入社20年目で総合職、後輩に「道」 三橋美和さんシナネンモビリティプラス社長(折れないキャリア)

エネルギー商社のシナネンホールディングス(HD)が2019年に設立したシェアサイクル事業会社の初代社長を務める。一般職として新卒入社し、3人の育児と家事、仕事を両立しながら迎えた抜てき人事までの道のりは山あり谷ありだった。

5人兄弟の長女で、妹や弟を連れて遊びにいくのは当たり前。商社勤めの父の転勤で、転校も多かった。幼少期に培われた役割への意識と環境変化に対応する力が原動力になってきた。

希望する分野で就職したものの男子は総合職、女子は一般職と決められた。不利なスタートだったが上司には恵まれた。

商談や仕入れの現場に同行して、「業界での立ち位置や役割を知った。会社が、仕事が好きだと感じた」。夫とは家事をきちんとすることを約束し結婚。仕事は単純作業も多かったが充実していた。

みつはし・みわ 鶴見大文卒業後、1996年品川燃料(当時)に入社。営業本部、財務、人事などを経て19年4月から現職。46歳。

30代で試練が訪れた。初めて妊娠した子を流産した。負担を顧みず仕事を優先した結果だった。「喪失感が募り、入院で周囲に心配と迷惑をかけた」。36歳までに3人の子宝に恵まれた。仕事を続けるため時間管理を徹底し、寝る間を惜しんで勉強に励んだ。

ところが職場は働きにくさに満ちていた。単純作業を言いつけるが目的は説明しない男性社員たち。働きぶりにかかわらず「時短」が理由で評価は低水準。産休に入ると等級は下がり、復職のたびに部署を異動した。「納得いかない」。それでも転職を考えなかったのは、新人時代の上司への感謝と会社が好きとの思いがあったからだ。

営業経理に財務、事業推進と様々な部署で人脈を広げた。資格試験で得た知識と人脈を駆使して業務改善を提案すると採用された。認められた喜びとともに「長時間労働の総合職とは異なる働き方でも貢献できる、と会社に伝えなくては」との思いを強くした。

社内制度を利用し、15年に総合職に転換した。停滞していた決済申請の電子化プロジェクトを自ら動かし、社長賞に輝いた。人事部門にいた18年の秋、役員から事業会社社長の就任を伝えられた。

「よい仕組みは人の意識を変える」と話し、後に続く女性が経験や実績を積みやすい新たな「道」を整えている。シェアサイクルとともに女性社員も快走する未来はもうすぐだ。

(聞き手は杉山麻衣子)

[日本経済新聞朝刊2019年12月30日付]