「政治は道具」伝えたい 24歳社長、中高時代に原点POTETO Media社長 古井康介さん

POTETO Media社長の古井康介さん
POTETO Media社長の古井康介さん

グラフィックスや動画を駆使して政治を分かりやすく発信している「POTETO Media」(東京・新宿)。24歳にして社長の古井康介さんは、中学時代に起きたある「事件」をきっかけに「何かすごいことをする」と誓った。その針路は今、個人では越えられない壁を、身近な「政治」によって克服できる世界へと向けられている。

「トランプ! トランプ! トランプ!」。大音量の音楽とともにトランプ氏がプライベートジェットから姿を現すと、怒号のような歓声が会場に響き渡る。ミラーボールが回り、あたりをきらびやかに照らす。

2016年11月の米大統領選のさなか。慶応大学3年だった古井さんは、友人と米ピッツバーグで開かれたトランプ陣営の集会を訪れていた。「まるでミュージシャンのライブだ」。派手な演出に目を奪われた。そして迎えた投開票当日。敗北したヒラリー・クリントン氏の支援者集会では、性的少数者(LGBT)とみられる若者が「自分たちのアイデンティティーが否定された」と涙を流した。あらゆる世代が政治に熱狂し、自分のこととして語る。日本では見たことのない光景があった。

「この感動を伝えたい」。帰国後、友人と大統領選の様子をリポートする動画を作ってSNS(交流サイト)で公表すると、1日で1万回あまりも再生された。「若い人に政治を分かりやすく発信しよう」。翌12月、学生団体「POTETO」を立ち上げた。

団体名は「Political Telecommunication Tower(政治の電波塔)」を略したものだ。日本で政治が身近に感じられないのは、発信者(政治家)と受信者(有権者)の周波数が違うから。言葉を工夫し、グラフィックスを効果的に使うことで周波数を調整すれば、理解しやすい形で届けられる。こんな思いが込められている。

「広報」と「報道」のアンバランス

政治の仕組みや政策を分かりやすく伝えるメディア事業のほか、高校などで政治について出前授業する教育事業にも着手した。授業を受けた生徒は延べ1万人に達している。

収益の柱に育ちつつあるのが、政治家や政党のプロモーションを請け負う事業だ。17年10月の衆院選で立憲民主党の菅直人元首相の広報を担当。菅氏が3期ぶりに小選挙区で勝利を収めると、一躍注目を集めた。団体設立1年となる同年12月には株式会社化にこぎつけ、社名を「POTETO Media」に改めた。

日本では政治や政治家に対する信頼が低いと言われる。なぜだろうか。古井さんは「『広報』と『報道』のバランスが悪いからではないか」と考える。「権力を監視するのは大事だけれど、政治家は自分たちの成果や役割を伝えきれていない。サッカー選手について報じるときに、いいプレーのハイライト映像は流さず不祥事ばかり報道していたら、ファンは増えないですよね」。政治離れを食い止めるため「まっとうな広報」をしなければいけない。政治のPRにも力を入れる理由だ。

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