――フリースジャケットの着こなしについて、何かコツはありますか?
「これは選び方の話にもつながりますが、フリースはボリュームが出やすく、やぼったくなりがちなアイテムなので、丈が短い方がコーディネートしやすいと思います。例えば下に丈の長いシャツを着て、丈感にメリハリをつけたり、インナーの配色でコントラストをつけたりと、着こなしの選択肢が増えますから」
年を重ねるごとに似合ってくるアメカジスタイル
――本日は、コーディネートを3組用意してもらいました。1組目はカラフルな柄のフリースジャケットとミリタリーパンツを合わせたスタイルです。
「フリースジャケットといえば、アメカジの定番アイテム。というわけで今回は90年代のアメカジスタイルを意識しました。アメカジはドレススタイルと違って着こなし方にルールがないので、配色も凝りすぎず、好きなカラーを合わせる形で。こういうコーディネートは30代、40代と年を重ねるごとに似合ってくると思います」
――アメカジは配色を気にしなくていいというのは初めて聞きました。
「配色にこだわるのはコレクションブランドが主ですから。自由に着ていい、というのがアメカジの魅力だと思います」
「このフリースジャケットはGLENOIT(グレノイト)社の生地を使っています。実はアメカジの王道ブランドでもあるパタゴニアも御用達の生地なので、今回のようなスタイルには最適なんです」
――お話を聞くとアメカジはテクニックを弄さない気取らなさが魅力に思えますが、コーディネートにはどこか統一感も感じられます。
「色味がばらけているので、時代感をそろえています。足元は90年代のフランスの軍用シューズを再現したREPRODUCTION OF FOUND(リプロダクション オブ ファウンド)のスニーカー。どこか90年代のアメカジをほうふつとさせるデザインなので、取り入れてみました。色使いも面白いですし、ベースになったスニーカーとは違って、紐(ひも)のないスリッポンタイプになっていたりと、とてもユニークなんです」
ショート丈のフリースと丈の長いインナーをレイヤード
――2組目は先ほどおっしゃっていた、やや丈が短いフリースジャケットを活用したコーディネートですね。
「ショート丈のフリースジャケットと丈の長いインナーをレイヤードして、丈感でメリハリをつけています。あとはやぼったくならないように、インナーには清潔感のあるシャツを選んでみました」
――アウターのスポーティーな印象をシャツのドレッシーさで緩和していますね。ボトムスにはどんなこだわりが?
「トップスにボリューム感があるので、ボトムスはもったりした印象にならないように、軽い生地感のパンツを選びました。色味はジャケットのコーデュロイに切り替えられた部分の色と合わせています」
――ボトムスでトップスの色を拾う、というのは他でも活用できそうな技ですね。
「そうですね。それとシューズはトップスと同じブラウン系で、なおかつ明るめのものがいいと思い、Clarks Originals(クラークス オリジナルズ)のスエードシューズを合わせています。これもトップスの色を拾いつつ、足元を軽く見せるイメージです」