出勤前や勤務中になぜか体に痛み 疑うべき病気は…産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

画像はイメージ=PIXTA
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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

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出勤前や職場などで、頭痛や腰痛、腹痛などに悩まされることはありませんか。内科を受診して検査を行っても、異常が見つからない場合、「身体表現性障害」かもしれません。こうした身体的な症状が苦悩をもたらし、遅刻や欠勤が増え、出社が難しくなることもあります。

身体表現性障害とは、自分では感じるられないストレスが、身体の症状として現れる病気です。長時間労働であったり、仕事の内容や量の過多、対人関係など、わかりやすい「大きな」ストレスなら、すぐ自分でもわかるでしょう。しかし、ちょっとした「小さな」ストレスの積み重ねとなると、なかなか自覚することが難しいようです。

例えば、職場での同僚との行き違い、家族との小さなケンカ、少額の金銭問題、健康の問題など。ひとつひとつはささいで、大きな問題ではなくても、ちょっと心配の種になるような、そんな小さなストレスの積み重ねが原因となっているとするなら、特定は難しくなります。また、症状が生活上の出来事による心的葛藤に関係しているとしても、本人がストレスとして認めようとしないことも多々見受けられます。

「ストレスを感じることはありません」

IT企業に勤める30歳代男性の事例です。

朝、腹痛を覚えることが多く、遅刻や欠勤が目立つようになり、人事部から産業医の面談を指示されました。「仕事などで何かストレスを感じていますか」と産業医が尋ねても、「そもそもストレスを感じることはありません」との答えでした。内科医の検査を受けても異常は見つかりませんでした。

この男性は入社時の成績はトップ級。全社集会で表彰されてあいさつするような、将来を嘱望される存在でした。決してスピード出世していたわけではありませんが、取り立てて仕事に不満があるようでもありません。

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