好業績でも正社員リストラ 同一労働同一賃金の衝撃20代から考える出世戦略(75)

言い換えるなら、高い役割を担ってもらう期待を示すのだけれど、期待に見合った成果を出せていない人たちが、一定割合存在するということです。

今年の4月から施行される同一労働同一賃金とは、この正社員と非正規雇用者の賃金カーブをあわせようとするものです。

けれども、非正規雇用者の賃金カーブを正社員のカーブに引き上げるだけのお金は企業内にありません。

だとすると?

そう。正社員の賃金カーブを引き下げるしかないわけです。

年功是正のきざしは早期希望退職でわかる

とはいえ、正社員の賃金カーブを一律で引き下げていたのでは、優秀な人からどんどん転職してしまいます。

だとすると、期待する役割をしっかり果たしてくれている人はそのままで、期待に応えていない人の給与を引き下げるしか方法はなさそうです。そして期待と給与とがミスマッチを起こしている可能性が高いのは、勤続歴が長い人たちです。つまり、残念ながら年功で給与が増えている可能性がある、とみなされる方々なわけです。

ただし給与の引き下げは法的な制限が大きくなかなか実行できません。だから企業は別の形で賃金カーブを改善しようと試みています。

その典型が「儲かっているのに早期希望退職を募る企業の増加」です。つまり年功で昇給している人たちに早期退職をうながすことで、企業の賃金カーブを是正しようとする動きです。一時的な積み増し退職金として多額の費用がかかってはいるのですが、これからの企業の成長のためには必要な出費だと考えられているわけです。

今後数年間の人事改革では、まず年功の是正が進むでしょう。

そしてその先に導入されるのは、期待される役割や職務の大きさ、生み出した成果に応じて報酬を決める仕組みです。

「彼はまだ若いから修業を積まなければ」

「彼もいい年だからそろそろチャンスをあげなければ」

というような年齢を軸にした考え方はどんどん薄れてゆきます。

大事なことは年齢を問わずしっかり期待に応える実力を備えているかどうか。

自分は安泰だ、と高を括るのではなく、間近に迫った変革に備えるタイミングが来ています。同一労働同一賃金はそのきっかけの一つに他ならないのです。

平康慶浩
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら