お金も生活も「流されない」 定年シニアこそ1年の計経済コラムニスト 大江英樹

もちろん家でやることや楽しいことがあれば家にいたって一向にかまいません。ただ、何もしないままにじっとしているのは健康にもあまり良い影響は与えないでしょう。何か新しいものにチャレンジすることは大切ですし、実際にやるかどうかは別にして、考えるだけでも効用があるようです。ひとつの例を紹介しましょう。

積み立て投資のプランづくりも選択肢

私の友人に早期退職して、現在は仕事とボランティアを半々にして暮らしている人がいます。彼は本当に活発にいろいろな活動をしています。あるとき彼のスケジュール表を見せてもらうと、何とほぼ1年先までびっしりとスケジュールが埋まっているのです。

驚いて「こんなに先まで予定が詰まっているのですか」と聞いたところ「いやこれは別に決まっているわけじゃなくて、自分がやりたいものや行きたいところをリストアップしているだけなんですよ。実際に実行するのはこの3分の1もありません」というのです。さらに「でもね、そうやって予定表を作って眺めているだけでも楽しいし、気持ちが充実してくるんですよ。それにふとしたきっかけで新しく興味を持つ事柄に出合うこともあります。例えばアドラー心理学もその一つで、60歳を過ぎても新しいことを学びたいという気持ちになったのは自分でも驚いています」と話してくれました。

「流されない」ということで言えば、お金の管理も同様です。特に現役時代ほど収入の多くないシニアこそしっかり管理することが必要です。2019年12月12日付本コラム「シニアになってもつみたてNISA 資産寿命延ばす」でも触れたように、20年度の与党税制大綱で積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の期限延長が打ち出されました。将来にわたって自分が持っているお金の購買力を維持するためにも自分でリスクの取れる範囲内であれば一定の投資は悪くないと思います。将来を見据えて、年の初めに自分なりの積み立て投資プランを考えてもいいのではないでしょうか。

自分の気の向くままに予定を考え、やるも良し、やらぬも良し。最初から肩に力を入れてチャレンジしなくても、自然に新しいことに興味を持つようになり、自分にとって新たな世界が広がっていく。効率を求め続ける現役時代にはとてもできそうにないことでもリタイアした後のシニアであれば十分可能です。これこそがまさにシニアの特権ではないでしょうか。

次回の「定年楽園への扉」は1月30日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。http://www.officelibertas.co.jp/
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