ガンダムをアニメから本物に 未来を拓く奥山清行さん編集委員 小林明

――99年から放映された「∀(ターンエー)ガンダム」のメカニックデザインは「ブレードランナー」「スター・トレック」など映画のセットデザインを手がけた米工業デザイナーのシド・ミードさんが担当しました。

「シド・ミードさんは僕の母校、米アートセンター・カレッジ・オブ・デザインの偉大な先輩ですから感慨深いです(シド・ミードは卒業後、フォードなどで自動車デザインにかかわった後、映画界に進出)。『∀ガンダム』で彼は従来のガンダムとは異なる世界観を打ち出しましたが、僕がそれと同じことをしても仕方がない。40周年記念のガンプラのデザインを通じて、自分ならではの役割が果たせたのではないかと考えています」

奥山さんが腰や脚部をデザインする際に描いたスケッチ

アニメから常に大きな影響、見直される2Dの魅力

――アニメの可能性についてどう考えていますか。

「振り返ると、僕は昔からロボットアニメが好きで見続けてきたし、大きな影響も受けてきました。もともとは特撮番組『サンダーバード』や月面着陸したアポロ11号が好きでテレビ画面を見ながらスケッチを描いたり、粘土で模型を作ったりしていましたが、『鉄人28号』『マジンガーZ』『グレートマジンガー』『ゲッターロボ』などのロボットアニメが登場すると、それにのめり込み、夢中で見るようになっていた。そして中学時代の『宇宙戦艦ヤマト』、大学時代の『機動戦士ガンダム』へとつながります。後に僕はイタリアに渡り、フェラーリやマセラティなどを顧客に抱えるイタリアの名門デザイン工房、ピニンファリーナに移籍しますが、その際には僕が描いたアメコミ風のスケッチが採用の決め手になったりしている」

後部へも動くカメラなどを想定した頭部のスケッチ

――3D技術が登場し、アニメの表現方法も飛躍的に進化しています。

「でも手描きの2Dのアニメが3Dに劣っているのかというと、必ずしもそうとは限らない。ディズニーや『トムとジェリー』など昔のアニメの柔らかくて美しい動きは相変わらず素晴らしいし、キャラクターがパチンと潰されて薄い紙のようにペラペラになってしまうような表現も、現実にはありえないけどすごく面白い。浮世絵の芸術性がいつまでも廃れないのと同じです」

「平面のアニメの方が人間はむしろ頭を働かせながら見ているから、3Dにすることで逆に選択肢を固定してしまう弊害もある。最近では2Dの良さが見直されています。これからアニメがどう発展するかすごく楽しみです。もっと面白いものがどんどん生まれてくるんじゃないでしょうか」

(聞き手は編集委員 小林明)


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