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女性は酒の影響うけやすい 達人常備の3つの武器

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日経Gooday(グッデイ)

2019年11月、「WOMAN EXPO TOKYO 2019 Winter」(主催:日本経済新聞社/日経BP)が開催された。講演の中から、Goodayの人気連載「左党の一分」でおなじみの酒ジャーナリスト・葉石かおりさんによる講演の内容をお届けしよう。葉石さんは、医師などの専門家に取材した新著『酒好き医師が教える もっと!最高の飲み方』(日経BP)を刊行している。新著の内容を中心に、「女性」に知っておいてもらいたい「お酒と健康の最新情報」を語った。

健康のためにベストの飲酒量は?

最近はお酒を楽しむ女性が増えてきた。「毎日欠かさず飲んでいる」という女性も決して珍しくはない。そんな酒好きなら誰もが気になるのが、健康への影響だろう。飲み過ぎが体に悪いのは当然だが、どの程度なら心配ないのだろう?

厚生労働省の「健康日本21」では、「適度な飲酒」は純アルコール量にして1日平均20gとしている。日本酒で1合、ビールで中ジョッキ1杯(500mL)、ワインで2~3杯程度の量だ。

だが、人のアルコールの分解能力は、個人差、そして性別による違いがある。「女性の場合は男性よりも体が小さく、アルコールの分解速度が遅いので、よりお酒の影響を受けやすい。そのため、半分の1日10g以下がいいとされているんです。悲しいですね(笑)」(葉石さん)。アルコール10gといえば、日本酒で90mL、ビールで250mL、ワインならグラス1杯程度しかない。

日本には「酒は百薬の長」という言葉があり、医学的にも「少量なら健康にいい」と長いこと信じられてきた。実際、そう思っている人も少なくないだろう。ところが、「最近、ショックな論文が発表されました」と葉石さんは話す。

近年は、アルコールの健康への悪影響が世界的に指摘されるようになっている。そんな中、2018年8月、世界的権威がある医学雑誌「Lancet」に「お酒は飲まないのが一番」という論文が発表されたのだ。

同論文では、195の国と地域で23の病気のリスクと飲酒量を詳細に検証した結果、「健康への悪影響を最小化するなら飲酒量はゼロがいい」と結論づけている。もちろん、酒量が増えればそれに比例して病気になるリスクも高くなっていく(Lancet. 2018; 392:1015-35.)。

つまり、わずかな量であってもお酒は毒ということ。とはいえ、お酒は人生の楽しみであり、ストレスの解消にも役立つ。ただちにお酒をやめるべきとは言わないが、「基本的に体に悪い」ことを踏まえ、くれぐれも飲み過ぎには注意しよう。

お酒を飲む人は乳がんのリスクが高い

男性よりもアルコールの分解速度が遅いだけでなく、お酒を飲む女性には特有のリスクもある。その代表が「乳がん」だ。

「食生活の欧米化などにより乳がんが増えていて、1980年代の4倍になったという報告もあります。初潮年齢が低下し、閉経年齢が上がっているので、エストロゲン(卵胞ホルモン)にさらされる時間が長くなっていることも理由の1つと言われています[注1]」(葉石さん)

[注1]検診の普及も罹患率の上昇に関係していると考えられている。

お酒は乳がんのリスクをさらに高くしてしまう。国立がん研究センターが40~60代の女性約5万人を対象にして13年間にわたって行った疫学調査からも、飲酒量が多いと乳がんのリスクが高くなることが確認されている。まったくお酒を飲まない人に比べて、「ときどき飲む」人は1.17倍、アルコールを「週150g」より多く飲んでいる人は1.75倍と、2倍近く乳がんの罹患率が高くなる(Int J Cancer. 2010;127:685-95.)。

飲酒は骨折のリスクにも影響する

また、女性は、太ももの付け根の部分で大腿骨近位部骨折(頸部骨折と転子部骨折)を起こしやすいことが知られている。「ここの骨を折ると歩くのが難しくなり、生活の質(QOL)が大きく下がってしまいます」(葉石さん)。そのまま寝たきりになってしまう人も少なくない。

特にお酒を飲むと顔が赤くなる「フラッシャー」の人は、骨折リスクが高くなる。

体内に入ったアルコールは、最初に毒性の強いアセトアルデヒドに分解される。アセトアルデヒドはALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素)によって無害な酢酸に分解されるが、日本人の半分は生まれつきALDH2の活性が低く、アセトアルデヒドの影響を受けやすい。

アセトアルデヒドには毛細血管を拡張する作用があるので、こういう人はお酒を飲むと顔が赤くなる。フラッシャーでもお酒に強い人はいるが、もともとお酒の分解速度が遅く、アセトアルデヒドの害を受けやすいわけだ。

「フラッシャーはアセトアルデヒドの影響を受けやすいため、骨粗しょう症になりやすく、骨折のリスクが約2.5倍になるという報告もあります。このリスクはお酒をたくさん飲むとさらに高くなってしまうので、気をつけていきたいですね」(葉石さん)

これは女性だけに限らないが、大酒飲みの人は食道がんになりやすいことが知られている。国立がん研究センターによると、お酒をまったく飲まない人に比べて、1日20~40g飲む人は2.6倍、40g以上飲む人は4.6倍も発症リスクが高くなる。毒性の強いアセトアルデヒドに長くさらされるフラッシャーは、さらにリスクが高くなってしまうという。

女性が特にお酒に注意すべき3つのフェーズとは?

女性は特にお酒に注意しなければいけない時期がある。「生理中」「妊娠中」「更年期」だ。

【女性が飲酒で気をつけるべき3つの時期】

(1)生理

[生理前]…PMS(月経前症候群)の不調から逃れるためにアルコールに頼るのは避ける

[生理中]…アルコールが生理中の症状を助長。酒量は控えめに

(2)妊娠 …妊娠中の飲酒は厳禁。赤ちゃんに障害を与える可能性も

(3)更年期 …精神的な不調から逃れるためにお酒に頼るのは危険。代謝の減少で太りやすいため、糖質の少ないお酒を選ぶ

「私にも覚えがあるのですが、PMS(月経前症候群)の不調から逃れようとお酒を飲むと、むしろイライラが強くなります。アルコールで血行が良くなると経血の量が増えるリスクもありますし、頭痛や吐き気など生理中の症状も助長されやすいので、酒量は控えめにしてください」(葉石さん)

わざわざ言うまでもなく、妊娠中の「禁酒」(それに禁煙)は常識だろう。お酒を飲むと胎児に悪影響をもたらす可能性がある。

もう1つは更年期だ。心身の不調から逃れるためにお酒に頼るのは危険だし、代謝が悪くなって太りやすくなっている。

「私は更年期で、一時期8kg太って、1年間かけて戻しました(笑)。太らないように糖質の少ないお酒を選び、おつまみの糖質にも注意しましょう」(葉石さん)

緩やかな糖質制限「ロカボ」を提唱している北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟医師は、最近クローズアップされている食後高血糖を防ぐためにも、1日当たりの糖質量を70~130g以内(間食10gを含む)に抑えることを推奨している。

糖質が少ないお酒はどれ?

では、日ごろ楽しんでいる各お酒には、どのくらい糖質が含まれているのだろうか。

このグラフにあるように、女性に人気の甘いお酒、例えば梅酒などは驚くほど糖質が多い。一方、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒はほとんど糖質が入っていない。日本酒やビールなどの醸造酒は糖質を含むが、その中ではワインは少ない。つまり、ハイボール(ウイスキーのソーダ割り)やワインは「糖質が少ないお酒」だ。

お酒だけでなく、お酒を飲むときに食べる「おつまみ」の糖質にも注意したい。糖質が少なく、たんぱく質が多いものがいい。居酒屋などで、最初からポテトサラダを頼む人もいるが、サラダといいながらも糖質が多いのでNG。枝豆、唐揚げ、豆腐(冷ややっこ)、焼鳥(塩)、刺身、カルパッチョなど糖質が少ないメニューを選ぼう。

葉石さんは「私は食品の糖質の量を計算してくれる『糖質カウンター』というアプリをスマホに入れて注意しています」と話す。なお、焼きそば、焼きおにぎり、ピザなど、糖質が多いおつまみを食べたい場合は、最後にするのがお勧めだという。

葉石さんがお勧めの豆腐レシピも紹介してくれた。「冷ややっこに岩塩とオリーブオイルをかけるとおいしくて、あらゆるお酒に合います。オイルを使ったおつまみを食べると、胃でのお酒の滞留時間が長くなり、(アルコールが主に吸収される)小腸に行く時間を遅らせてくれるので、アルコールの吸収が緩やかになります」(葉石さん)

また、お酒が好きな人は中性脂肪の数値が高くなりやすい。アルコール自体に中性脂肪を上げる作用があるが、糖質のとり過ぎも中性脂肪を上昇させる大きな要因になるので、一緒に食べるおつまみの糖質には気をつけたほうがいい。

糖質のとり過ぎは肥満だけでなく「老化」も招く

糖質のとリ過ぎは肥満や脂質異常症のリスクを高くすることに加え、老化を進めることも分かっている。「糖化」といって、とり過ぎた糖が体内のたんぱく質と結びついて、たんぱく質を変性させてしまうのだ。

「肌や髪もたんぱく質でできています。糖化によってお肌の弾力がなくなり、シワができてしまうんです。つまり、肌の見た目に影響します。さらに、血管や内臓などの機能も低下させ、さまざまな病気の原因になることも最近の研究から分かってきました」と葉石さんは注意する。また、この怖い糖化は、糖質のとリ過ぎだけでなく、お酒の飲み過ぎでも進行することが明らかになっている。

一方、同志社大学糖化ストレス研究センターによる研究から、日本酒に糖化を抑える作用があることも分かった。たんぱく質が糖化するとAGEs(糖化最終生成物)という老化を促進する物質が作られるが、日本酒はこのAGEsの生成を抑える作用があるという(Glycative Stress Res. 2017;4;80-6.)。ただし、飲み過ぎると逆に糖化が進んでしまうので注意したい。

また、日本酒は白ワインの10倍ものアミノ酸を含んでおり、保湿効果が高い。「古くなった日本酒を2合くらいお風呂に入れるととても体が温まりますし、アミノ酸の効果でお肌がしっとりします」と葉石さん。

葉石さんが必ず常備する「三種の神器」とは?

「最後に、いつも私がお酒を飲むときに持ち歩いている三種の神器を紹介したいと思います」(葉石さん)

まず、飲む前には漢方薬の「五苓散」。体内の水分の分布を調整し、翌日ののどの渇きやむくみを防いでくれる。飲んでいるときは「飲む人のためのよいとき」(キユーピー)というサプリメント。アルコールを酢に換える酢酸菌の酵素が配合されており、体内でのアルコールの分解を助ける。飲んだ後は「青粒」(株式会社青粒)。モロヘイヤ100%で、葉石さんによると「お酒を飲むとおなかがゆるくなる人にお勧め」だという。

◇  ◇  ◇

お酒を飲むことは人生の大きな楽しみ。しかし大量に飲めば病気(や事故)のリスクは高くなる。基本的に「体にいいものではない」ことも近年の研究から明らかになりつつある。特に女性は男性以上にお酒のリスクが高くなる。飲み過ぎにはくれぐれも注意しつつ、いつまでも楽しくお酒を飲んで豊かな人生を送りたいものだ。

(文 伊藤和宏、撮影 稲垣純也、図版 増田真一)

葉石かおり
エッセイスト・酒ジャーナリスト。1966年生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌記者を経て現職。全国の酒蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー、レシピ提案を行う。2015年一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション設立。サケ・エキスパートの育成、日本酒イベントのプロデュースも行う。著書に『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』など。

[日経Gooday2019年12月19日付記事を再構成]

酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方

著者 : 葉石 かおり
出版 : 日経BP
価格 : 1,540円 (税込み)

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