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日本はグルメ都市だらけ 「ミシュラン」異例の地域版

日本ミシュランタイヤ ポール・ペリニオ社長(下)

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NIKKEI STYLE

最新版の『ミシュランガイド東京 2020』には、三つ星店11軒、二つ星48軒、一つ星167軒が掲載されている。新規に星が付いた店は20軒に及び、合計226軒の星付き店が軒を並べる東京は、これまでに続き今回も世界一星付き店が多い都市となった。競合するレストランランキングも登場する中、2007年以降日本版のガイドを発行する日本ミシュランタイヤのポール・ペリニオ社長にその戦略を伺った。(前回の記事は、「世界一『星』ある店が多い東京 ミシュランが愛す理由」)

――ペリニオ社長が初めて来日された時は、日本にどのような印象を持たれたのでしょう。

1994年に初来日しました。来日前のヨーロッパにおける日本のイメージは、バブル時代の影響もあって、今のように良くなかったんです。だからこそ、実際はどういう国なんだろうと思っていました。来日後は、この国がとても好きになりました。

当時は、パリでさえ和食レストランはあまりなかった。ですから日本に来る前は、和食に対するイメージはほとんどありませんでした。よく知るようになったのは、来日後です。

日本の食文化は幅広くて面白い。例えば、北海道と沖縄では気候が全く違い、食材が異なります。どんな地方でも、ローカル料理の文化があり興味深い。もっともヨーロッパ人の目から見ると、専門料理店が多いことが一番の驚きでした。おすしにはすし職人が、天ぷらには天ぷら職人がいるなど、非常に多くの専門の料理人がいる。ヨーロッパは、もっとジェネラリストの食文化です。日本人には、物事をより専門的に突き詰めてプロフェッショナルになろうという傾向がある。これは、日本の強みだと思います。

――『ミシュランガイド東京 2019』では、おにぎりの店がビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理)として初登場して話題となりました。

そうです。最新版では、料理のカテゴリーが39あります。ほかの国に比べ、非常にカテゴリーが多いんです。

――嫌いな日本の料理、食べ物はありますか?

フランス人なので、ほぼなんでも食べられます(笑)。基本的に、和食で嫌いなものはありません。ただ、特に好きなのはおすしですね。あとは野菜。日本の野菜は質が高い。野菜を見ていると国や地方の違いが分かります。

驚くのが、日本のどこに行ってもその地方だけで1冊のレストランガイドを作るだけのコンテンツがあるということです。4ページ分しか掲載に値する店がなければ本は成り立たないでしょう。これまで、(北は北海道から南は九州まで)色々なエリアを取り上げたガイドブックを発行してきましたが、どこに行っても本として成立することに感動します。

日本各地のガイドブックを積み重ねると、何十センチもの高さになる。フランスのミシュランガイドは全国をカバーする1冊だけです。飲食店の数が多く、平均レベルがとても高いんですね。

――ほかの国のミシュランガイドはどうなのでしょう?

イタリア、英国なども1冊です。米国は、ニューヨーク、ワシントンD.C.、サンフランシスコ、シカゴ版を発行しています。ラインアップには当然、各国の人口の影響もあります。フランスは、6000万~7000万人の人口ですが、米国は3億人を超えますから。約14億人もの人口を抱える中国では、上海、広州などというようにやはり都市ごとにガイドを発行しています。

――アジア各国のミシュランガイドの発行も相次いでいます。反響はどうでしょう。

全体に反応はいいと思います。中国本土以外では、香港・マカオ(09年)、シンガポール(16年)、ソウル(17年)、台北(18年)を発行しています(かっこ内は創刊年)。

――シェフの皆さんは、ミシュランの星を目指されるのでしょうね。

シェフの方々にはいつも、ミシュランのためではなく、お店のお客様のために料理を作ってくださいとお話ししています。ミシュランのために何を作ったらいいのかということではない。イノベーティブな料理は大切だと思いますが、それは店のお客様のために生み出されるもの。ミシュランは、ただそれを評価するだけです。

――『ミシュランガイド東京 2020』では、前年まで三つ星店だった「すきやばし次郎 本店」と「鮨 さいとう」が掲載対象外となりました。

はい。一般のお客様の予約ができなくなったためです。ガイドブックはあくまでも一般のお客様のために作っているので、予約ができない場合は載せる意味がなくなります。会員限定のお店も同じ理由で掲載しません。

――専門家の投票によりレストランをランキングする「世界のベストレストラン50」をはじめ、近年はミシュラン以外の飲食店の評価も話題になっています。こうした傾向をどのようにとらえていますか?

30年前は、店がおいしいかどうかを知るためには、ガイドブックを見るか周囲の口コミから情報を得るしかありませんでした。しかし、今はインターネットのおかげで、様々な形で情報が発信され、誰もがそれにアクセスできるようになっています。それは業界のためにもお客様のためにもよいこと。競合相手がいるのは、とても健全なことです。

一方、色々な人が評価を書き込めるようなサイトでは、いい評価と悪い評価があったりする。そうした時に、信頼がおけるガイドブックが役立つのではないでしょうか。

――最近は、やらせの問題などもありますね。

情報を信頼できるかどうかは、非常に重要です。ですから、私たちはお店の評価基準では絶対に妥協しません。

――競合相手が登場すると、ミシュランガイドの販売部数が減ったりはしないのでしょうか。

私は、この分野のパイの大きさは決まっていないと思っています。大きさが決まっていれば、新しいウェブサイトなどが出てくると確かに減少するでしょう。でも、実際にはグルメ情報に対するニーズはどんどん増えていて、パイはそのサイズ自体が大きくなっている。食には誰もが興味を持ち、意見があるからです。例えば、2012年から日本のミシュランガイド掲載店の情報もネットで検索できるようになりましたが、書籍の部数は落ちませんでした。

それに、競合する相手がいると、私たちもより面白いコンテンツを提供しなくてはと張り切りますから、いいことですよね。

――ビブグルマンもその一つですか?

はい。2007年に日本でガイドブック事業をスタートした時は、一つ星から三つ星までの評価のみでしたが、13年発行の広島版からはコストパフォーマンスに着目したビブグルマンの店も掲載しており、非常に注目されています。また、ミシュランプレート(日本では18年の広島・愛媛版より導入した「適正な食材でつくられ、ミシュランの基準を満たした料理」)という評価も、幅広いお客様にアピールできているのではないかと思います(ミシュランプレートには価格の上限はないが、ビブグルマンには、東京や京都・大阪では6000円以下、その他地方では5000円以下で楽しめる、良質な食材で丁寧に仕上げた料理という、より厳しいルールがある)。

――最後に今後の展望をお聞かせください。

詳しいことはまだ言えないのですが、サステナブル(持続可能)な料理に注目したいと思っています。温暖化をはじめ様々な環境問題がある中、現代人の食事はサステナブルなものにしていく必要がある。シェフの皆さんが、そのノウハウをどのようにサステナビリティに生かしていくか、次の世代の食に展開するかは、重要な課題です。そのうち大々的に発表したいと思います。

ポール・ペリニオ
1971年フランス、パリ南東のクレテイユ市生まれ。93年仏ビジネススクール卒業、94年仏レンヌ第一大学日仏経営大学院ディプロマ取得、初来日。95年日本ミシュランタイヤ入社後、英国ミシュランやアイルランドミシュラン、仏本社 に勤務。04年日本ミシュランタイヤ PCLT事業部マーケティングマネージャー就任後、同事業部コマーシャルディレクター、ベネルクスミシュラン代表取締役社長を経て、15年日本ミシュランタイヤ代表取締役社長に就任。

(フリーライター 大塚千春)

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