「営業は天職」 伊藤忠で覚醒、売りまくって得た極意カルビー元会長 松本晃氏

荷役設備課は本来、クレーンや倉庫、フォークリフトなどモノを保管・搬送・仕分けする、いわゆるマテハン(マテリアルハンドリング)機器を売るのが商売です。ただ、当時は「何でも売っていい」という雰囲気でした。極端に言えば、隣の部とけんかしようが、畑違いのモノを扱おうがお構いなしで、とにかく売ったもん勝ち。だから僕も何でも売りました。

顧客の求めるものを探して 何でも売った

ゴルフ場の機械一式を売ったこともありました。ある顧客がゴルフ場を造るというのを聞いて、「だったらぜひ私に任せて下さい」とお願いしたんです。それでカートや芝生のメンテナンス用の機械などをまとめて売りました。

商社は顧客に物を売るとき、同時に購入資金を融資することがよくあります。そのゴルフ場のときも融資付きで、しかも額が大きいので本部長の決裁を受けたんです。後で決裁書を見たら、余白に「噴飯もの」と書き込んであった。本部長の直筆でした。「なんでこんなものまで売るんだ」というあきれた顔が目に浮かびました。

ガソリンスタンドなどにある自動洗車機やゴンドラ式の立体駐車場もかなり売りました。京都の銘菓「おたべ」を作る機械一式を売ったこともあります。とにかく、ありとあらゆる機械を売りまくりました。

メーカーより顧客を見るのが僕の営業スタイルでした。まず物を買ってくれる顧客を探して親しくなる。そして、その顧客が買おうというものを探してきて売るんです。「何か必要なものありませんか、あったら私に任せてください」としょっちゅう聞いて回っていましたね。顧客の欲しいものが分かったら、メーカーと交渉するわけです。いつもそんな感じでやっていました。

特に印象に残っているのは、高知県の土木建築会社に作業船を売ったときのことです。その会社の専務と広島県尾道市にある造船所近くの旅館に泊まり込み、完成まで寝食を共にしました。「おい松本君、今から風呂や」とか「今からメシや」とか、毎日そんな調子です。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
次のページ
入札ほぼ全勝、裏では泥臭く努力
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら