国立大の学費上げ、なぜ相次ぐ 学生に国際競争の余波

2020/1/20
千葉大学は学費の引き上げ分を、学生の留学支援などに充てる
千葉大学は学費の引き上げ分を、学生の留学支援などに充てる

センター試験で受験シーズンは本番に突入したが、受験生やその家族には合否とは別にちょっと気になることがある。国立大学の相次ぐ授業料引き上げだ。各校とも「授業をより充実させたい」との理由を挙げているが、入学後の学費を心配する家庭も多いはず。世界的な潮流ともなっている大学の学費引き上げの背景をさぐる。

「今の収入では現状維持で精いっぱい。もっといい教育を、と思えば、安定的な収入を増やすしかない」。こう話すのは、千葉大学の佐藤之彦副学長。千葉大は2020年4月に入学する学生から授業料を引き上げる。学部生の場合、年間53万円が64万円になる。大学側の増収分はすべて学生の教育に還元するという。

危機感反映、限度幅の値上げ

旗印は「グローバル人材の育成」だ。海外留学を全学生の必修にし、英語の授業を増やす。「国立大学はこれまで悪い意味で横並びだった。大学も学生も世界で競争が厳しくなっているのに、このままでは日本全体が地盤沈下していくだけ。一歩でも踏み出さないと」と佐藤副学長は危機感をあらわにする。

新入学生の授業料引き上げは、すでに東京工業大学が19年4月に実施し、一橋大学も20年4月から取り組む。東工大の水本哲弥副学長は「世界で戦える大学にならないと。例えばアクティブラーニングを進めようと思っても、大教室の固定の机の配置がネックになる。そんなこと1つでも変えようとすればお金がかかる」と話す。一橋大は引き上げの目的を「グローバルに活躍する研究者や教育者を増やすため」と書面で回答した。

国立大の授業料は文部科学省が定める標準額(53万円)から、最大2割増までの範囲で決めることができる。東工大、千葉大、一橋大の引き上げ幅は限度いっぱいの2割だ。

背景にあるのは大学側の危機感だ。国から大学への運営交付金の減少で、東京大学など外部から多くの資金を獲得できるごく一部の大学以外は財政面で苦しくなりつつある。資金不足が教育力の低下につながれば、少子化の時代に生き残れない。

学費の高まりは世界的な流れでもある。世界の大学経営に詳しい桜美林大学の小林雅之教授によると、教育を国が保障するという理念を持つ欧州の一部を除き、授業料の高さが問題になっている国・地域は少なくない。

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