JALはラウンジのワインで冒険

JALはワイン界最高の資格といわれているマスター・オブ・ワインを日本在住の日本人として初めて取得した大橋健一氏と、銀座レカンのシェフソムリエなどを経てワインテイスター・ワインディレクターとして活動する大越基裕氏がアドバイザーを務める。

エコノミークラスとプレミアムエコノミークラスでは、この2人の頭文字から名前を取った「DOUBLE "O"(ダブル・オー)」というオリジナルワインを提供する。

JALがエコノミーで出している「DOUBLE "O"(ダブル・オー)」。ラベルも2人の似顔絵が入っている

ベースになるワインを150種近くも2人で試飲してブレンドを決めたという。ベースには様々な国のワインが含まれていたが、最終的に選んだのはすべてフランスワインだったので、フランスで製造している。187ミリリットルのペットボトルに入った飲みきりサイズだ。かつては、このサイズでもガラスのボトルを使っていたが、ペットボトルになって大幅に軽量化したほか、ボトル同士がぶつかっても大きな音がしないので、フライト・アテンダントの作業が楽になったという。

ダブル・オーの赤はグルナッシュ・ノワールをベースにシラー、マルセラン、カリニャンさらに白ワインのマスカットを5%加えている。ふくよかでやわらかな味わいで普段飲みのワインにしたいくらいのおいしさだった。一方、白はグルナッシュ・ブランを中心にマスカット、ヴェルメンティーノ、ヴィオニエ、ゲヴェルツトラミネールをブレンド。爽やかで香りよく、わずかに甘さがあってこれもとても飲みやすいワインだった。

シャンパーニュ「サロン」。シャンパーニュの中でも指折りの高級ワインだ

ファーストクラスではシャンパーニュの「サロン 2007」が一番の目玉。複数ヴィンテージのブレンドが基本のシャンパーニュにおいて、単一ヴィンテージ、単一畑、単一品種にこだわり、ブドウの品質が高い年にしか作られない孤高のシャンパーニュ。店頭価格で10万円近くもするワインだ。

また、19年から提供を再開したのがボルドーの3級ワイン「シャトー・ラグランジュ 2013」。サントリーが復活させたワイナリーとして知られている。大橋・大越両氏が試飲して良好なビンテージを選んだそうだ。

2019年9月から20年2月までのファーストクラス・ワイン(一部)。右から3番目がラグランジュで1番右がアルガブランカ イセハラ

日本ワインでは19年9月から20年2月までは、勝沼醸造の「アルガブランカ イセハラ 2016」を提供。ANAで出しているもののヴィンテージ違いだ。ANAでもJALでも飲めるのは珍しい。ちなみに機内で提供するワインの入れ替えは基本的には半年単位。海外の各空港にも在庫を置く必要があるため、四半期ごとに替えるのは難しいという。

ANAと同様、日本人が海外で作るワインもラインアップに入っている。「クスダ マーティンボロ ピノ・ノワール 2016」は楠田浩之氏がニュージーランドで作るワイン。今や大人気で入手が難しいワインとしても知られている。「シャトー・イガイタカハ 園 ピノ・ノワール 2015」は杉本隆英・美代子夫妻のブランド。畑やワイナリーなどは持たず、カリフォルニアの著名なワインメーカーとのコラボによって作るユニークなワインだ。

また、JALで注目なのがラウンジのワインだ。機内のワインは比較的メジャーなものをそろえていくのに対し、「ラウンジは面白いものを提供する」(JAL商品・サービス企画本部開発部空港サービス・客室仕様グループマネジャーの相原光氏)という。ラウンジの方が機内よりも使う本数が少ないので、少量生産の生産者も採用しやすいという。

例えば、変質の恐れのある自然派のワインとして、フランス・ボージョレのマルセル・ラピエールのワインを提供していたこともある。現在のラインアップでは、ワイン発祥の地であるジョージアのワインや、世界的に注目が高まっている南アフリカのワインを提供している。

ジョージアのオレンジワインのラベル

特に面白いのがファーストクラスラウンジで提供しているジョージアのワイン。「Rkatsiteli(ルカツィテリ)」という白ワイン用ブドウを使って作る「オレンジワイン」だ。白ワインはブドウを圧搾し、果汁だけを発酵して作るが、オレンジワインは赤ワインを作るときと同じように果汁と果皮が接触した状態で発酵させる。皮からうまみなどの成分が溶け出し、薄いオレンジ色に色づく。味わいもスパイスやハーブ、ナッツなどの味わいが増すのが特徴だ。ただ、普通の白ワインのようにクリアにならず、濁りがあったり、浮遊物があったりするので、提供する側も飲む方もそれを分かっていないと問題が起こりやすい。また、オレンジワインには癖の強いものも多いので、かなりの冒険である。

実際に試飲してみたところ、オレンジワインとしては比較的おとなしい作りで、飲みやすく、うまみも強い。ラウンジでちょっと変わったワインを飲んでみたいと思う人に人気が出そうだ。

(デジタル編集部 松原敦)

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