スマホの通信料安くしたい 格安乗り換えの4ステップ
格安SIM最前線
新年度のスタートを前にして、「スマートフォンの料金を見直したい」と考えている人も多いのではないか。通信料金は毎月発生するものなので、見直すことで出費も大きく変わってくる。ただ「通信キャリアを変更する仕方がよくわからない」という人も多いはず。そこで携帯キャリアを変更するときのポイントを解説しよう。
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以前に比べ携帯キャリアの乗り換えはしやすくなっている。2019年10月1日に改正電気通信事業法が施行されたタイミングで、各キャリアが解約金を引き下げたのだ。
これまで大手携帯キャリアやサブブランドでは、通信サービスの契約が2年単位で更新される、いわゆる「2年縛り」のあるプランが主流だった。この場合、2年ごとに設けられている更新期間以外のタイミングで解約や他社への乗り換えをすると、解約金として9500円(税別、以下同)が請求されていた。
しかし、ユーザーの過度な囲い込みを禁じた改正電気通信事業法の施行に合わせて、携帯キャリアは新しい料金プランを発表している。大手携帯キャリアのNTTドコモとKDDI(au)では、解約金を1000円に改めた。ソフトバンク、UQモバイル、ワイモバイルの3社では2年間という契約期間そのものを廃止したため、いつ解約や乗り換えをしても解約金が請求されなくなった。端末の支払いが終わったタイミングや進学・就職でニーズが変化したときなど、好きなタイミングで乗り換えられるようになったというわけだ。
【ステップ1】まずは現キャリアを新料金プランに
ただし、ここで気をつけないといけないのは、解約金が1000円や無料になるのは新しい料金プランのみということだ。自動的に新プランへは移行されないので、料金プランを変更していない人が、更新期間以外に解約や乗り換えをすると、9500円の解約金が請求されてしまう。格安SIMに乗り換えを考えているなら、まず今のキャリアの料金プランを変更することが第一歩になる。
新プランに切り替えられる時期や解約金の扱いについては、キャリアによって対応が異なる。
auとソフトバンクはいつでも新プランへの変更が可能で、料金プランが切り替わり次第、解約金1000円や無料の条件が適用される。
NTTドコモは少しややこしい。新プランへの変更はいつでも可能だが、直近の更新期間を迎えるまで、解約金は旧プランのまま据え置かれる。「プランを変更したから」と安心して更新期間が来る前に乗り換えを行うと、9500円が請求されてしまう。
ワイモバイルも新プランへの変更はいつでもできるが、契約から2年以内だったり機種変更を伴わずにプランだけ変更したりする場合は、旧プランの解約金として9500円が請求されてしまう。UQモバイルは契約から2年がたたないと新プランへの変更そのものができない。
まとめると、契約からの期間によらず、すぐにでも解約金1000円や無料のメリットを享受できるのはauとソフトバンクのみ。NTTドコモ、ワイモバイル、UQモバイルから別のキャリアに乗り換えを検討する人は、タイミングによっては直近の更新期間まで待ったほうがいいだろう(記事「スマホ料金改定 解約金下がっても旧契約は時期に注意」参照)。
【ステップ2】サブブランドと格安、どっちを選ぶ?
現キャリアの料金プランを変更したら、次は乗り換え先のキャリアを選ぼう。国内の携帯キャリアは、大きく分けて「大手携帯キャリア」「サブブランド」「格安SIM」の3タイプに分けられる。現在、大手携帯キャリアを利用している人の場合、問題となるのはサブブランドと格安SIMのどちらを選ぶかだろう。
「格安SIM」は、MVNO(仮想移動体通信事業者)が大手携帯キャリアのネットワークに相乗りして提供する通信サービスだ。利用できる通信容量に対して月額料金が安いことが最大の特徴で、乗り換えるだけでも通信コストを下げられる。特定サービス利用時の通信が無料になる「ゼロレーティング」のように、個性的なサービスが利用できる格安SIMも多い。そのかわりにショップを構えていないところがほとんどで、サポートはオンラインや電話が中心となる。また平日の12時台や夕方以降といった通信需要が高まる時間帯には通信速度が遅くなるという弱点も抱えている。
「サブブランド」は大手携帯キャリアと関係が深いキャリアのこと。ソフトバンクのサブブランドがワイモバイル、auのサブブランドがUQモバイルとなる。大手ほど多くはないものの全国にショップを構えており、通信品質も格安SIMより良好だ。主力プランの月額料金は同じ通信容量を持つ格安SIMのプランより高めだが、大手携帯キャリアのプランよりは安いという、両者の中間にあたるタイプと言える。
個性的なサービスやコストの低廉化を望むなら「格安SIM」、サービス品質とコストのバランスを取りたいなら「サブブランド」を念頭に、各タイプのなかからキャリアを選ぶのがいいだろう。
【ステップ3】スマホは持ち越す? 買い直す?
乗り換え先のキャリアを決めたら、スマホをどうするか考えよう。バッテリーが健全で機能にも不満がなければ、いま使っているスマホを使い続けることができる。
2015年5月にSIMロックの解除が義務化され、これ以降に発売されたスマホは原則として、SIMロック解除をすれば、どのキャリアでも使えるようになった。それから4年半以上たった現在、利用されているスマホの多くがSIMロック解除の対象機種に置き換わっている。SIMロックの解除はNTTドコモ、au、ソフトバンク各社のマイページかショップ店頭で手続きが可能だ(NTTドコモのみ電話でも可能)。
ただし、スマホのなかには取り扱うキャリアのネットワークに最適化されているものがある。SIMロックを解除しても、他社のネットワークでは満足に利用できないことがあるのだ。格安SIMを扱う各社は、動作するかどうかを確認しているスマホの情報を提供している。事前にそれらをしっかりと確認しておこう。
もちろんキャリアを変えるタイミングでスマホも買い替えるという選択肢もある。回線とスマホをセットにして販売するキャリアも多い。先日、ヨドバシカメラとビックカメラがiPhoneのSIMフリー端末の販売を開始して話題になったが、このように自分でSIMフリーのスマホを入手する方法もある。
【ステップ4】MNP予約番号取得は直前に
乗り換え先を選び、スマホを使い続けるか買い直すかを決めたら、いよいよ乗り換えの実行だ。現在の電話番号を変えずにキャリアを変更する番号持ち運び制度(MNP)を利用するには、乗り換え元のキャリアで「MNP予約番号」を取得し、乗り換え先のキャリアで転入手続きを行えばいい。手続きが完了すれば、乗り換え元のキャリアは自動的に解約される。MNP予約番号は各社のショップ店頭だけでなく、オンラインや電話窓口からでも取得できる。
ここで注意したいのはMNP予約番号の有効期限。取得した日を含めて15日間という期限が設けられているのだ。期限を過ぎてしまうと予約番号が無効になってしまう。15日以内というと余裕があるように思えるかもしれないが、実はそうではない。特にオンラインで転入手続きをする場合、本人確認書類のチェックやSIMカードなどの発送に時間がかかるため、残り日数に余裕を求めるキャリアが多いのだ。たとえばUQモバイルは、オンラインショップで申し込む場合、「取得日から2日以内」としている。水曜日に予約番号を取得して日曜日に申し込む、というわけにはいかないのだ。
残り日数が足りないと転入手続きができないので、MNP予約番号を再取得しなければならない。乗り換え先のキャリアで転入手続きをする日をあらかじめ決めておき、その当日か前日にMNP予約番号が取得できるように予定を立てておくのがいいだろう。
1979年、長野県生まれ。国立長野工業高等専門学校・電子制御工学科を卒業後、ものづくり・接客業を経てライターの道へ。わが子の成長を見守るかたわら、信州佐久からモバイル情報を発信中。NIKKEI STYLEでは「高速道路グルメ」も連載中。
(イラスト 鈴木エヌ)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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