「日本は気候変動やジェンダー平等への取り組みが弱く、国際社会でSDGsへの取り組みを誇れる状況ではありません。一部の先進企業は日本政府ではなく、他国の政府の動きを見ています。グローバルな流れを見ているからこそ、動けているのではないでしょうか」

――どんな発想が必要ですか。

「例えば、素材メーカーなら、素材そのものよりも、自社が関わるバリューチェーンのどこで貢献できるのかを考えます。自社の技術を使おうとするのではなく、SDGsに貢献できる事業を探すのです。SDGsはゴールが明確に示されているので、そこからさかのぼって考える発想法は、企業にとっても、なじみやすいツールではないでしょうか。将来、こういう社会になっていくだろうから、こういうふうに貢献したいという発想です」

――日本企業の間に、SDGsに取り組んでいると見せながら、実際には貢献していない「SDGsウォッシュ」と呼ばれる現象は見られませんか。

「ないとは言えません。毎年の進捗を開示し、具体的な活動があったのか、なかったのかをチェックする仕組みが欠かせません。きちんとした指標を作っておかないと、変化を見るのは困難です。ただ、SDGsのゴールを目指して懸命に努力している企業が高く評価され、少しでも条件がよい資金調達ができるといった流れが生まれています。環境や労働問題にしっかり取り組まない企業はバリューチェーン上で淘汰されることも現実に起きています」

「女性管理職を増やすダイバーシティーの問題でも、最初は様々なコストがかかります。しかし、最終的には取締役会も含めて組織に多様性を持たせるほうが、業績もよくなると言われています。1年では成果が出ないかもしれないが、3~5年かけても実行すると宣言できるのが、トップであるはずです」

――大企業に比べると中小企業の関心は薄いとの調査結果もあります。

「積極的な中小企業も増えています。中小企業のほうがトップダウンで速く動ける傾向があり、そうした企業では人材獲得の面で大きな効果が生まれています。最近は、社会課題の解決を目標に掲げるベンチャー企業も多く、SDGsへの貢献と、自社の成長を結びつけて考えています」

(編集委員 前田裕之)

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