クラウド調達が生む世界 「カメ止め」映画の常識覆すクラウドファンディングが変える社会(1) MotionGallery代表 大高健志

MotionGallery代表 大高健志氏
MotionGallery代表 大高健志氏
次代を担う「旗手」は何を感じ、何を考えているのか――。日本経済新聞社が運営する投稿プラットフォーム「COMEMO」から、ビジネスパーソンにも役立つイチオシの「キーオピニオンリーダー」が執筆した記事を紹介します。今回から4回は、小口資金を集めるクラウドファンディングサイトを運営するMotionGallery(モーションギャラリー、東京・港、サイトも同名)代表の大高健志さん。クラウドファンディングで取り組んできた「変革」について語ります。

私は現代アートや演劇、音楽、書籍、映画など、社会を豊かに、そしてクリエイティブにする活動を応援するクラウドファンディング「モーションギャラリー」と、地域のカフェやゲストハウスなどさまざまなスペースで誰でも簡単に映画上映会を開ける「popcorn(ポップコーン)」の2つのプラットフォームを運営しています。

また、ほかにも映画のプロデューサーとして、はたまた国際芸術祭のキュレーターとして、新しい「映画のつくり方」「芸術祭のつくり方」「書籍のつくり方」など、プレーヤーとしても日々、挑戦と失敗を重ねています。

私がモーションギャラリーを立ち上げたのは8年前の2011年。今では、蓄積してきたノウハウや感度の高い会員の皆様のおかげで、映画をはじめとしたクリエイティブな領域で「国内で最も成功するプラットフォーム」といわれるようになっています。本当にうれしい限りですが、立ち上げ当初は「どうしてモーションギャラリーをやろうと考えたのか」と尋ねられることも非常に多かったです。

私自身、映画がとても好きですが、単純にエンターテインメントとしての面白さだけではなく、映画の持つ力が社会に必要だと思っています。

映画の力を信じる

作り手の視座、思いが反映される「作品」は、あるときは観客の視点に寄り添い、あるときは観客とは相いれない多様な視点の存在を明らかにします。数多くの映画を見ることで、描いているテーマや、隠されたメッセージを見つけ、自分の考えや知識と照らし合わせる。それは、映画監督や脚本家という他者のまなざしを追体験し、そして自分自身を相対化する作業です。悩み多き思春期や人生の壁にぶつかったときに、すっと心に入ってきて社会の多様な視点にいざなってくれる。すると表面をなぞるだけでは見えていなかったものが立ち現れてくるのです。

私は今まで、映画を見ることである種の答えが出たり、自分の周りに理解者や味方が見つからなかった孤独のトンネルから抜け出したりした経験が幾度となくありました。世界のどこかに、もしくは少なくともその作品の監督は、自分のことを理解してくれている……そんな人がいてくれるのだという実感が、生きていくための大きな力と勇気を与えてくれるのだと思います。

「文化が社会に必要だ」と私が思う理由はそこにあります。それが、私が映画を愛している理由でもありモーションギャラリーを立ち上げた理由でもあります。

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