霜降り明星・ハナコ… 「お笑い第7世代」大人気の理由

日経エンタテインメント!

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「上が渋滞していて若手が出てこられない」――。つい3、4年ほど前まではこんなふうに言われていたお笑い界だが、2019年はその状況がにわかに動き出した。主に平成生まれの芸人を“第7世代”とくくって呼ぶことで、テレビや雑誌で特集が組まれるなど、若手にスポットが当たるようになったのだ。その背景を探ってみた。

霜降り明星 左:せいや(27歳)右:粗品(27歳)。2013年結成。18年の「M-1グランプリ」で最年少チャンピオンに(写真:佐賀章広)

象徴的な存在が、27歳のせいやと粗品のコンビの霜降り明星。ラジオで“第7世代”と発言して、このムーブメントのきっかけとなった張本人でもある。19年4月に大阪から東京に拠点を移すと、ゴールデンタイムの新番組『衝撃のアノ人に会ってみた!』(日本テレビ系)のレギュラーに起用され、冠番組『霜降りバラエティ』(テレビ朝日)がスタート。10月からは『ラストアイドル』(テレビ朝日系)でMCも務めるようになった。

そして彼らだけでなく、同世代の芸人も続々とテレビで重宝されるように。ハナコやEXIT、宮下草薙、四千頭身らを、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)やゴッドタン(テレビ東京系)などのバラエティで見る機会が増えた。また、ネタ番組の『ネタパレ』(フジテレビ系)は、第7世代の活躍の場で、かが屋やザ・マミィ、納言、空気階段といった新進芸人たちが数多く登場している。

この変化に関して、毎月30本以上お笑いライブを制作している「K-PRO」の代表・児島気奈氏はこう語る。「15年間ライブシーンを見てきていますが、私も芸人さんたちが活気づいているのをとても感じます。お客さんも“第7世代”が目当ての方が増えていて、18年は“若手”というざっくりしたとらえかただったのが、今や中心メンバーになるくらい。世代自体を応援してくださる方も多くて、1組では先輩と比べてまだまだ集客力がない若手でも、第7世代とくくって打ち出したライブだと満席になったりします」。

この第7世代、これまでの世代の人たちとどういったところが違うのか。いわゆる“ゆとり世代”に当てはまるとも言われるが、同期や後輩が先に売れ出すと、当然悔しい思いもあるなかで、それを「同じ波に乗れるチャンスだ」と捉える傾向にあるという。「他の世代の芸人さんより、個人プレーではなく、チームプレーが多いです。だから、『いつか同じ番組に出られたら、ライブでずっとやっているあのくだりをやろう』とか、前向きに考えるようです」(児島氏、以下同)。

ネット動画世代という強み

ハナコ 左:菊田竜大(32歳)中央:秋山寛貴(28歳)右:岡部大(30歳)。2014年結成。18年の「キングオブコント」で優勝して若手をけん引(写真:吉岡教雄)

気運の高まりは、18年9月の「キングオブコント」のハナコ、同年12月の「M-1グランプリ」での霜降り明星の優勝が大きかった。それまでは、賞レースもある程度経験のある芸人が有利だという認識が強かった上、お笑い界全体のムードとして「先輩が売れるのを待つ」風潮もあったという。そんななかで、「ハナコと霜降り明星という、間近で切磋琢磨していた同世代の芸人が結果を出したことによって、『自分たちにもチャンスがあるんだ』と実感でき、『売れたい』という意識がより高くなったと思います。身近な仲間が、ライブと同じ発言をしてテレビでも笑いを取っていたりすると、『だったら自分たちも』と、努力の方向性や目標も明確になったようです」。

さらに第7世代は、学生の頃からネット動画に親しんできた世代であることも強み。時間に左右されることなく、思う存分研究できるため、1年目からネタのレベルが驚くほど高いとのこと。「だからこうやって注目されて、いきなり表舞台に出されても、問題なく対応できる力がある。それで今、芸歴が浅くてもみんな活躍できているんだと思います」。

若くて新鮮味がある上、即戦力となるのが特徴。ようやく変わり出したこの空気は、ファンからも歓迎されている。どんな人材が出てくるか、“お笑い”がより一層楽しみなジャンルになりそうだ。

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2020年1月号の記事を再構成]

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