2020年はいい年に! 四字熟語で誓う新年の抱負
平成から令和へ。新たな時代が始まった2019年もわずか。20年は世界が注目する「オリンピックイヤー」でもある。新年の抱負を表す四字熟語を1000人に聞いた。
1位 心機一転
気持ち新たに 前へ
(しんきいってん)あることをきっかけとして、すっかり気持ちがよい方向に変わること。また、変えること
新しい年に、進学、就職、引っ越しなどさまざまな形で転機を迎える人が抱負として選んだ。「4月から就職し、一人暮らしが始まるので心を新たに頑張りたい」(22歳女性)。「子どもの進学があり、生活が変化するので」(34歳女性)。「新しい家が3月に完成するので」(35歳男性)
節目の年と意義づけた人もいる。「出産を終え、精神的に成長しなければいけないと感じた」(26歳女性)。「10年近く続けてきた習い事が終わるので、新しい一歩を違う方向に踏み出したい」(49歳女性)
「今年は父が亡くなり慌ただしい年だったので、来年は落ち着きを取り戻して普段の自分に戻りたい」(54歳女性)。「今年は身内の病気とか嫌なことがあったので、来年は良い年にしたい」(65歳女性)。「失恋したので、新たな気持ちでチャレンジしたい」(28歳男性)。つらい経験をした人は気持ちを切り替え、よいことがありますように。
2位 悠々自適
忙しいときこそ心穏やかに
(ゆうゆうじてき)俗事にわずらわされず、のんびりと心静かに、思うままに過ごすこと
「理想の境地」(30歳男性)。せわしない世の中に、生き方のゆとりを求める人に推された。「慌ててもうまくいかないことがわかったので」(53歳女性)。「裕福でなくていいから自由に暮らしたい」(67歳女性)
定年を迎えたり、子育てを終えたりしたシニア層の、心穏やかに過ごしたいという願望を映した抱負となった。「定年退職を迎えるので」(64歳男性)。「子どもが自立するので定年後の夫とのんびり暮らしたい」(55歳女性)
若年層でも、ゆったりとした気持ちで過ごしたい、という思いは強いようだ。「周囲の環境から考え込みすぎてストレスをためて体を壊したので、来年はマイペースで過ごしたい」(39歳女性)。「今年は対人関係が面倒な1年だったので」(23歳女性)。「流行ばかりの世の中でも自分をしっかり持って流されないようにしたい」(41歳女性)
3位 泰然自若
周囲に振り回されず、堂々と
(たいぜんじじゃく)落ち着いていてどんなことにも動じないさま
「落ち着いた先輩になりたい」(24歳女性)。「組織のリーダーになるから」(38歳男性)。役割や立場に合わせて堂々と振る舞いたいという人の意気込みを映した。
「仕事でトラブルがあっても冷静に対応したいから」(31歳女性)。自らの行動の指針としてあげる人も多く、「変化の年になる可能性があるので、肝を据えて事にあたりたいと考えている」(47歳女性)。「望まない異動を指示されたが、自分を見失わないようにしたい」(55歳男性)
「自分でどうにもならないことに振り回されないように」(61歳男性)。「家族や自分の健康や生活のことを考えると気が重くなるので、ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)の気持ちで」(68歳女性)。色々なことが起きるけれど、とらわれすぎないようにしたい。
4位 一期一会
あまたの出会いが待っている
(いちごいちえ)一生に一度だけの機会。生涯に一度限りであること。生涯に一回しかないと考えて、そのことに専念する意
「オリンピックでボランティアをするので、いろいろな人に出会い、学びたい」(39歳女性)。来年開かれる東京五輪、パラリンピックに訪れる世界中の人たちと交流することを期待する人は多い。「オリンピックで多くの人と出会い、人生を豊かにしたい」(68歳男性)
「行ったことのない国へ行こうと思っている」(26歳男性)。「今年はSNS(交流サイト)を通してすてきなご縁があったので、来年も」(51歳女性)。出会いを大切に。
5位 前途洋々
未来は明るい、期待を込めて
(ぜんとようよう)今後の人生が大きく開けていて、希望に満ちあふれているさま
「自分が納得する就職ができるように希望を込めて」(23歳男性)。「年明けから待機児童だった次女の入園が決まり、仕事復帰をしようと計画中なので、うまくいくように願いを込めて」(34歳女性)。新年に大きな期待を込めた人たちに選ばれた。
「妊娠した」(28歳女性)。「転職して収入が増えた」(41歳男性)。いいことがあった人は胸を膨らませる。「娘の成人式もあり、華やかな未来を楽しみにしている」(48歳女性)。「夫婦2人だけの生活が楽しみ」(56歳女性)と、家族の未来へ期待を広げる人も多かった。
6位 七転八起
立ち向かう、きっとうまくいく
(しちてんはっき)何度失敗してもくじけず、立ち上がって努力すること
「失敗しても反省して二度と同じことをしないように、新しいパートの仕事を頑張りたい」(55歳女性)。「現在取り組んでいるプロジェクトで紆余(うよ)曲折が予想されるので」(57歳男性)。困難に立ち向かおうと、自らを奮い立たせる気持ちがこもる。
今年はうまくいかなかったが、新しい年は好転させたいという願いも映す。「病気を抱えていて治療が思うように進まないので、くじけない心を大事にしたい」(36歳男性)。「仕事や家族関係で失敗や悔しいこともあるが、自分を強く持って努力したい」(20歳女性)
7位 不言実行
目標に向かって突き進もう
(ふげんじっこう)あれこれ言わず、黙ってなすべきことを実行すること
「今年は言い訳が多く、人と円満にコミュニケーションがとれないことが多かったので、来年は素直になりたい」(37歳女性)。「来年こそは資格取得を果たしたい。言い訳せずに頑張りたい」(40歳男性)。つい出てしまう文句や言い訳を反省し、目標に向かって進みたいという決意が並んだ。
家庭を顧みる人も。「子どもにあれこれ言わない」(44歳女性)。「子どもたちに背中で見せていく」(59歳男性)。「介護の愚痴ばかり言っていたけれど、言わないようにしてやることをやろう」(52歳女性)
8位 不撓不屈
くじけてしまう私にピリオド
(ふとうふくつ)強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさま
「乳がんを経験したので、病気に負けない気持ちで毎日過ごしたい」(49歳女性)。襲いかかる病に立ち向かう気持ちを抱負とした人が目立ったほか、目標達成の道筋を描く人もいた。「外国語の勉強を始めたので挫折しないで続けたい」(65歳女性)。「就活が始まるのでメンタルを強く持って臨みたい」(23歳男性)
「転職を繰り返す人生にピリオドを打ちたい」(40歳女性)。「メンタルが弱めだけれど息子にどっしりした母ちゃんを見せたい」(42歳女性)。自分が目指す姿を投影するケースもあった。
9位 一念発起
なし遂げる、これまでとは違う
(いちねんほっき)それまでの考えを改め、あることを成し遂げようと決意し、熱心に励むこと
これまでできなかったことに着手したいという願望を表した人が多い。「新たに事業を始めるので、気合を入れたい」(38歳男性)。「先延ばしになっている断捨離をして、家をすっきりさせたい」(41歳女性)
具体的な目標は様々。「今年こそはダイエット」(41歳女性)。「以前からの課題の英会話」(52歳女性)。「サボっていたウオーキングを週4日は実行する」(67歳女性)。「これまで浪費がひどかったので、投資や貯蓄にお金をまわすようにしたい」(26歳男性)
10位 油断大敵
気を引き締め、ケガなく健康に
(ゆだんたいてき)注意を少しでも怠れば思わぬ失敗を招くから、十分に気をつけるべきであるという戒め
「秋に体調不良とけがが続いたため、注意一秒けが一生を心がけたい」(65歳女性)。「今年はけがや病気に悩まされたので」(35歳男性)。健康面で気を引き締める人が目立つ。
「災害対応などは油断をしてはいけない」(58歳男性)。再三の台風に襲われた年ならではの声のほか、「あおり運転など思わぬ事故に巻き込まれないように気をつけたい」(41歳女性)。「ながらスマホの規制が厳しくなった。車の運転には今以上に気をつけようと思う」(54歳女性)と安全運転をあげた人も多かった。
「令和祈幸」「現金持無」「一心一隊」… 去りゆく2019年一喜一憂
調査で回答者に2019年を表す四字熟語を聞いたところ、様々な視点から見た今年の世相を表す言葉が並んだ。
皇位継承が予定されていた今年。4月には新元号が「令和」と発表され、30日に上皇さまが退位、5月1日に天皇陛下が即位された。めでたいムードが一層盛り上がり、「令和歓喜」(46歳女性)、「令変新発」(38歳男性)。自らの気持ちを「改元一心」(57歳女性)、「令和泰然」(28歳男性)と表現した人もいた。
10月、消費税が8%から10%に上がったことも記憶に新しい。直前に買いだめに走る「増税前踊」(48歳女性)や「増税爆買」(59歳女性)は今回も。一方で、節約して「外食我慢」(47歳女性)、「質素辛買」(26歳女性)という人も。「時間はあるが金欠」だから「貧乏暇有」(51歳女性)という表現には共感する人も多いのでは。
同時に、「現金持無」(48歳男性)のキャッシュレス決済が進んだ「電幣元年」(61歳男性)でもあった。電子マネーで購入したタピオカドリンク「黒糖粒飲」(27歳女性)を若者が飲み歩く姿が、全国的に見られた。
スポーツ界も沸いた。1月にテニスの大坂なおみ選手が全豪オープンで優勝し、8月にゴルフの渋野日向子選手が全英女子オープンで優勝するなど「神技盛大」(44歳女性)。9月から11月にかけてはラグビーのワールドカップ(W杯)が日本で開催。チームスローガンに「ワンチーム」を掲げた日本代表がベスト8に入り、「一心一隊」(47歳男性)、「一員大勝」(20歳女性)の活躍に「即席歓喜」(50歳女性)。にわかファンも急増した。
今年も自然が猛威を振るった。台風が何度も上陸するなど「災害過多」(38歳男性)で大きな傷痕を残した。「災害忍耐」(67歳女性)は「避難生活を強いられる人がどこまで耐えられるか心配」との思いを寄せた熟語だ。
企業や政治の世界で相変わらず「四面忖度(そんたく)」(41歳男性)がはびこった。芸能界では不祥事で「芸人消失」(42歳男性)し、薬物事件で差し替えになったテレビドラマも。「薬闇断絶」(37歳女性)が望まれる。
開会式や閉会式で使われる国立競技場が完成し、東京開催の「五輪準備」(46歳男性)が進む今。「新気一転」(26歳女性)し「令和祈幸」(67歳女性)、新年を迎えよう。
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[NIKKEIプラス1 2019年12月28日付]
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