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ベンツE350de ディーゼル+EV、最新で複雑な魅力

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乗用車では日本初となる、ディーゼルエンジンベースのプラグインハイブリッドモデル「メルセデス・ベンツE350de」に試乗。燃費性能に優れるディーゼルと、ゼロエミッションを掲げるEVのいいとこ取りとうたわれるパワーユニットの出来栄えを確かめた。

ゼロエミッションは正義

例年は夏でも冷涼ゆえ"普通の家"にはエアコンなどないパリやロンドンなどの欧州都市部で、「生命の危機」が報じられる40℃級の最高気温を記録。水の都として知られるベネチアは「過去50年で最悪」とされる洪水に見舞われ、太平洋に浮かぶマーシャル諸島では水没による国家消滅への危機から、一部島のかさ上げを真剣に検討──と、2019年は、いずれも「地球温暖化の影響」とされるニュースがかまびすしく聞かれた。

それもこれも、CO2に代表される温室効果ガスのせい……という解釈に対しては、「ホントに本当なの!?」とちょっと訝(いぶか)しく思う自分の気持ちもいまだ皆無ではないものの、このあたりを微に入り細をうがちつつ検証するとなると、もはや素人の手には負えなくなってしまう(?)のが現実。

かくして「そんな面倒なことまで関わっていられないヨ」という世界の多くの人にとっては、やはり排ガスそのものが悪者ということになる。端的に言えば、もはや「物を燃やす」ことはおろか、「飛行機で移動」したり「肉食を行う」ことすらも"悪"とみなされかねないのが、今という時代の空気であるのだ。

そんなタイミングゆえ、"エンジン車"が吐き出す排ガスも問題視されないはずがない。実際、今やガソリンであろうがディーゼルであろうが、排ガスを出すクルマはすべて悪者という考え方が支配的。唯一問題ナシと認められるのは、"テールパイプエミッション"が皆無の、要は電動化が図られたモデルのみという雰囲気だ。

本来ならば、「そこにチャージする電気をどのようにつくるか」が大問題。しかし、取りあえずそこのところは不問とし、走行時さえ排ガスを出さなければ「CO2排出量はゼロ」とカウントするのが、欧州地域における差し当たりの(ちょっとズルい)外部充電機能付きのモデル(プラグインハイブリッド車=PHV)に対する対応でもある。

Eクラス選びはパワーユニット選び

というわけで特に昨今、欧州発のブランドから次々とローンチされるハイブリッド車は、EVとして排ガスゼロの状態で走行が行えるモードを備えることに対して手厚いインセンティブが受けられる、PHV一択という状況。そうした中にあって、メルセデス・ベンツが放った異色の存在がE350deだ。

このモデルの技術的な内容を、その車名から言い当てることは難しくない。そう、"d"の記号はディーゼルエンジンを搭載し、"e"の文字はそれが電動化されたモデルであることを示しているからだ。

より詳しく紹介すれば、搭載されるエンジンは"純ディーゼルモデル"である「E220d」用と基本を共にした、最高出力192PSの2リッター直4直噴ターボユニット。これに最高出力122PSと最大トルク440N・mを発生するモーターを含んだ9段ステップATが直列に組み合わされ、システム最高出力306PS、システム最大トルク700N・mを発生。トランクルーム内に積まれたリチウムイオン電池の容量は13.5kWhで、EV航続距離はWLTPモード時で最長50kmと発表されている。

メルセデス・ベンツ日本では「日本初のディーゼルプラグインハイブリッド乗用車」をうたうこのE350deと共に、同様のハイブリッドトランスミッションを2リッター直4ガソリンターボエンジンと組み合わせた「E350e」を同日に発表済み。こちらは、システム最高出力が320PSでシステム最大トルクが700N・m、EVとしての最長航続距離が51kmというスペックである。

かくして、現時点でのEクラスのパワーユニットは、ガソリン、ディーゼル、ガソリンハイブリッド、ディーゼルハイブリッドと実に多彩。さらには、排気量や気筒数の違い、2タイプのスタータージェネレーター装着の有無までを勘案すると、さながら「Eクラス選びはパワーユニット選び」と、そうも言いたくなる状況となっているのである。

ディーゼルハイブリッドゆえの課題

"第4世代"と定義されるコモンレール式の高圧燃料噴射システムや、幅広い運転領域で高い過給効果を得るための可変ジオメトリーターボを採用。さらには、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)とSCR触媒コンバーターを統合させたシステムによる入念な排ガス処理を図ったディーゼルエンジンを電動化されたトランスミッションに組み合わせて用いるとなれば、その複雑怪奇ぶり(?)には誰だって「そんなパワーユニットが果たして違和感なくスムーズに動くのか……」と、ちょっと懐疑的にもなるはず。

ところが、「何か起こるのではないか!?」という少しばかり意地悪な気持ちとともに乗り込んだE350deは、実に拍子抜けするほど滑らかに走り始めた。

試乗会場や近くに充電設備がないことから、駐車場所でのアイドリングによる"チャージモード"でバッテリーへとエネルギーが蓄えられ準備された試乗車は、テストドライブへとスタートすると、ここぞ(?)とばかりにエンジンを停止。そこからは純粋なEVとして、エンジン車以上にスルスルと静かでスムーズな走りを味わわせてくれたのである。

"EクラスのEV"という初めての体験に感銘を受けつつ、こうしてすこぶる滑らかな走りを堪能していると、じきにバッテリー残量が低下して今度は"ディーゼルハイブリッド車"のモードへと移行することに。エンジンの始動/停止のたびに気になるショックを伴うわけではないものの、それでもエンジン稼働時にはその存在感が想像以上に主張される。そう思えたのは、それまでの静粛を打ち破るディーゼルならではのエンジン音が、やはりそれなりに意識されるから。エンジン稼働時と停止時のこうした大きな印象の違いは、ディーゼルエンジンゆえのガソリンハイブリッド車にはない課題であると思う。

テクノロジーが集結、最新で複雑

パワーユニット固有の課題には気づいたものの、それでもひとつの製品としてはよくまとめられているなと思えたのは、このモデルの走りを純内燃機関搭載の既存のEクラスと比較してみても、違和感をほとんど抱かせない仕上がりだったからである。

実際ハイブリッドモデルにありがちな、ブレーキのペダルタッチに関する違和感は全くなく極めて自然な仕上がりだったし、空調の吹き出し温度がエンジンの稼働と停止によって変化してしまうといった、やはり一部ハイブリッド車でみられる事象も皆無。ただし、全く同様のアクセル操作を行った場面では、エンジンの稼働と停止によって得られる加速感が異なる印象は、ごくわずかながらも感じられることとなった。あくまでも、「そんなことも起こり得るかな?」と、相当に意地悪く観察した結果ではあったが。

一部装備が異なるため、完全な横比較とはいえないものの、このE350deと前述ガソリンPHVであるE350eの価格差は23万円。さらに、AMGスタイリングパッケージやナッパレザーを用いた本革シートは350deのみに標準といった差が加わるものの、ハイブリッドシステムを備えないE220dとの差は118万円にまで広がる。

さらに、あくまでも「理屈としては」というハナシになるが、パワーユニットにかくも複雑なシステムを用いるとなれば、それだけメンテナンスが複雑化し、さらに故障因子も増えていく……という可能性にもつながってくる。シンプルさこそがベストと考える人にとってE350deの"充実したメカニズム"は、相いれないものとなるだろう。

確かに実際に乗ってみれば、「ディーゼル車とEVのいいとこ取り」という貴重な雰囲気を味わえることは事実。だが、ここまでの"高コスト体質"の構造が、この先いつまでも続くとは思えないのも事実。"製品"としては見事に仕上げられている一方で、"商品"としてみた場合にはその複雑さと「高価なアイテム」同士の組み合わせゆえ、疑念をぬぐい切れないのだ。

さまざまなテクノロジーが集結した結果であると同時にまた、そうした成り立ちにこそすんなりとは"最適解"が出せない今という時代の複雑さをもイメージさせられる、そんな「最新で複雑」なメルセデスのセダンが、このモデルでもあるのだ。

(ライター 河村康彦)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4923×1852×1475mm
ホイールベース:2939mm
車重:--kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:9段AT
エンジン最高出力:194PS(143kW)/3800rpm
エンジン最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/1600-2800rpm
モーター最高出力:122PS(90kW)/2500rpm
モーター最大トルク:440N・m(44.9kgf・m)
システム最高出力:306PS(225kW)
システム最大トルク:700N・m(71.4kgf・m)
タイヤ:(前)245/45R18 100Y/(後)275/40R18 103Y(ピレリ・チントゥラートP7)
燃費:--km/リッター
価格:875万円/テスト車=923万5000円
オプション装備:エクスクルーシブパッケージ(26万1000円)/パノラミックスライディングルーフ<はさみ込み防止機能付き>(22万4000円)

[webCG 2019年12月20日の記事を再構成]

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