミュニティーが10年後にも意味のある存在であってほしいと思っているのですが。

小沼 コミュニティーは僕にとって自己再生の場です。最初は若かったメンバーも今は家族がいて子育て中で、話題は少しずつ変わってきていますが、このコミュニティーに戻れば僕は自分らしくいられる。経営をしていると、死にたいほど大変なときがたくさんあるんです。そういうときも、大丈夫だよと言ってもらえる。僕にとっては空母みたいな存在ですね。

10年後も続くコミュニティーにするなら、偉い人を呼んで話を聞いておしまいという一過性のイベントにしないことが大事なんじゃないかなと思います。

吉野 次は何に挑戦しますか。

小沼 今でも毎日挑戦です。経営って本当に大変なんですよ。

とはいえ、僕自身の年齢も上がってきたので、焦燥感もあります。僕は自分が22、3歳でシリアに行ったときの体験をもとに、今も走り続けている。それだけ強烈な原体験だったわけですが、もっと自分の視座を上げていかなきゃいけないなという気持ちがふつふつと出てきました。それで、僕はいま、もう一度大学院に通っています。哲学とか宗教学などいわゆるリベラルアーツを学んで、社会はどう成り立っているのかを勉強し直しているところです。

こういう学び直しをしないと、どこかで自分が出すインパクトが減ってくる気がしたんですね。経営しながら大学院に行くのは、家族の時間も減るし、悩みました。でも、すごくいい挑戦だと思っています。

(取材・構成 藤原仁美)

小沼大地(こぬま・だいち)
1982年生まれ、神奈川県出身。一橋大学社会学部を卒業後、青年海外協力隊としてシリアで活動。帰国後一橋大大学院社会学研究科を修了、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年5月NPO法人クロスフィールズを創業。2011年世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出、2016年ハーバード・ビジネス・レビュー「未来をつくるU―40経営者20人」に選出された。

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