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「痛勤地獄」救う?貸し切りバス 実験車に乗ってみた

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NIKKEI STYLE

日経クロストレンド

都心を中心とした通勤時間帯の電車の混雑は、現代のストレス社会を代表する問題といっても過言ではない。そんな「痛勤地獄」を解消する一助となるべく、貸し切りバスを活用した通勤シャトルバスの実証実験が2019年12月に行われた。

舞台となったのは東急田園都市線とJR東日本の南武線が交差する主要駅「溝の口駅」(川崎市)。溝の口駅から虎ノ門駅・東京駅を結ぶ区間で無料の通勤シャトルバスのテスト運行が実施された。事前予約で座席が確保された大型バスで、「痛勤電車」よりも格段にストレスフリーな移動体験を提供し、その需要を把握するのが狙いだ。

余裕を見て1時間の予定だったが……

実施主体は、貸し切りバスツアーの企画・仲介サービス「busket(バスケット)」を展開するワンダートランスポートテクノロジーズ(東京・目黒)。今回、同社は45人乗りの貸し切りバス1台を用意し、事前予約で即座に埋まった定員40人のうち、当日は28人のビジネスパーソンが乗車した。記者はそのうちの一人だ。

集合時間の朝7時、その10分前に溝の口駅の指定場所に行くと、すでに大型バスが待機しており、スタッフの案内に従って乗車した。参加者の顔ぶれは男性77.8%、女性22.2%、年代は40代(37%)と30代(33.3%)が多く、降車地は東京駅(59.3%)に対して虎ノ門が40.7%だった。

溝の口―虎ノ門間は電車で行くと約30分の道のり。それに対して、今回の通勤シャトルバスは余裕を見て1時間ほどで虎ノ門に着く計画を組んでいた。大混雑の電車で30分我慢するより2倍の時間がかかっても、ゆったりとした座席で快適に移動できたほうがいい。そんな魅力的な提案だ。実際、シャトルバスでの移動中、参加者は新聞を読んだり、パソコンでメールを打ったり、仮眠を取ったりと、それぞれリラックスした時間を過ごしていた。記者自身も、通勤時間を読書などにあてて有意義に使えるなら、30分の早起きは苦にならないと思えたほどだ。

しかし、現実はそう甘くない。ほぼ定刻の7時8分に溝の口を出発したシャトルバスが、虎ノ門に到着したのは1時間30分後の8時38分。国道246号線や用賀インターチェンジから乗った首都高速道路の混雑により、計画より約30分遅れの到着だった。バス車内で過ごす時間が長いほど、これまで通勤時間にできなかった作業がはかどるともいえるが、朝の通勤で電車より1時間も余計にかかるのはさすがに許容しづらいだろう。今後の通勤シャトルバスの事業化に当たっては、移動の快適さと、そこにかけられる時間のバランスをどう見極めるか。それに応じた出発地と目的地の設定、運行ルートの選定などがポイントとなりそうだ。

今回の実証実験の参加者アンケートでは、興味深い回答も得られた。まず、「利用したいと思う乗車価格」については、「~500円」が46.2%と最多で、「600~1000円」が34.6%で続く。仮に1000円だとしてもシャトルバスの運行コストをすべて賄うのは難しいが、快適な移動に対してユーザーが追加の費用負担を許容する意思は見て取れる。

「利用したいと思うサービス」については、「Wi-Fi」(29.4%)、「電源」(20.6%)といった設備面に続いて、「ドリンク」(19.1%)、「朝食(軽食)」(13.2%)、「仮眠」(7.4%)などが挙がった。「車内に電源設備があれば、リモートワークのカフェ利用と同様に経費申請ができるので付けてほしいという声もあった」(ワンダートランスポートテクノロジーズの江口晋太朗プロデューサー)という。今回のような通勤シャトルバスを企業の福利厚生や、オフィスビルのサービスの一貫として運用するニーズもあるだろう。

また、ドリンクや朝食のサービスについては、企業との広告タイアップにつなげやすい。実際、ネスレ日本がケイエム観光バスと組み、「ネスカフェ エクセラ」と人気カフェレストランの朝食メニューを提供する無料通勤バス(池袋―東京駅間)を19年12月に期間限定で走らせた事例もある。他にも車内で英会話を学べたり、プロのメークが体験できたりと、「様々な企業と協業することで、通勤シャトルバスを採算ベースに乗せつつ、ユーザーがより安価に快適に移動できる形を模索していきたい」と江口氏は話す。同社は今回の実証実験を受け、今後は有料での通勤シャトルバスの運行や、夕方の帰宅時間における需要の確認を行う構えだ。

貸し切りバスツアーを個人が企画

そもそも、今回の実証実験を仕掛けたワンダートランスポートテクノロジーズが展開する事業自体、極めてユニークなものだ。同社が19年4月から始めたbusket(バスケット)は、貸し切りバスを活用したバスツアーを誰でも簡単にネット上で企画・販売できるサービス。国内では約4500のバス会社が約5万台の貸し切りバスを保有しているといわれるが、その年間稼働率は48%にとどまっている。この空き車両と、バスツアーを企画したい個人やイベント主催者をマッチングすることで、貸し切りバスの有効活用を進めるのがbusketの狙いだ。

例えば、野外音楽フェスティバルやスポーツ大会、地域活性化イベントなどの主催者にとって、利便性の高い交通アクセスを確保することは集客の大きなポイントとなる。しかし、これまでは主催者がバスツアーを企画したいと思っても、個別にバス事業者と交渉し、FAXや電話といったアナログ作業で見積もりを取るなど、非常に手間がかかった。

その点、busketではツアー企画者(オーガナイザー)がサイト上で出発場所や目的地の到着時間などを入れると、自動的にバス料金が算出される。さらに最低催行人数か、1人当たりのバス料金を設定することで、何人集まればツアーを実施できるかが決まる。企画者はバスの実費だけを徴収することもできるし、イベント費用や施設利用料、企画プロデュース代などを含んだツアー料金の設定も可能だ。

このとき、オーガナイザーはあくまで企画の提案者であり、バス会社とのやり取りや旅行商品の造成、実施(主催者)は第2種旅行業を取得しているワンダートランスポートテクノロジーズとなる。もちろん、バスの発着地や運行スケジュールなどの設定は同社の担当者がサポートするから、初心者でも問題なくツアーを計画できる。

これまでbusketを中心とした同社の貸し切りバス配車システムにより、1000件近くの貸し切りバス運行実績があるという。例えば、餃子専門家と宇都宮餃子祭りに行くツアーや、Jリーグ・大分トリニータのアウェー戦観戦ツアー、就職イベントの参加ツアーなど、busketで実施された企画はバラエティーに富んでいる。「同じ目的や趣味を共有する参加者が集う貸し切りバスツアーは、移動中のコミュニケーションや車内体験自体が魅力的なコンテンツになり、単なるイベント参加より満足度は高くなる」(江口氏)という。新たな旅行の形として、個人間のつながりを軸にカスタマイズされた貸し切りバスツアーが定着していきそうだ。

こうした貸し切りバス活用の仕組みをベースに、ワンダートランスポートテクノロジーズは先述した通勤シャトルバスの実証実験を行った。今後は、「利用者の乗車ニーズによりフレキシブルに応える仕組みを作っていきたい」(江口氏)という。例えば、深夜の最終電車を逃した人同士が連絡を取り合い、貸し切りバスを配車して自宅近くまで帰るといった利用シーン。あるいは、電車が災害や事故でストップした際の緊急の代替交通手段として貸し切りバスを活用するといったことだ。

もちろん、地方では病院や商業施設への移動手段として、時々のニーズに応じて貸し切りバスを仕立てることもできる。「運行管理やドライバーの勤務時間などの整理は必要だが、リアルタイムのマッチングを通じて、将来的には貸し切りバスが目的地から営業所に帰る間など、空気を運んでいる状態(回送車)を減らすことも可能」と江口氏。新しい移動需要を捉えるモビリティサービスとして、貸し切りバスの存在感が増していきそうだ。

(日経クロストレンド 勝俣哲生)

[日経クロストレンド 2019年12月26日の記事を再構成]

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