割安株投資かき入れ時、上昇相場は後半戦(苦瓜達郎)三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー

写真はイメージ=PIXTA
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私の基本的な投資戦略は「株式市場で放置されている割安株を買って、上がるまでじっと待つ」という、極めてシンプルなものです。「いつ上がるか」、「何があったら上がるか」といったことは一切考えません。どうせ、未来のことは考えたって、全てが予想できるわけではなく、次々に予想外のことが起こるのですから。

競馬なら「ジリ脚」、競輪なら…

そういった投資手法を採っていると、運用成績は結果として遅行型になりがちです。上げ相場の初期で、特定のテーマや属性に資金が集中する段階では、地味な割安株はあまり選好されません。しかし、先駆けて上昇した株に一巡感が出てきて、市場が次の物色対象を求めるようになると、地味な銘柄の中にも大幅に上昇するものが出始めます。上昇相場が長期にわたり、過熱感が出てくるような段階では、単に手あかがついていないというだけの理由で大きく買い上げられることさえあります。

私の運用は、例えて言えば、競馬ならジリ脚、競輪なら大ギア、ボートレースなら伸び型という感じでしょうか。スローペースからの直線勝負という展開ではまず勝てません。その代わり、ハイペースで先行していた競争相手がスタミナ切れを起こした時には力強く抜け出す形になります。

過熱感が増すマーケット

その意味で、目下のマーケットは私にとってまさに「かき入れ時」と言えます。世界的な経済状況が決して芳しくない中で、過剰な悲観の反動と他に資金の行き先が少ないという事情だけで、3か月以上一本調子の上昇が続いてきました。その結果、かなり過熱感の出ている分野も多く、現状では無理やりにでも循環物色をしている投資家が結構いるような印象を受けます。

しかも、12月というのはもともと株価の振れやすい季節です。外国人投資家の多くがクリスマス休暇に入って市場の厚みがなくなるうえ、一年の終わりに一発逆転を狙いたくなるなど精神面も作用しているような気がします。その結果、目下の小型株市場では知名度の低いマイクロ銘柄が日替わりで急上昇しています。

前回に私が懸念を表した新規公開(IPO)市場についても、株式市場全体の上昇に助けられ、全体的には活況を維持しているようにみえます。一部の企業は公開価格を割り込んでいるものの、一方で公開後に大幅に上昇している銘柄も多く、結果オーライと言える状況です。

結果オーライだが質は劣化

ただし、相場の質という点では、劣化の感が否めません。日替わりの上昇株に関しては、情報端末をたたいても何の材料も発見できないばかりか、個人投資家の集まる掲示板ですら全く話題になっておらず、極めて少数の投資家が飛び跳ねているだけ、という印象を受けます。

また、ストップ高の翌日に株価下落というケースも増えてきました。前回のIPO市場についての感想でも触れましたが、突然株価が動意付いて多くの投資家の買いを集めたにも関わらず、それが翌日まで保たないというのは、かなり残念な現象といえます。私の流儀では、保有銘柄がストップ高になった場合には売らずに欲張ることにしているのですが、足元の市場では即座に売ってしまった方が良いのかもしれません。

上昇相場が今後どれだけ続くかを予想する気はしませんが、少なくとも後半戦に入っていることだけは確かでしょう。深追いは慎み、まめに利益確定を行うことが、現在の市場環境における賢い対処法と言えるのではないでしょうか。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎

三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年に当時の大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。
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