日米の流儀、優劣論じるより…経営は「いいとこ取り」
カルビー元会長 松本晃氏
松本晃氏は「日本企業にも米国企業にも、それぞれいい点と悪い点がある」と話す
プロ経営者の松本晃氏は米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)メディカルのプレジデントを6年間務めた後、1999年1月にJ&J日本法人の社長に就任しました。日本企業と米国企業は統治のスタイルや文化が大きく異なり、「水と油」とされることもありますが、その違いは松本氏の目にどう映ったのでしょう。戸惑いはなかったのでしょうか。(前回の記事は「仲良し職場は勝てない 「成果と報酬」で育つプロ意識」)
リゾートで社員を鼓舞、米国式にならう
J&Jでは、正直、米国の会社に入ったという実感はほとんどありませんでした。前回も少しお話ししましたが、社員はほとんど日本人で、社内で英語を話すような機会はほとんどありません。新入社員の入社式まであり、非常に日本的な会社でした。でも僕にとっては、それが逆にやりにくかったんです。
僕はもともと合理主義者です。仕事のやり方も、どちらかと言えば米国式が合うと思っていました。意味のないことをやるのは大嫌いだし、若いころから社員の待遇は年功序列ではなく成果主義に徹すべきだという考えでした。
伊藤忠商事時代から多くの米国企業と付き合いがあり、しょっちゅう出張もしていましたから、その優れた制度や文化も肌で知っていました。米国企業のいいところをどんどん取り入れ、センチュリーメディカルでも結果を残してきたんです。
J&J日本法人でも、米国企業のいいところを積極的にまねしました。たとえば、年度の初めに開くキックオフミーティングのやり方です。日本のJ&Jでも毎年、社員全員を集めて開いていましたが、僕が入ったときには、会場は本社近くのシティーホテルでした。