海外ドラマ『パッセージ』 新種のモンスターで人気に
2019年11月 海外ドラマ月間レンタルランキング
海外ドラマで人気のジャンルとなっているのがパンデミック(世界的な感染の流行)もの。『ウォーキング・デッド』に代表されるゾンビものが主流だが、ヴァンパイア(吸血鬼)の要素を取り入れて、新たなヒット作となったのが『パッセージ』だ。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング11月度では2位に初登場した。
『パッセージ』は、人類滅亡の危機が迫る近未来を舞台に、新薬実験を企てる政府の秘密組織に追われる少女と、彼女の唯一の味方である連邦捜査官の逃亡劇を描くSFサスペンス・アクション。全米では今年1月からFOXで放送が始まった。
原作はスティーヴン・キングが絶賛したという、ジャスティン・クローニンの全米ベストセラー小説。製作総指揮にあたったのはリドリー・スコットとマット・リーブスら。リドリー・スコットは『エイリアン』『ブレードランナー』などの監督で知られる映画界の巨匠だが、『グッド・ワイフ 彼女の評決』『高い城の男』など人気のテレビシリーズも数多く手がけている。マット・リーブスは『クローバーフィールド HAKAISHA』『猿の惑星:新世紀』などの映画で監督を務めており、SFサスペンスのヒットメーカーたちが手を組んだ話題作だ。
ストーリーはこうだ。ボリビアで見つかった謎のウイルスから新薬の開発を目指す「プロジェクト・ノア」が始動する。開発を急ぐ研究者たちは、新薬の鍵は「若さ」にあるとして、被験者として10歳で母親を失った少女エイミーを連れてくるように、連邦捜査官ブラッドに指示を出す。しかし、娘を亡くした過去を持つブラッドは、ノアを裏切りエイミーを助けようと決意。2人の逃亡劇が始まる、一方、ノアでは謎の幻覚や悪夢に悩まされる研究者が続出。その原因は、実験の副作用によって人間の生き血をすするモンスターへと変貌した被験者たちだった……。
少女と捜査官の絆に感動も
人類滅亡の危機、政府の陰謀、パンデミックと、近年テレビドラマで流行の要素を詰め込んだだけに、スリリングなアクション描写が見どころだが、他の作品と一線を画しているのが、少女と捜査官という異色のコンビを主人公としたこと。捜査官ブラッド役のマーク=ポール・ゴスラーが父親のような愛情に満ちた男を好演しており、少女を守り抜こうと奮闘する姿は感動を呼ぶ。また、被験者が変貌したモンスターはヴァンパイアの要素を持ちつつも、テレパシーで人間を操るなどの高等な能力も持つ新種のキャラクター。人間とモンスターの心理戦ともいうべき攻防も見応えがある。
TSUTAYAマーケティングカンパニー UX・MD部 映像レンタルの後藤信之氏によると、「レンタルユーザーのメインは50~60代。SFサスペンスを好む、海外ドラマのコアファンに強く支持されています」という。近年はゾンビものが数多くリリースされ飽和状態気味とあって、新しい刺激を求めるファンに『パッセージ』は格好の新作となったようだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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