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まず耳を傾けることから始めよう。画像はイメージ=PIXTA

まず耳を傾けることから始めよう。画像はイメージ=PIXTA

「部下の扱いが悩ましい」というのは、上司・管理職の変わらぬ悩みだ。どの時代にでも年齢の離れた部下に「イマドキの者は」という、不満を示す上司はいた。しかし、『イマドキ部下のトリセツ』(ぱる出版)を書いた麻野進氏はひとくくりに「イマドキ」とみなす態度がそもそもの間違いという。実は世代ごとで気質が大きく異なる部下との向き合い方を聞いた。

手の内を知る「年上の部下」

管理職が「扱いづらい」と感じる部下は世代で3種類程度に分かれるという。一番年上はバブル世代。1988~92年ごろに大学を卒業した層だ。既に働き始めて30年程度で、55歳の役職定年が現実味を帯びつつある。次はロストジェネレーション世代。いわゆる「就職氷河期」を体験した、93~2000年代前半に就職した人たちを指す。最後はゆとり・さとり世代。「ゆとり教育」を受けた人たちと、その後の世代にあたる。麻野氏は「それぞれの世代に気質や行動パターンの違いがあり、各世代に応じた向き合い方が求められる」と指摘する。麻野氏の分類では、ゆとりとさとりも別。「イマドキの若手と安易にくくるのは危険」だそうだ。

本書では32歳の課長を主人公に、世代別のコミュニケーションを例示している。実際、企業研修ではこのミドルマネジメント層が部下の扱いに苦労しているのを感じるという。たとえば、バブル世代は「年上の部下」にあたる。管理職の経験者も含まれ、手の内は知られている。部下を動かすうえで、課長クラスがしばしば用いる手練手管も通じにくい。「出世に響くぞ」という脅しは、既に出世をあきらめつつある50代には効き目が薄い。麻野氏は「まず部下本人の立ち位置を確認させたうえで、役割を明確に示し、作業にあたらせるのが望ましい接し方」と説く。既に時代遅れとなってしまった、勝手な振る舞いで職場を混乱させないよう「能力の劣化に気づかせるのも管理職の仕事」という。

「先がない」と本人も感じているようなケースなら「転職」がキーワードになり得る。現在の職場での尊大なふるまいや経験にしがみつく態度は、新しい職探しを想定すると本人にとって損になる。転職先での活躍を妨げかねないからだ。こうした視点から「年上部下」の仕事マインドをリセットするように誘導できれば、当面のパフォーマンスを高めることにもつながり得る。また、定年後の再雇用を意識させる手もある。「再雇用は定年直前の働きぶりと関連する。社内評価が低い状態では、報酬や出勤日が最低水準に抑えられてしまい、50代以降も再雇用を当て込んで残った意味が乏しくなる」(麻野氏)

「出世したくない」ロスジェネ世代

ロスジェネ世代の仕事観は「総じてクール」と麻野氏は分析する。「出世したくない」「管理職はお断り」といった、勤め先と距離を保ちたがる傾向があるそうだ。「失われた20年間」とも呼ばれる時期にキャリアを積み重ねてきただけあって、会社への期待感は小さい。昭和世代のような上昇志向を下敷きにした部下指導は効果を見込みにくい。麻野氏は「本人なりのキャリア意識に寄り添うアプローチが心を動かしやすい」とアドバイスする。

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