奈緒、演技への目覚め こんなにやりたいことは初めて

日経エンタテインメント!

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2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』で、ヒロインの親友役で脚光を浴びた奈緒。19年4月に『のの湯』で連ドラ初主演。ドラマ『あなたの番です』のストーカー役も話題を集めた。いかにして演技に目覚めたのか。デビューからの歩みを振り返ってくれた。

1995年2月10日生まれ。福岡県出身。『まだ結婚できない男』(関西テレビ・フジテレビ系)にもレギュラー出演。主演映画『みをつくし料理帖』が20年秋公開予定(写真:中川容邦)

今、勢いを感じさせる1人だが、デビューから24歳で初主演を果たすまでには様々な経験を積んできた。高校1年生の春に通学路でスカウトされ、地元・福岡のモデル事務所に所属。1年たった頃に参加したワークショップで初めて演技に触れ、魅力に目覚めたという。

「こんなにもやりたいと思えることは、初めてだと感じたんです。自分が大きな声を出せることにびっくりしたし、即興のお芝居も楽しかった。これを手放しちゃいけないっていう気持ちになって、事務所の方に『この先は演技をやりたいです』と話したのですが、それだけで涙が止まりませんでした。

初めて世に出た作品は、『めんたいぴりり』(13年)という福岡のドラマ。韓国で撮影をしたのですが、私は韓国映画が好きで言葉も勉強していたので、現地の方と話していたんです。すると、共演者の小松政夫さんに『この仕事は勉強する気持ちが大事だから、韓国語は続けたほうがいい』と声をかけていただいて。大先輩なのに優しいし、役者さんってかっこいいなと思ったのを覚えています。

それから福岡で何本かドラマに出させていただいたのですが、共演する東京の役者さんを見ているといろんなものと戦っている。私は福岡にいたままだと居心地が良すぎて戦えない――そう思って、高校卒業の時に上京を決めました。

事務所も辞めるつもりで、東京に出て劇団で演技を一から勉強したいと話をしたんです。ところが、『いきなり生活が不安定になるし、その挑戦も応援してあげたいから、社員にならない?』と勧められて。東京にマネジャーがいない事務所だったので、こちらでお手伝いをすることになったんです。オーディションのお話があれば連絡したり、東京に来たタレントさんに付き添ったり。自分が受けたオーディションに、翌日マネジャーとして行くこともありましたね(笑)」

脚本家・野島伸司との出会い

「同時にお芝居ができる場所を探していて、そこで出合ったのが脚本家の野島伸司さんが監修する俳優養成スクールでした。そこで1年間学ばせていただき、2年前から今の事務所にお世話になっています。大きかったのは、野島さんから『奈緒は役に対して自信があるときには華が出る』という言葉をいただいたこと。それから、オーディションなどでも自分はこの役をやってもいいんだという気持ちで向かえるようになって。朝ドラのオーディションは『半分、青い。』が3度目でしたが、それまでで一番、伸び伸びとできました。

『あなたの番です』は反響の大きさにビックリしています。いまだに『尾野ちゃん』って役名で呼んでいただけるのがうれしいですね」

11月30日に初主演映画『ハルカの陶』が全国公開された。『終わりのない』で舞台にも初挑戦した。演技に真摯に向き合う姿を誰もが認める、「愛される女優」であることがオファーが続く秘密なのかもしれない。

「初めての主演映画は大変でしたね。でも、笑顔の多い現場だったので打ち上げでそう言ったら、技術部のスタッフさんに『それは奈緒がいつも笑っていたからだよ』と言われました。私は『セリフがいっぱいで、うれしいな』と楽しくやっていただけなのですが(笑)、主役の存在の大きさを感じました。

30歳までに主演をするのが目標だったので、むしろここまで来るのが早かったという感覚ですね。マイペースなのかもしれませんが、周りの人からは『変わらないでね』とよく言われるので、私はこのままで大丈夫なのかなって。みなさんから自信をもらっています」

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2019年12月号の記事を再構成]

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