■6位 七転八起 755ポイント
立ち向かう、きっとうまくいく

(しちてんはっき)何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力すること

「失敗しても反省して二度と同じことをしないように、新しいパートの仕事を頑張りたい」(55歳女性)。「現在取り組んでいるプロジェクトで紆余(うよ)曲折が予想されるので」(57歳男性)。困難に立ち向かおうと、自らを奮い立たせる気持ちがこもる。

今年はうまくいかなかったが、新しい年は好転させたいという願いも映す。「病気を抱えていて治療が思うように進まないので、くじけない心を大事にしたい」(36歳男性)。「仕事や家族関係で失敗や悔しいこともあるが、自分を強く持って努力したい」(20歳女性)

■7位 不言実行 717点ポイント
目標に向かって突き進もう

(ふげんじっこう)あれこれ言わず、黙ってなすべきことを実行すること

「今年は言い訳が多く、人と円満にコミュニケーションがとれないことが多かったので、来年は素直になりたい」(37歳女性)。「来年こそは資格取得を果たしたい。言い訳せずに頑張りたい」(40歳男性)。つい出てしまう文句や言い訳を反省し、目標に向かって進みたいという決意が並んだ。

家庭を顧みる人も。「子どもにあれこれ言わない」(44歳女性)。「子どもたちに背中で見せていく」(59歳男性)。「介護の愚痴ばかり言っていたけれど、言わないようにしてやることをやろう」(52歳女性)

■8位 不撓不屈 699ポイント
くじけてしまう私にピリオド

(ふとうふくつ)強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさま

「乳がんを経験したので、病気に負けない気持ちで毎日過ごしたい」(49歳女性)。襲いかかる病に立ち向かう気持ちを抱負とした人が目立ったほか、目標達成の道筋を描く人もいた。「外国語の勉強を始めたので挫折しないで続けたい」(65歳女性)。「就活が始まるのでメンタルを強く持って臨みたい」(23歳男性)

「転職を繰り返す人生にピリオドを打ちたい」(40歳女性)。「メンタルが弱めだけれど息子にどっしりした母ちゃんを見せたい」(42歳女性)。自分が目指す姿を投影するケースもあった。

■9位 一念発起 690ポイント 
なし遂げる、これまでとは違う

(いちねんほっき)それまでの考えを改め、あることを成し遂げようと決意し、熱心に励むこと

これまでできなかったことに着手したいという願望を表した人が多い。「新たに事業を始めるので、気合を入れたい」(38歳男性)。「先延ばしになっている断捨離をして、家をすっきりさせたい」(41歳女性)

具体的な目標は様々。「今年こそはダイエット」(41歳女性)。「以前からの課題の英会話」(52歳女性)。「サボっていたウオーキングを週4日は実行する」(67歳女性)。「これまで浪費がひどかったので、投資や貯蓄にお金をまわすようにしたい」(26歳男性)

■10位 油断大敵 689ポイント
気を引き締め、ケガなく健康に

(ゆだんたいてき)注意を少しでも怠れば思わぬ失敗を招くから、十分に気をつけるべきであるという戒め

「秋に体調不良とけがが続いたため、注意一秒けが一生を心がけたい」(65歳女性)。「今年はけがや病気に悩まされたので」(35歳男性)。健康面で気を引き締める人が目立つ。

「災害対応などは油断をしてはいけない」(58歳男性)。再三の台風に襲われた年ならではの声のほか、「あおり運転など思わぬ事故に巻き込まれないように気をつけたい」(41歳女性)。「ながらスマホの規制が厳しくなった。車の運転には今以上に気をつけようと思う」(54歳女性)と安全運転をあげた人も多かった。

「令和祈幸」「現金持無」「一心一隊」… 去りゆく2019年一喜一憂

祝福する沿道の人たちに手を振る天皇、皇后両陛下(11月10日、東京都千代田区)

調査で回答者に2019年を表す四字熟語を聞いたところ、様々な視点から見た今年の世相を表す言葉が並んだ。

皇位継承が予定されていた今年。4月には新元号が「令和」と発表され、30日に上皇さまが退位、5月1日に天皇陛下が即位された。めでたいムードが一層盛り上がり、「令和歓喜」(46歳女性)、「令変新発」(38歳男性)。自らの気持ちを「改元一心」(57歳女性)、「令和泰然」(28歳男性)と表現した人もいた。

キャッシュレス決済と還元に対応している小売店(東京都江東区)

10月、消費税が8%から10%に上がったことも記憶に新しい。直前に買いだめに走る「増税前踊」(48歳女性)や「増税爆買」(59歳女性)は今回も。一方で、節約して「外食我慢」(47歳女性)、「質素辛買」(26歳女性)という人も。「時間はあるが金欠」だから「貧乏暇有」(51歳女性)という表現には共感する人も多いのでは。

同時に、「現金持無」(48歳男性)のキャッシュレス決済が進んだ「電幣元年」(61歳男性)でもあった。電子マネーで購入したタピオカドリンク「黒糖粒飲」(27歳女性)を若者が飲み歩く姿が、全国的に見られた。

スポーツ界も沸いた。1月にテニスの大坂なおみ選手が全豪オープンで優勝し、8月にゴルフの渋野日向子選手が全英女子オープンで優勝するなど「神技盛大」(44歳女性)。9月から11月にかけてはラグビーのワールドカップ(W杯)が日本で開催。チームスローガンに「ワンチーム」を掲げた日本代表がベスト8に入り、「一心一隊」(47歳男性)、「一員大勝」(20歳女性)の活躍に「即席歓喜」(50歳女性)。にわかファンも急増した。

ラグビーW杯 日本-スコットランド戦

今年も自然が猛威を振るった。台風が何度も上陸するなど「災害過多」(38歳男性)で大きな傷痕を残した。「災害忍耐」(67歳女性)は「避難生活を強いられる人がどこまで耐えられるか心配」との思いを寄せた熟語だ。

企業や政治の世界で相変わらず「四面忖度(そんたく)」(41歳男性)がはびこった。芸能界では不祥事で「芸人消失」(42歳男性)し、薬物事件で差し替えになったテレビドラマも。「薬闇断絶」(37歳女性)が望まれる。

開会式や閉会式で使われる国立競技場が完成し、東京開催の「五輪準備」(46歳男性)が進む今。「新気一転」(26歳女性)し「令和祈幸」(67歳女性)、新年を迎えよう。

■ランキングの見方 数字は「来年の抱負にしたい」四字熟語についての回答を編集部で点数化。読み方と意味は三省堂の「新明解四字熟語辞典」から引用した。イラストは茂木麻美。(伊藤新時)

■調査の方法 「来年の抱負」につながる意味を持つ四字熟語25語を、国文学者の中西進・大阪女子大名誉教授、金田一秀穂・杏林大教授、三省堂「新明解四字熟語辞典」編集部の協力でリスト化。ネット調査会社、マイボイスコム(東京・千代田)を通じ、全国の20~60代の1000人(各世代とも男女同数)に5位まで順位付けをしてもらった。また、各人が考えた今年の世相を表す四字熟語をあげてもらった。

[NIKKEIプラス1 2019年12月28日付]

NIKKEIプラス1「何でもランキング」のこれまでの記事は、こちらからご覧下さい。